江戸時代、幕府の命により、庶民で初めてコーヒーを飲んだといわれる青森県弘前の人たち。当時のめずらしい飲み方を再現した「藩士の珈琲」がここ、弘前でいただけるんです。ここでは、藩士の珈琲が生まれた成り立ちから、再現された「藩士の珈琲」の楽しみ方をご紹介します。
この記事の目次表示
庶民で初めてコーヒーを飲んだ、弘前市民たち
今では当たり前のようにある、私たちが大好きなコーヒーは、遡ること江戸時代にオランダから日本に持ち込まれました。
この頃、ロシアからの襲撃に備えた北方警備のため、幕府の命により弘前藩の藩士たちは蝦夷地(今の北海道)に向かいました。しかし極寒の地に就いた多くの藩士たちが、ビタミン不足による浮腫病にかかり命を落としてしまったといいます。
そこで浮腫病の予防のため、薬用として配給されたのがコーヒーです。蝦夷地に勤務した幕臣に届いた仕様書には、以下のようなことが書かれていました。
「黒くなるまでよく煎り、こまかくたらりと成迄つきくだき弐さじ程麻袋に入、 熱き湯にて番茶の如き色にふり出し、土びんに入置、さめ候得ばよくあたため、砂糖を入用るべし」
現在のドリップコーヒーのような淹れ方ですよね。
その当時、北方警備に向かったのは藩士だけでなく、農民や漁師などの庶民も多く含まれていたといいます。一部の特権階級の人々や蘭学者を除けば、日本ではじめてコーヒーを飲んだ庶民は青森県弘前市の人々だったということです。
今日では当時のめずらしい飲み方を再現した「藩士の珈琲」が弘前名物となり、多くの人に親しまれていますよ。観光のひとつとして、めずらしい「藩士の珈琲」をぜひ飲んでみてはいかがでしょうか。
土瓶で淹れる江戸時代のコーヒー
それでは、早速「藩士の珈琲」を体験してみましょう。今回は「藩士の珈琲」を復活させた成田専蔵珈琲店でいただきます。
「藩士の珈琲」をオーダーして、まず渡されるのがこの手作りのレシピ。成田専蔵珈琲店では、①豆をすることから始める、②すでに麻袋に入ったコーヒーを土瓶に淹れる、③お店が淹れた藩士の珈琲を楽しむ、の3つの飲み方を選ぶことができます。
今回は、②の麻袋に入ったコーヒーを淹れるところからオーダーしてみました。
お湯の入った土瓶に麻袋が入り、砂時計が落とされた状態で届きます。コーヒーを土瓶で蒸らし、待つこと1分。
今度は、麻袋を上下に1分ほど振り出します。はじめはお茶と何ら変わらない見た目でしたが、ちゃんとコーヒーが出てきましたよ。お好みでさらに麻袋を振り出し、濃いめのコーヒーにすることも可能だそう。
通常のレシピ通りのお味は、優しい薄味で、とろっとした口当たり。添えられた砂糖菓子とよく合います。昔の藩士たちも、こんな風に嗜んだのかと思うと、不思議な感覚がしますよ。一風変わった「藩士の珈琲」、ぜひ一度飲んでみては?
「藩士の珈琲」を取り扱うお店
弘前市内では、いくつもの喫茶店で「藩士の珈琲」を取り扱っています。詳しくはこちらをご覧ください。
筆者のオススメは、「藩士の珈琲」を復活させた成田専蔵珈琲店や、藤田記念庭園のなかにある大正浪漫喫茶室。どちらも雰囲気があり、素敵なお店ですよ。観光の一休みに、ぜひ立ち寄ってみませんか?
- 成田専蔵珈琲店 城東店
- 弘前 / カフェ・喫茶店 / コーヒー
- 住所:青森県弘前市城東北2丁目7-4地図で見る
- 電話:0172-28-2088
- Web:http://www.naritasenzo.co.jp/