
「鎌倉」と言えば多くの人が連想するのが、青銅色の巨大な大仏様ではないでしょうか?そんな鎌倉のシンボル的な存在でありながら、実はいつ誰が何のために建造したものなのか、はっきりとわかっていない不思議な存在でもあるのです。大仏様の悠然としたお姿と、境内をじっくり散策しながら、今も確認することのできる謎の片りんをご案内します。そうだったんだ!どうして?という驚きと共に巡る鎌倉大仏は、とっても見ごたえがありますよ。いざ鎌倉へ!
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意外と知られてない大仏の謎
「鎌倉」と聞いたら、どのような風景を思い浮かべますか?
おそらく十中八九、くるくるへアーで少し猫背でうつむいて、どっしり鎮座する青銅色の大仏様を思い浮かべるのではないでしょうか?
インターネットの検索キーワードの傾向を見ても、鎌倉と大仏はセットで検索されており、鎌倉旅行者にとってマストスポットとも言えるべき場所です。
鎌倉を最も代表するスポット、といっても過言ではないくらい有名な鎌倉大仏。こんなに有名なのに、誰がいつ何のために建立したかわかっておらず、謎に包まれているってご存知でしたか?
年間を通して多くの人が訪れる鎌倉大仏ですが、意外とこの事実を知っている人は少ないはず。せっかく行くのであれば、これからご紹介する謎を知ってから訪れると、楽しみがぐっと増しますよ!
鎌倉大仏はどこにあるの?
さて、鎌倉大仏はどこにあるのでしょう?「鎌倉大仏」のキーワードが有名すぎるので、意外と大仏が鎮座するお寺の名前を知らない人が多いのです。
鎌倉大仏は「高徳院」というお寺にあります。高徳院は、神奈川県鎌倉市長谷にある浄土宗の寺院です。カーナビなどで「鎌倉大仏」と検索しても出てこない場合があるので、ご注意くださいね。
また、高徳院は「鎌倉駅」ではなく、江ノ島電鉄の「長谷駅」で下車し、そこから歩いて7分くらいのところにあります。
主要な観光スポットの集まっている鎌倉駅から離れた場所にありますので、他の寺院散策とあわせて観光を予定している場合は、時間配分に注意しましょう。
駅を降りると、「鎌倉大仏」の案内が見え始めます。見つけられなくても、駅を出た後は、沢山いる観光客の流れについていけば、自然と大仏に到着してしまうくらい、観光客が絶対に行くスポットでもあります。
大仏までの道は、住民の生活道路という感じであまり広くありません。歩道も狭く、すれ違うのに少し苦労するほどです。平日・休日関係なく、日本でも有数の観光スポットに続く道は常に人で賑わっています。
非常に狭い歩道のわきには、ついつい目を奪われてしまいそうなカラフルでポップな雑貨店や、あま~い香りの漂うお菓子屋さんが並んでいます。ついつい、立ち止まって他の人とぶつからないように注意してくださいね!
いざ高徳院へ
目移りするお店が立ち並ぶ通りを満喫しながら、本日の目的地「高徳院」に到着。あの超有名な大仏様に、ついにご対面です。
高徳院の敷地はそんなに広くはありません。敷地内に入り、チケットカウンターを通り抜けると、すぐにドバーン!という感じで大仏様を拝むことができます。大仏のまわりに高い建物がないので、空と大仏というハッキリとしたコントラストの風景が広がっています。
「え?もういきなり見えちゃうの?」と、ビックリして声に出す人もチラホラいます。
大仏は台座を含むと、高さ約13.4m、重さ約121tという巨大さです。大仏様の前に立つ人と比較して、その大きさを大体わかっていただけるでしょうか。
いきなり見えてしまう、という印象を持つ理由として、敷地内に入ってすぐにあるという距離的な理由の他に、他の大仏と違うもう一つの理由があります。
たぶん日本で一番有名な大仏様は、奈良の東大寺の大仏ですが、その大仏様を思い浮かべてください。
写真は奈良の大仏様です。大仏様の周りに、壁と天井が見えますね?一方、鎌倉の大仏は、建物の中にいるわけではなく、野ざらしです。
昔は大仏殿(大仏様を覆う建物)が存在していましたが、度重なる台風や津波によって、大仏殿は壊れてしまいました。
高徳院に実際に行ってみると、こんなところまで津波がくるの?と不思議になるほど海岸線からは離れていますが、当時の海岸線はとっても近く、実は先ほど通った雑貨店の付近にありました。
最近の発掘調査では、大仏殿は60あまりの礎石に支えられるほどの立派なものだったことがわかっています。
境内にはそこかしこに、この礎石があります。意外とその事実を知っている人は少ないので、この礎石を「ちょうどいい腰掛けスペースがあるなあ」とくつろいでいる人も多いのです。でもこれこそ、大仏殿を支えていた礎石なんですよ!
大仏内部に潜入!
さて、大仏の前で存分に記念撮影を楽しんだら、次は大仏胎内を拝観してみましょう。たまに胎内に入れることをご存じなく、大仏と記念撮影だけで帰ってしまう方もいるので、この機会ですから入っておかないともったいないですよ!
大仏の後方の脇に入口があります。拝観代として20円をお納めして、内部に潜入しましょう!
薄暗い胎内に入ってしばらく目を慣れさせると、内部のいろんなものが見えてきます。壁に沿って観察してみると、格子模様になった鋳造の継ぎ目や、補強の跡を見ることができます。
この大がかりな大仏は、体の部分が7つのパーツ、頭は11のパーツで分けて作られているそうです。これは鋳造の跡なのですね。
大仏の素材は青銅ですが、実は一部プラスチックが使われています。プラスチック製の大仏は、かなり珍しい存在です。そのプラスチックは、大仏の首にあたる部分に使われています。鎌倉の大仏様は少し猫背なので、この強化プラスチックが大きな支えとなっているのでしょうね。
写真は首の部分を真下から見たものです。他と色が違う部分があるのがお分かりでしょうか?これは大仏を補強した際に使われた、特殊なプラスチックによるものです。
胎内は、「へえ~」とか「ふぅ~ん」といった感じで、興味深そうに製造の過程を眺める人々で混雑しています。直接触ることもできるので、ペタペタという音とともに、かなりの人が感触を確かめています。
胎内には特別照明があるわけではなく、背中の部分から自然光を採り入れています。これが外から見るとカッコいいんですよ!
なんだか巨大ロボットが飛び出すための噴射口という感じなので、裏側もぜひカメラにとってくださいね。