武家の古都・鎌倉には多くの寺院、史跡があり平日でも多くの観光客で賑わいます。鎌倉は、一般にJR横須賀線鎌倉駅、北鎌倉駅の周辺エリアを指します。ここに主要な寺院が集まっているため、ガイドブックに掲載されるのもこのエリアです。ところが、地元民の間では超有名なのに、ガイドブックになかなか紹介されない鎌倉のお寺があるのをご存知ですか?今回は地元民の視点から、その隠れスポットをご紹介します。
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みんな驚く、観音様と初顔合わせスポット
東京から鎌倉に行く場合、前述したとおりJR横須賀線を利用するのが一般的な方法ですが、JR東海道線を使って「大船」という駅でJR横須賀線に乗り換える方法もあります。
このアクセスの違いによって、隠れスポットに気付く、気付かないの差が出てしまうのです。というのも、大船駅からその隠れスポットが、「これでもか!」というくらいハッキリ目視できるのです(それって、ぜんぜん隠れてないかも・・・)。
それでは、その景色をご覧ください。
どーん! いかがですか。 みなさんお気付きですよね? 歩道橋の向こう、山の中に巨大な観音様のお顔が見えます。幸運にも大船駅で乗り換えた方は「えっ?」「何あれ!?」「大きい!」と驚く方続出です。地元民としては「ふふふ。そうでしょう。そうでしょう。」と、してやったりの気持ちなるのが、ここからの景色です。
せっかく鎌倉に観光に行くのなら、大船駅で途中下車してみるのはいかがでしょうか?
観音様までのアクセス
それでは、大船駅からの具体的なアクセスをご紹介しながら、観音様を目指しましょう。
大船駅で下車したら、ホームから階段を登って改札階に向かいます。大船駅は北と南の2つの改札がありますが、観音様に向かうには南改札を通ります。
大船駅構内は、エキナカがとっても充実しています。観音様参拝の前に、ここで腹ごしらえもできますよ。
それでは南改札を出たら右に曲がりましょう。少し長い通路を通ると左側に歩道橋と下り階段がありますので、階段を降りていきます。
駅を出ればすぐに「大船観音」入り口を確認することができます。
「大船観音」の案内表示の奥に進むと、突き当りの左手すぐに「大船観音寺」の入り口が見えます。
少しきつめの坂道を登ります。足腰が弱い方は少し大変かもしれませんが、距離は短いので頑張っていきましょう!
すぐ真横には竹林が茂っています。竹は成長力が強く、根は1年で8メートルほど伸びるとも言われています。元気な竹の根が所々アスファルトを持ちあげているので、歩く際は注意しましょう。
坂道を1、2分ほど登ると山門が見えてきます。拝観料をお納めして、山門の前で一揖(注:浅いお辞儀のこと)して中に入りましょう。
全国でも珍しい上半身だけの観音様
境内の案内に従って歩いていくと、またまた「どおん! !」と赤いのぼり旗が連なる奥に、真っ白な観音様のお姿が現れます。穏やかな表情は、きつい坂道を登ってきた私たちを優しく迎えてくれます。
赤い旗と真っ白な観音様のコントラストは、写真映えする絶好の撮影スポットです。
階段を登り、観音様のお姿を真近で見て、真っ先に「ありがたや・・・」と言うところですが、ここで「おやっ!?」と思うはず。もう一度、遠くから見た時のお姿を思いだしてください。
木々の間からお顔だけが見えていましたね。なんとなく直立全身タイプの観音様だと思っていませんでしたか?
実は上半身だけと、全国でも珍しい観音様なのです。地元のちびっ子達の間では、「山の中に体が埋まっている」という都市伝説が流れていたりしますが、残念ながらそうではありません。
大船観音は知っているけれど、この事実を知らない方も結構いるので、「あの観音様、上半身だけなんだよね。」とドヤ顔でお友達に教えてあげるのもお勧めです。
ちなみに、生まれた時からこの観音様に慣れ親しんでいる地元民は、他の直立タイプの観音様を見るとびっくりするんですよ。
大船観音建立までの歴史
ここで少し大船観音の歴史について簡単にご説明しましょう。
大船観音は地元有志が発起人となり「観音思想の普及を図り、以って世相浄化の一助となさん」ということで寄付金を募り、昭和4年に工事が着手されました。
ところが、世界恐慌によって費用は思うように集まらず、5年後には工事を中断することになります。そのまま、なんと20年以上放置されてしまいました。
再度、昭和29年に別の方々が発起人となって工事が再開され、昭和35年に完成しました。完成までおよそ30年近くかけられた観音様なのです。
地元の方々の強い「信仰の場」を作るという思いが、現在の大船観音寺の礎となっているのです。