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絶世の美女・楊貴妃観音像に会える。皇室ゆかりの京都【泉涌寺】

取材・写真・文:

トラベルライター

2018年4月18日更新

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写真:トラベルライター

京都東山区にある泉涌寺(せんにゅうじ)。東山三十六峰の一つ、月輪山の麓にたたずむ寺院は、皇室の菩提所であることからゆかりも強く「御寺(みてら)」とも呼ばれています。境内の楊貴妃観音堂には、世界三大美人とも言われる「楊貴妃観音像」があり、美を願う女性の参拝客が絶えません。また、西国三十三所の第15番札所でもある「今熊野観音寺」や、山内に10mの高さがある釈迦如来立像が安置された「戒光寺」など、合わせて参拝したい寺院が。緑も多く清々しい気持ちにもなる月輪山ふもとの寺院群。その魅力をご紹介します。

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歴史的風土特別保存地区として守られた泉涌寺一帯

  • 写真:トラベルライター自然の中にただずむ泉涌寺。道中も緑に囲まれている。

東山三十六峰の一つである月輪山のふもとにある泉涌寺。

この寺院がある地域は、今回合わせてご紹介する「今熊野観音寺」と共に歴史的風土特別保存地区に指定されています。歴史的風土特別保存地区とは、歴史的価値が高いと国土交通省に指定されている「歴史的風土保存区域」の中でも、さらに枢要(すうよう)として定められた地域のこと。

歴史的な価値が高い建造物と自然環境の一体化が素晴らしいとされ、現状の様子に手を加える変更行為を厳しく禁止。風土の保存に努められている地域なんです。建造物と共に、自然環境も古くから守り続けられている場所だからこそ、参道を歩いているだけで清々しく身が引き締まる思いがします。

皇室ゆかりの「泉涌寺」

泉涌寺ってどんなお寺

  • 写真:トラベルライター大門

泉涌寺は、弘法大使空海がこの地に結んだ庵が始まりです。当初は法輪寺と名付けられ、のちに仙遊寺という名に。

その後、1219年にこの地の寄進を受けた月輪大師・俊芿(がちりんだいし・しゅんじょう)が宋の様式を取り入れた大伽藍の寺院の造営を行い、その際に敷地内から清水が湧き出たことにより泉涌寺と名を改めました。

  • 写真:トラベルライター寺院名の由来となった清水を覆う「泉涌水屋形」 清水は絶えることなく今も沸き続けています。

皇室ゆかりの御寺

月輪大師は時の公家・武家両家から深く帰依され、1242年に四条天皇が崩御された際、この地で葬儀が営まれ山稜が造営されました。その後も天皇・皇后の葬儀の多くがこの寺院で営まれ山稜が設けられたことから皇室の菩提所となり、「御寺(みてら)」とも呼ばれるようになりました。

仏殿

  • 写真:トラベルライター仏殿

創建当時の建物は応仁の乱で焼失し、今あるものはその後に建設されたものです。仏殿は、1668年江戸幕府四代将軍の徳川家綱によって再建。国の重要文化財に指定されています。

仏殿内には、運慶作と伝わる阿弥陀・釈迦・弥勒の三尊仏が安置され、天井には狩野探幽筆の蟠龍(ばんりゅう)図が描かれいます。また、日本最大の涅槃図である「大涅槃図」が三尊仏の前にある箱に収められています。普段は非公開ですが、毎年3/14~16のみ公開されます。

舎利殿

  • 写真:トラベルライター舎利殿

釈迦の歯が安置されている舎利殿は、京都御所の建物を移築改装したもの。殿内は通常は非公開ですが、12年に一度、辰年の時のみ一般公開され、「鳴龍」として知られる天井の狩野山雪筆の雲龍図を見ることができます。

