ワインと言えばフランス、イタリアなどのヨーロッパ諸国が世界的にも有名ですが、歴史は浅いながらもワイン界を牽引する新勢力として注目されているのが、オーストラリア。今回はシドニー近郊にあるり穴場的なワイナリーの街「Mudgee(マッジー)」をご紹介します。
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ニューワールドワインの旗手「オーストラリア」
ヨーロッパ諸国よりも歴史の浅いワイン生産国であるオーストラリアのワインは、アメリカやチリなどと共に「ニューワールド(新世界)ワイン」と呼ばれています。地域や気候、土壌から栽培されるブドウの品種まで厳重に管理されたヨーロッパに対し、オーストラリアではいい意味で縛りが緩いのが特徴です。
栽培されるブドウの品種も多く、最新設備が導入されていて大量生産できるため、コストパフォーマンスが高いのも魅力の一つ。様々な種類のブドウから作られた質の良いワインを、お手頃な価格で楽しむことができます。
オーストラリアのワインの生産地は、オーストラリア大陸の中でも比較的気候が涼しい南部に集中しています。有名なのは、南オーストラリア州にあるBarossa Valley(バロッサ・バレー)のパワフルな「Shiraz(シラーズ)」、Coonawarra(クナワラ)の濃厚な「Cabernet Sauvingnon(カベルネ・ソーヴィニヨン)」やヴィクトリア州にあるYarra Valley(ヤラ・バレー)の深みある「Chardonnay(シャルドネ)」などなど、挙げだしたらキリがありません。
シドニーがあるニュー・サウス・ウェールズ州では「オーストラリアワイン発祥の地」とされるHunter Valley(ハンター・バレー)が有名で、様々な観光ツアーも企画されています。今回ご紹介するMudgee(マッジー)は、そのハンター・バレーから人気観光地のブルー・マウンテンを挟んで西側、シドニーから260kmのところに位置する小さなワイナリーの街です。
小さなワイナリーの街「Mudgee(マッジー)」
筆者がマッジーを知ったのは、以前宿泊したグランピング施設「バブルテント・オーストラリア」で、ゲストにオススメの近隣のアクティビティとして紹介されたことがきっかけでした。バブルテント・オーストラリアからは車で約50分、ブルー・マウンテン周辺からは約170kmの位置にあります。
マッジーに向かう道中は目の前に広がる山々や湖の壮大なパノラマを眺めながら、爽快なドライブを楽しむことができます。徐々に丘の緑地がブドウ畑に変わり始めると、いよいよマッジー地方に到着です。
「マッジー」とはアボリジニのウィラドゥリ語で「丘の中の巣」という意味を持ち、その名の通り周りを丘に囲まれた小さな街です。ゴールドラッシュのあった1850年代の古き良き時代を感じる、歴史ある建物が立ち並んでいます。
素朴な田舎町という佇まいですが、オシャレなレストランやカフェ、センスのいいブティックやギャラリーなども軒を連ね、レトロな情緒がありながらカルチャーも感じる趣のある可愛い街です。
マッジーでワイナリー巡り
Bunnamagoo Wines(バナマグー・ワインズ)
「Bunnamagoo Wines(バナマグー・ワインズ)」は、ここマッジーと更に冷涼な気候の「Rockley(ロックリー)」に5,000エーカーの広大なブドウ畑を持つ、マッジー有数の大規模なワイナリーです。
葡萄畑の長い一本道を抜けていくと、その先にある開けた広大なスペースに近代的な醸造所とCellar Door(セラードア)と呼ばれるテイスティングルームがあります。
セラードアではワインの知識が豊富でフレンドリーなスタッフの方の説明を聞きながら、ワインの試飲を楽しめます。ブドウの違いや製造方法、食べ物とのペアリングまで細かくアドバイスしてくれるので、ワインに詳しくなくてもかなり楽しめますよ。
訪問時には、試飲リストに17種類、その他リストに載っていないヴィンテージの赤が2種類、計19種類のワインを取り揃えていました。1杯ずつ飲み比べすると味の違いが顕著にわかるのが面白いですし、様々な品種のブドウからつくられたワインが一箇所のワイナリーで試飲できるのもオーストラリアならではです。
試飲後、気に入ったワインがあればお土産に購入してみましょう。筆者が試飲した中でも、その味が強烈に印象に残ったのが2007年のカベルネ・ソーヴィニヨンのヴィンテージ。一押し商品であるにもかかわらず$45.00(約3,900円)と気軽に楽しめる価格帯なのが嬉しいです。
少々ワインを飲み過ぎてしまった時は、外のテラスでお水を飲みながらの酔い覚ましがオススメ。心地いい風に吹かれながら、テラスの向こうに広がる広大なブドウ畑を眺めるのは最高です。
- バナマグー・ワインズ
- オーストラリア / 工場・施設見学
- 住所:603 Henry Lawson Dr, Eurunderee NSW 2850, Australia地図で見る
- 電話:(02) 6373-3046
- Web:http://www.bunnamagoowines.com.au/home/.aspx
Lowe Wines(ロウ・ワインズ)
マッジーの「オーガニック・ワイン」と言うと必ず名前が挙がるのが、こちらの「Lowe Wines(ロウ・ワインズ)」。ブドウを生産する土壌や過程から有機栽培にこだわった’’認定オーガニック・ワイン’’を製造しています。
ハーブガーデンの向こうに見える古い倉庫風の建物が、このワイナリーの醸造所兼セラードアです。建物前に置かれたシャビーなテーブル&チェア、パラソルがラスティックな雰囲気を醸し出していて、まるでオシャレなカフェのよう。『Gourmet Traveller WINE(グルメ・トラベラー・ワイン)』誌でセラードア賞を獲得したほど、マッジーでは人気のセラードアです。
国際大会で受賞歴もある、オーストラリアでは珍しい赤「Zinfandel(ジンファンデル)」を筆頭に、様々なワインを取り揃えています。オススメは一番人気商品の「Jodie(ジョディー)」。キャンディのような果実味溢れるほんのりした甘さを、炭酸の爽やかさですっきりと楽しめる珍しいロゼのスパークリングです。
テイスティング以外でのオススメは、何と言ってもテラスでのランチ。ロゼ・スパークリングで乾杯しながら、ハムやチーズ、オリーブなどがのった色鮮やかなプラッターで贅沢なひと時が過ごせます。
- ロウ・ワインズ
- オーストラリア / 工場・施設見学
- 住所:Lowe Wines, Tinja Ln, Mudgee NSW 2850, Australia地図で見る
- 電話:(02) 6372-0800
- Web:http://www.lowewine.com.au/
シドニーに訪れたらワイナリーへ
マッジーは小さな街ですが、全部で40軒以上のワイナリーがあるのでとても1日では回りきれません。シドニーからは少々距離もあるので、日帰りでの訪問も少し大変で。カフェや素敵なブティック、ギャラリーを巡ってみたり、レストラン併設のホテルに宿泊して、のんびりワイナリー巡りをする旅もオススメです。
- マッジー
- オーストラリア / 町・ストリート
- 住所:Mudgee, Australia地図で見る
- Web:https://www.visitnsw.com/destinations/country-nsw/...