沖縄本島の東南にある久高島。安座間港からフェリーで20分ほどのところにある、周囲8キロほどの小さな島です。かつてここに天からアマミキヨという神が降りてきて、のちに琉球王国となる島々を作ったとされます。この島へは琉球の歴代の王も巡礼し、ニライカナイ(異界)に近い場所にあると言われています。今回は、あまり観光地化されておらず、今でも多くの祭祀が行われる琉球王国はじまりの地、久高島を紹介します。
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ニライカナイからの船が停泊すると言われるイシキ浜
久高島には公共の交通機関は存在しません。ですが周囲8キロほどの平坦な島なので、フェリーの待合所などで貸し出されているレンタサイクルで簡単に1周できます。
島の東側に沿って北の方へ進んで行くと、砂浜に出られるようになっているところが何か所かあります。
集落の近くにあるピザ浜やイチャジキ浜を通りすぎたところにあるのがイシキ浜です。
ここに五穀の入った壺(伝承によってはひょうたんとも言われています)が流れ着いて琉球王国に五穀が広まったと伝わっています。また、ニライカナイからの船が停泊する場所ともされています。神聖な場所であり、遊泳はもちろん、貝殻や石を持ち帰ることもできませんので注意しましょう。
琉球王国でも最高の聖地であるフボー御嶽
久高島の中央からやや西よりにちょっとした森があります。
ここはフボー御嶽(うたき)と言い、アマミキヨが初めに作った七御嶽(聖域)の1つです。奥には円形の広場があり、そこでノロ(御嶽を管理する神女)が祭祀を行います。かつては女性のみ見学できましたが、今では男女問わず立ち入りが禁じられています。入り口から静かに見学しましょう。
アマミキヨが降りてきたカベール岬
久高島の北東にはカベール岬に続く白い一本道があります。道の両脇の植物群落は沖縄県の天然記念物に指定されています。
白い道を抜けると、カベール岬にたどり着きます。ごつごつとした岩が特徴で、本島が近くにあるとは思えない青い海が広がっています。
アマミキヨが降り立ったのはこの岬だと言われています。
神女がみそぎをするための井戸、ヤグルガー
島の北東にはヤグルガーという井戸があります。「ガー」は井戸の意味であり、神女が禊(みそぎ)をする際、ここで体を清めます。
ヤグルガーだけでなく、ヤグルガーへ降りるための階段から見える景色にも注目です。
イラブー汁や海ぶどう丼が味わえる食事処とくじん
島の南、船の待合所のすぐ近くにある、「食事処とくじん」。島では数少ない飲食店の1つです。ここでは海ぶどうとかつお節がのった海ぶどう丼や、イラブー汁が味わえます。
島の南にしか飲食店はないため、島内の探索をする前にここで食事していくと良いでしょう。
- 食事処とくじん
- 南城市 / 郷土料理 / ご当地グルメ・名物料理
- 住所:沖縄県南城市 知念久高238地図で見る
- 電話:098-948-2889
- Web:http://www.kudakajima.jp/tokujin.html
終わりに
久高島は、観光客を対象にしたレストランやレンタサイクルがある以外は、ほぼ観光地化されていません。以下の点に気をつけて、節度を持って、アマミキヨが降臨したと言われる島を訪れてみてくださいね。
- 島内のもの(砂、石、貝など)は売られているものをのぞき、持ち出し禁止です。
- イシキ浜を始め、遊泳禁止の砂浜が何か所かあります。注意書きがないか確認し、島の方に訊ねてから泳ぐ方が良いでしょう。フボー御嶽など、島内の立ち入り禁止エリアにも同様に注意が必要です。
- 普段は立ち入り可能でも、神事の時だけ立ち入りが禁じられたり、観光客が見学のできない神事が行われることもあるので、久高島の船の待合所などで最新の情報を入手しましょう。
- 飲食店や売店は島の南部に集中しています。自転車で2時間〜3時間あれば回れる規模ですが、北へは準備を整えてから行きましょう。