フィンランドの首都ヘルシンキは、バルト海東部のフィンランド湾に面した小さな半島に位置しています。北極圏からそれほど遠く離れていませんが、ノルウェー沿岸を通る暖流の影響で、緯度のわりには冬でも比較的暖かく過ごせます。うっすら雪化粧した冬のヘルシンキはとても美しく、ほかの季節にはみられない独自の風合いを出しています。中でも人気スポットであるふたつの大聖堂と、白く凍った港の風景をご紹介します。
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フィンランドの首都ヘルシンキはこんな街
フィンランドの国土は南北に長い形をしていますが、首都ヘルシンキは南部の半島に位置し、周囲は海に囲まれています。国内最大の都市でありながら規模は意外とコンパクトであり、市内中心は徒歩での観光も可能です。
北欧の街というだけあって雰囲気は洗練されていて、近代的な景色の中に歴史的建造物や、重圧感のある建物などが見られます。雪のかぶった季節には北欧都市ならではの魅力が表れ、どこか気品が漂うようにも感じられます。
冬のヘルシンキは意外と暖かい
冬は氷点下の気温となりますが、北部の地域のように極寒とまではいきません。一月の平均気温はマイナス5度くらいで、ときには0度前後まで気温が上がるため、雪がみぞれ混じりになることも多いです。
北欧の冬というだけにどれだけ寒いのかと構えていたら、予想外に暖かかったと感じるケースは少なくないと思います。寒さ対策としては本格的な防寒具は必要なく、インナーを着込んだ上にダウンジャケットを着て、足元は裏起毛付きのスノーブーツを履くといった、いわゆる「暖かい格好」をしていれば問題ないでしょう。
そして冬の間は夜が長いですが、一年の中で最も昼が短い冬至であっても極夜にはなりません。ちなみに冬至前後は日の出から日の入りまでが約6時間ほどとなるようで、少し時期がずれた1月以降はさらに日が長くなるので、昼間の市内観光はじゅうぶん可能です。
冬のヘルシンキ観光
白く清楚な姿が美しいヘルシンキ大聖堂
ヘルシンキのシンボル的存在であり人気スポットとなっているのは、ドーム型の屋根に真っ白な外観のヘルシンキ大聖堂です。ヘルシンキ大聖堂は1852年に建てられ、1917年のフィンランド独立までは聖ニコラス教会と呼ばれていたそうです。
ヘルシンキ大聖堂には雪景色がよく似合っていて、街からその姿が見えたときは、あまりの美しさに見とれてしまうかもしれません。この辺りは交通量が多くないため比較的静かであり、周囲に積もる雪がより神聖さを演出しています。
内部はとてもシンプルなデザインで、中央の祭壇に飾られた大きな絵画と、天井から下がるシャンデリアがひときわ目立ちます。外観と同様に内装も白を基調としていて、派手な装飾はほとんど見られないため清らかな印象を持つでしょう。
後ろを振り返ると上階には立派なパイプオルガンがあり、強い存在感を漂わせながら空間の一部として存在しています。日曜日の午前はミサが行われ、どなたでも無料で参加することができるので、日程が合う場合はぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
赤レンガ造りのウスペンスキー寺院
海の近くの丘の上に佇むのは、赤レンガ造りのウスペンスキー寺院です。日本語では生神女就寝大聖堂(しょうしんじょしゅうしんだいせいどう)といい、この名前は聖母マリアの安眠(永眠)を意味しているそうです。
雪の降る中に見る赤レンガの建物というのは、なんともいえない独自の雰囲気をかもし出しています。それは力強さの中に、どこか胸がキュッとなるような儚さあり、建物と雪との対照的な色合いが、この場の美しさを引き立てています。
内部はとてもゴージャスで、知らずに足を踏み入れたときは、きらびやかな様子に驚くかもしれません。祭壇にはいくつもの絵画が飾られていて、まわりはキラキラと輝くゴールドの装飾が施されています。何か感想をいうとしたら、すごい!の一言で、その豪華さに圧倒されてしまいます。
そのほかに特徴的なのは、教会にありがちな木の長イスが置かれてないため、空間がより広々と感じられると思います。天井は高く柱にはとても細かい模様が描かれていて、こちらもゴージャスではありますが、同時に落ち着きも感じられます。
シンプルなヘルシンキ大聖堂とはイメージが大きく異なるので、ふたつの寺院を合わせて訪問してみると面白いのではないでしょうか。
冬には海が凍るエテラ港
ヘルシンキは海に面した街であり、国内外航路が利用できる「エテラ港」があります。冬のヘルシンキは極寒にまではならないといっても、やはりそれなりに冷え込むため、港では海面が凍り真っ白になっています。
観光スポットだけでなく、通りがかりのこんな冬景色も楽しんでみてはいかがでしょうか。ちなみにすぐ近くにはウスペンスキー寺院あり、ヘルシンキで最も古いと言われるオールドマーケットもあるので、街歩きをしながら港周辺にもぜひ立ち寄ってみてください。