世界三大美人・楊貴妃観音像

泉涌寺大門を入り、左手奥にある小さな観音堂。中心にある仏殿や舎利殿に比べると、かなりこじんまりとした印象を受ける建物ですが、この中に世界三大美人の一人とも言われる楊貴妃をモデルとした観音像が祀られています。

  • 写真:トラベルライター楊貴妃観音堂

楊貴妃は唐の玄宗皇帝の妃で、絶世の美女として知られています。その美しさゆえ、皇帝に寵愛され過ぎ安史の乱を引き起こしたほど。その乱で命を落とした楊貴妃を偲んで、玄宗が等身坐像にかたどった聖観音像を造らせたと言われています。

1230年、中国に渡った湛海(たんかい)によって日本に持ち帰られこちらに安置されました。以後、昭和31年までは100年に一度しか見ることができない秘仏でしたが、今では常に公開されその美しさを拝むことができます。

残念ながら撮影不可のため写真を掲載することはできませんが、お顔立ちや宝冠の装飾が非常に美しい観音像です。特に女性からの信仰があつく、「良縁」や「美人祈願」「安産」などの願いを叶えてくれると言われています。絶世の美女の恩恵をぜひ受けてみてください。

泉涌寺
東山・祇園 / 寺 / 紅葉 / パワースポット
住所:京都府京都市東山区泉涌寺山内町27地図で見る
電話:075-561-1551
Web:http://www.mitera.org/

合わせて行きたい、2つの寺院

泉涌寺のある月輪山麓には、複数の泉涌寺塔頭があります。その中で、おすすめの2箇所をご紹介します。

今熊野観音寺

  • 写真:トラベルライター今熊野観音寺 本堂

西国三十三所巡り第15番札所になっている今熊野観音寺。平安時代、弘法大使空海によって開かれたお寺です。

  • 写真:トラベルライターお子さんの成長や学業成就を願うなら、「子護大使」にお参りを。
  • 写真:トラベルライター頭の悩み解消のご利益、「ぼけ封じ」観音様のお姿も。

境内には、子護大師と呼ばれる空海像が。足元に戯れる子供たちを守るようなどっしりとしたお姿です。お子さんやお孫さんの「心身健康」や「学業成就」などをお願いした方はぜひ。

またこちらのお寺にあつい信仰を寄せていた後白河法皇が、観音様が夢に現れた後、ずっと悩まされていた頭痛が治ったとも言われ、それ以後、「頭の観音さん」として頭の悩みを解消してくれると人々の信仰をあつめています。

今熊野観音寺
東山・祇園 / 寺 / 紅葉
住所:京都市東山区泉涌寺山内地図で見る
電話:(075)561-5511
Web:http://www.kannon.jp/

戒光寺

  • 写真:トラベルライター

鎌倉時代に後堀河天皇の勅命によって建立されたお寺。当初は、大宮八条の東堀川の西に位置していましたが、応仁の乱で焼失。再建後、何度か移転をし、1645年に現在の場所に移転されました。

こちらでの見どころは、応仁の乱の消失も間逃れた鎌倉時代の仏師、運慶・湛慶親子合作の本尊「釈迦如来立像」。木造で、台座から光背部まで入れるとその高さは10メートルにもなります。

  • 写真:トラベルライター本尊の釈迦如来立像が安置されている本堂
  • 写真:トラベルライター本尊撮影禁止のため、こちらの写真のみでのご紹介。現地でぜひ実物をご覧ください。

後水尾天皇が皇太子の際、即位争いが起こり暗殺されそうになったのですが、その時にこちらの釈迦如来が身代わりに立たれ、一命を取り留めたと言われています。

その証の刀傷と血の跡が像には残っており、以来、「悪いことからの身代わりになっていただける」「首から上全ての病気にご利益がある」と身代わり丈六さんと呼ばれ人々の信仰をあつめています。

戒光寺
東山・祇園 / 寺
住所:〒605-0977 京都府京都市東山区泉涌寺山内町29 泉山 戒光寺地図で見る
Web:http://www.kaikouji.com/

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