アドリア海の沿岸に位置するクロアチアに、目を見張るような色鮮やかなエメラルドグリーンの湖とダイナミックな滝が魅力の世界自然遺産があります。それがプリトヴィツェ湖群国立公園です。戦地にもなった過去を経て、美しさを守り、今日に至るまで訪れる者を魅了してやまない国立公園の歩きかたをご紹介します。
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プリトヴィツェ湖群国立公園とは?
アドリア海岸に位置するクロアチアには、7箇所の世界遺産があります。そのうち6つがアドリア海岸に点在することはこちらの記事でご紹介しました。内陸に残る1か所、それが今回ご紹介する「プリトヴィツェ湖群国立公園」という世界自然遺産スポットです。
面積192㎡の広大な土地に、大小16の湖と92の滝がエメラルドグリーンの幻想的な景観を作り出しています。国立公園内では湖クルーズをしたり、洞窟や森散策などの遊歩道が整備されているところを自由に散策できます。ぜひ、歩きやすい靴と温度調節のしやすい格好で散歩してみてください。
戦地にもなった国立公園
プリトヴィツェ湖群国立公園の現在の美しい姿を眺めるときに、暗い過去があったことを忘れてはなりません。
国立公園は、もともと1979年にユネスコの世界遺産に登録されました。
しかし、1991年に勃発したクロアチア紛争における最初の武力衝突、プリトヴィツェ湖群事件の舞台となったのです。
1995年にクロアチア軍が奪還するまで、公園内は軍隊が占拠し、周辺のホテルや施設に駐屯しました。
ユネスコはプリトヴィツェ湖群国立公園を危機遺産リストに登録し、地雷撤去等公園の安全を守ることを最優先としました。現在ではクロアチアが誇る世界自然遺産として、その美しさを人々に伝え、訪れる世界中の人を魅了しています。
エメラルド色の世界を散歩
国立公園内への入場は、有料(大人55~180クーナ/約920円~3,000円※季節により変動)です。クロアチアの物価にしては割と高めですが、国立公園の保全費として活用されているようです。
徒歩での散策の他、入場料には湖を横切る電気ボート(船)や湖を眺めながら森の中を走るパノラマ列車の乗車代も含まれているので、歩き疲れたり、スムーズに絶景ポイントを押さえたい人はぜひ利用してみてください。
幻想的な色合いの上湖と下湖
国立公園内の湖エリアは、大きく分けて上湖と下湖に分けられます。両方を周遊すると、所要時間は4~6時間、下湖のみの場合は2~3時間必要となります。時間に余裕をもった行動をオススメします。
時間に余裕のある人は、ぜひパノラマ列車や電気ボートを駆使しながら上湖と下湖両方を訪れていただきたいと思います。
下湖は、洞窟や鍾乳洞が点在しており、クロアチア最大のプリトヴィツェ大滝、数々のガイドブックにもプリトヴィツェ湖群国立公園の代名詞として写真が載せられることの多いカルジェロヴァツ湖など、見所がたくさんあります。
標高が高いエリアにある上湖は、プランクトンの濃度が高く、緑色の濃度が高くて幻想的な風景が広がっています。クロアチアで最も美しいと言われるブルシュタヴツィ滝、電気ボートで湖遊覧が可能な園内最大のコジャック湖があります。上湖の湖群は、ドイツのドナウ川の支流となっています。
上湖、下湖ともに湖の色は紺碧、紺青、灰色など、絵に描いたような幻想的な色合いをしています。湖水の色は、ミネラルや有機物の量、日照の角度などによって絶え間なく変化しています。訪れる日、季節、時間によって違う顔を見ることができ、何度訪れても違ったプリトヴィツェの魅力を味わえます。
公園内の湖の透明度の高さはヨーロッパ随一といわれ、湖底に沈んだ倒木や湖を泳ぐ魚までもはっきりと見ることができます。貴重な植物、水鳥、澄んだ空気、ダイナミックで美しい自然の力にあなたも虜になること間違いありません。
※記事内のレートは2017年5月現在
- プリトヴィツェ湖群国立公園
- クロアチア / 自然・景勝地 / 絶景
- 住所:Plitvice Lakes National Park,Croatia地図で見る
- Web:http://www.np-plitvicka-jezera.hr/en/