イラク

【イラク】メソポタミアの神々降臨ジッグラト

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東京在住
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2023年7月23日更新

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写真:toshel

古代メソポタミア時代、イラクには多くの神が存在しジッグラトと呼ばれる巨大な聖塔に祀られていました。今回はイラク国内に遺る希少なジッグラト、バグダッド郊外のドゥル・クリガルズをご紹介します。

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ジッグラトとは?

ジッグラトは、「高い場所」を意味する古代メソポタミアの聖塔です。現在はイラク南部のウル、イランのチョガ・ザンビール、そしてここドゥル・クリガルズに遺すのみです。

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ジッグラトでは何が行われていた?

古代メソポタミアでは、ジッグラトの頂上に神々が住んでいると信じられ、宗教的な儀式が執り行われていました。通常は偉人と聖職に就く者しか入ることができなかったようです。

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古代メソポタミア文明の歴史とジッグラト

世界最古の文明発祥地であるメソポタミア(現イラク)は、民族系統が不明のシュメール人によって築かれます。ジッグラトはシュメール起源とされ、古代メソポタミアの大都市を中心に当時20箇所ほど存在したといわれています。ここで、古代メソポタミア文明の年表をご紹介します。

  • BC.5300 ウバイド文化(シュメール)
  • BC.4900 エリドゥ(シュメール)
  • BC.4000 ウルク文化(シュメール)
  • BC.3800 ウル(シュメール)
  • BC.3100 ラガシュ(シュメール)
  • BC.2334 アッカド帝国
  • BC.2112 ウル第三王朝
  • BC.2004 イシン・ラルサ
  • BC.1975 アッシリア(北メソポタミア)
  • BC.1894 バビロニア(南メソポタミア)
  •       ・バビロニア第一王朝
  •       ・海の国第一王朝
  •       ・カッシート王朝
  •       ・イシン第2王朝
  • BC.1500 ミタンニ
  • BC.625  新バビロニア
  • BC.539  ペルシャ帝国アケメネス朝(イラン)

古代メソポタミアの神々

古代メソポタミアでは、多数の神々が崇められていました。主となる一部の神をご紹介しますと、

  • エンリル(メソポタミアの神々の王)
  • アヌ(アッカドの天空神)
  • エンキ(エリドゥの水神)
  • イシュタル(エルビルの女神)
  • ウトゥ(アッカドの太陽女神)
  • シン(月神)
  • ナブー(書記の神)
  • アッシュール(アッシリアの神)
  • マルドゥク(バビロンの守護神)

一説によると、メソポタミアには2,400もの神々が存在していたそう。八百万の神の国の者としては親近感がわきますね。

ドゥル・クリガルズの特徴

今回ご紹介するドゥル・クリガルズは、バビロニア時代のカッシート王クリガルズ1世によって紀元前15世紀頃に建設され、中央の神殿に風、気、地球、嵐を支配する神エンリルが祀られました。3,500年経過し風化した現在でも約52メートルの高さがあり、相当な高さであったことは想像に難くないです。古代はもとより、中世も何世紀にわたってラクダキャラバン隊の「バグダッドへ近付いた」という目安となったようです。

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ドゥル・クリガルズは、一番高いこの中心の神殿周辺に9つの低い神殿があり、ほか3つの宮殿、5つの広い居住区を合わせ42万平方メートルに及ぶ広大な都市でした。バビロニア王朝の滅びたあとも、後期カッシートやパルティア、中世のサーサーン朝まで長きに渡って都市機能を有していたようです。この遺跡からは楔形文字タブレットが100枚以上出土しています。

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ジッグラトと日本の神社の共通点

ドゥル・クリガルズをはじめ、メソポタミアのジッグラトはどれも高い場所に設置されました。長い階段を上った先に神殿や拝殿を建てる文化は、日本の神社とメソポタミアのジッグラトくらいしかなく、この階段の様子も日本の神社に似ているように感じます。

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こちらは古代の出雲大社本殿の復元模型。

キリスト教会、イスラムモスク、ヒンドゥ寺院もユダヤシナゴークも仏教の国でも、一般人が祈る場所、神を祀る場所を特に高い所には置いておらず、道と同じ高さか、階段があっても10段や20段。シュメール人はじめ数々の古代キングが建設したメソポタミアのジッグラトは、ここに限らず必ず長い階段の上に神殿があります。

その他のジッグラト

ジッグラトはイラクにもう一つ、イランに一つ、原型に近いものが存在します。特にイランのジッグラト(チョガ・ザンビール(下記の写真左)は大規模に修復されているので、当時の建物により近いと考えられますが、何しろ古代のものですので実際はどのような形状をしていたのかは明らかになっていません。下記の写真右はイラク南部ウルにあるジッグラトです。

バビロニアのバベルの塔も、実際はジッグラトだったのではないかといわれています。

古代の風を感じる

ドゥル・クリガルズの基壇は登ることができます。この基壇は、故フセイン大統領の命により修復されています。ココに限らず、彼はこれらメソポタミア文明遺跡の大々的な修復作業を推し進めたそう。ドゥル・クリガルズはバグダッドから距離があるため、周囲に高い建物もなく視界を遮るものないため、基壇上から当時のバビロニア人と同じ風景を観ているのではないかと思わせる風景を眺めることができます。

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ドゥル・クリガルズの行き方

ドゥル・クリガルズのジッグラトの現在の地名は「アカル・クフ」といいます。バグダッドの中心部から車で30分前後。市内はトラフィックが多く交通渋滞がヒドイですので、一時間ほどかかる場合もあります。タクシーの場合は往復20,000〜25,000IDR(イラク・ディナール)およそ2,200円〜2,700円を目安に交渉すると良いと思います。中心地から離れ距離があるため、オートリクシャーでは断られることが多いです。

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入場料

イラク人以外:25,000IDR(イラク・ディナール)およそ2,700円(2022/5現在)

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Aqar Quf(アカル・クフ)のジッグラト
イラク / 遺跡・史跡
住所:9632+9VW, Abu Ghraib, イラク地図で見る

 

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この記事を書いたトラベルライター

地球旅~現在192ヵ国~
行ったことのない国を中心にひとり旅しています。他国の歴史、文化、宗教、遺跡、そしてそこに住む人々の考え方に興味があります。

車の運転が好きなので、海外ではドライブ旅を楽しんでます。普段は会社員です。

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