コルドバは、古代ローマ時代より領土争いが絶えない地でした。かつてイスラム文化の都として繁栄した街で、その名残は街を歩くことで伺い知ることができます。「西方の真珠」と讃えられた栄華の香り漂う、エキゾチックなコルドバの必見スポットと見所をご紹介します。
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【1】ローマ橋(Puente romano de Cordoba) &【2】カラオーラの塔(Torre De La Calahorra)
古代ローマ時代に築かれた「ローマ橋」は、グアダルキビル川にかかる橋で全長247m、幅9m。各地にダムができるまでは、今よりもずっと水量が豊富だったため、橋脚は洪水時の激流に耐えられるよう、石組みで流線形になっています。
川のたもとには、朽ちた粉挽き用水車が残っていますが、最も城壁側にある水車は、後述する「アルカサル」の庭園に水を引くためのものでした。ローマ橋のたもとに建つ「カラオーラの塔」は、元は要塞としての機能を持つ門でしたが、現在は歴史博物館として公開されています。
【3】メスキータ(Mezquita)
「メスキータ」とは、スペイン語でイスラム教寺院のことです。モスクと聖堂の違いは、前者がイスラム教のための礼拝堂で、後者がキリスト教のための礼拝堂となります。元々はイスラム教徒のモスクだったメスキータですが、キリスト教徒の手に渡った16世紀に、大聖堂への改築が始まります。
建設許可を与えた当時のスペイン王カルロス1世は、着工後にコルドバを訪れ「メスキータがこんな素晴らしいものと知っていたら、工事の許可を与えなかった。世界のどこにでもあるものを作るために、世界に一つしかないものを壊してしまった。」とつぶやいたと言われています。
そうして残されたモスクと聖堂が共存する、世界に二つとない貴重な建造物となりました。中庭をぬけて礼拝堂に入ると別世界に迷い込んだような幻想的な世界が広がり、無限に続くかのような「円柱の森」が目に飛び込んできます。切り石の白とレンガの赤が見事なコントラストで、重い天井を支えながらも、多くの光を取り入れようと2層になったアーチが美しく続きます。
イスラム教では、メッカの方向を示す「ミフラーブ」というくぼみがあるのですが、それを強調するために造られたマスクラという空間の天井と、キリスト教のためのカテドラルの天井とでは、雰囲気がまったく異なっています。同じ建物内で両者の違いを比較できる機会ですので、じっくり堪能してください。比較対象が間近にあるので、楽しいです。
【4】旧ユダヤ人街(La Juderia) &【5】花の小径(Calleja de las Flores)
メスキータの北側に広がるのが、かつての「ユダヤ人居住区」です。レコンキスタ完了後の1492年に布告された「ユダヤ人追放令」によって、現在ではこの町から姿を消してしまいました。
旧ユダヤ人街の中にあるのが「花の小径」。狭い石畳の道に白壁の家々が並び、家の壁や窓、バルコニーには花が飾られ、撮影スポットとしても有名な場所です。
【6】アルカサル(Alcázar De Los Reyes Cristianos)
レコンキスタでコルドバを奪回したアルフォンソ11世は、1328年、イスラム王の宮殿跡にイスラムとキリスト教の建築様式が融合した、ムデハル様式の王宮を建造しました。ローマ時代のモザイクや石棺などを展示する広間や、地下の浴場などを見学することができます。イスラム文化ならではの、水をふんだんに使った庭造りが見事です。
- アルカサル(コルドバ)
- スペイン / 建造物
- 住所:Plaza Campo Santo de los Mártires, s/n, 14004 Córdoba, スペイン地図で見る
さいごに
上記のスポットはすべて徒歩圏内です。1番離れているアルカサルでも、ローマ橋から歩いて10分ほどですから、半日もあれば十分周れます。