ポルトガル
ポルトガル観光
ユーラシア大陸最西端の国で見たい美しい町並み

【ポルトガル】①ポルトのアズレージョを追う旅

取材・写真・文:

東京在住
訪問エリア:192ヶ国

2025年11月18日更新

16view

お気に入り

写真:toshel

ポルトガルでは、街の至る所で伝統文化であるアズレージョを見ることができます。アズレージョとは何か?今回は北の大都市ポルトに絞り、アズレージョを追ってみることにします。

この記事の目次表示

ポルトで必見のアズレージョ建築

ポルトは「青の街」と呼ばれるほど、アズレージョが街のアイデンティティを形作っています。観光名所を巡るだけでなく、日常の風景に潜むアズレージョを探して、ポルトガルの街を転々としてみます。今回はポルトに絞ってアズレージョを探してみたいと思います。

アズレージョとは

アズレージョ(Azulejo)は、ポルトガルやスペインのアンダルシア地方で発展した装飾タイルのことです。語源はポルトガル語の「azul」(青)やアラビア語の「al zulayj」(小さな磨かれた石)に由来すると言われておりますが、いずれにしてもイスラム美術の影響を強く受けています。ポルトガルでは白地に青の絵付けが有名で、ほかにも緑・黄・褐色など多彩な色も使われます。幾何学模様、宗教画、歴史的場面、日常生活など幅広いテーマが描かれます。 ポルトガルでは、途絶えることなしに5世紀もの間生産され続け、駅・教会・大聖堂などポルトガル全域にわたりアズレージョが点在し、文化の要素となっています。

  • 写真:toshel

アズレージョの歴史

アズレージョは、イスラム文化に由来する幾何学模様の装飾タイルで、14世紀ごろにムーア人によってイベリア半島に広まりました。16世紀にはセビリアから持ち帰った王マヌエル1世によって現在のポルトガル国内に広まり、17〜18世紀には青と白のアズレージョが黄金期を迎えます。教会や修道院、宮殿に大量に使用され、宗教画や歴史的場面を描く大規模な壁画的作品が教会や修道院を飾りました。19〜20世紀には駅舎や公共建築にまで普及して都市景観の一部となり、現代では芸術作品として保存されつつ日常生活や観光資源としても重要な役割を果たす、ポルトガル文化を象徴する存在へと発展しました。

  • 写真:toshel

現代では、芸術性のある巨大な壁画のように街を彩り、建築と一体化した美術作品となっています。また、これらは実用性あり、湿気に強く建物の保護にも役立ちます。そして、ポルトガルのアイデンティティを象徴する文化遺産となりました。

アズレージョの美しいポルトの建築

アズレージョは「ポルトガルの街を青と白で彩る物語のタイル」です。駅や教会だけでなく、一般家庭の家の外壁にも使われており、街歩きの楽しみのひとつになっています。 今回は、ポルトガルの北の大都市ポルトで見られる「アズレージョの代表的な建築」についてご紹介します。

サン・ベント駅(Estação de São Bento)

サン・ベント駅のアズレージョは、約2万枚の青と白のタイルで構成され、ポルトガルの歴史的出来事や人々の暮らしを壮大な壁画として描き出されています。

  • 写真:toshel

ポルト中心部に位置するサン・ベント駅は、1916年に開業し、フランスのボザール様式を取り入れた建築家ジョゼ・マルケシュ・ダ・シルバによる設計で建てられました。駅構内のアズレージョは、著名な画家ジョルジェ・コラソによって1905年から1930年にかけて制作され、完成までに11年を要した大作です。

  • 写真:toshel
  • 写真:toshel

壁面を覆うアズレージョには、ジョアン1世のポルト入城(1385年)やセウタ征服(1415年)、ヴァルデヴェスの戦い(1140年)といった歴史的場面が描かれています。また、農村の田園風景や祭りなど、庶民の日常生活も表現されており、ポルトガルの歴史と文化を一望できる「タイルの博物館」とも言える空間です。

  • 写真:toshel

駅に入ると、壁一面に広がる青と白の世界が訪れる人を圧倒し、鉄道利用者だけでなく観光客も足を運ぶ人気スポットとなっています。アメリカの旅行雑誌『Travel & Leisure』でも「世界で最も美しい駅」のひとつに選ばれたことがあるほど、その芸術的価値は国際的に認められています。

  • 写真:toshel

このアズレージョは単なる装飾ではなく、ポルトガルの歴史を物語る視覚的記録であり、駅を訪れる人々に文化的な体験を提供しています。まさに、旅の始まりにふさわしい「歴史と芸術の玄関口」と言えるでしょう。

  • 写真:toshel
サン・ベント駅
ポルトガル / 駅 / インスタ映え
住所:Praça de Almeida Garrett, 4000-069 Porto地図で見る

カルモ教会(Igreja do Carmo)

カルモ教会のアズレージョは、ポルト市内でも最大級の規模を誇る外壁装飾で、青と白のタイル画が壮大に広がっています。

  • 写真:toshel

モチーフは宗教的な場面や聖人の物語が描かれており、信仰心を視覚的に伝える役割を果しています。清涼感のある美しさ。

  • 写真:toshel

場所はポルト旧市街にあり、ポルト大学のすぐそば。教会自体はゴシックとロココ様式を融合した建築で、ファサードにはアズレージョは施されておりません。

  • 写真:toshel

内部の装飾はファサードの重厚さをそのままに、金色に輝くロココ様式の祭壇や天井装飾が施されています。

  • 写真:toshel

カルモ教会のアズレージョは、ポルト観光で必見の芸術的スポットの一つです。

カルモ教会
ポルトガル
住所:カルモ教会地図で見る

サント・イルデフォンソ教会(Igreja de Santo Ildefonso)

サント・イルデフォンソ教会のアズレージョは、ポルトの街並みを象徴する壮麗な外壁装飾で、約11,000枚の青と白のタイルにより聖イルデフォンソの生涯が描かれています。

  • 写真:toshel

場所は、ポルト旧市街のバターリャ広場に面して建ち、建築様式は18世紀に完成した初期バロック様式です(1739年竣工)。名称の由来はスペイン・トレドの大司教であった聖イルデフォンソに捧げられています。こちらもサン・ベント駅のアズレージョも手掛けた巨匠でありポルトガルを代表するアズレージョ画家ジョルジェ・コラコ(Jorge Colaço)による作品です。

  • 写真:toshel

正面ファサード二つの鐘楼に挟まれた中央部分がアズレージョで覆われ、荘厳な雰囲気を放ちます。ポルトの澄んだ空と調和し、遠くからでも目を引きますよ。

  • 写真:toshel
サント・イルデフォンサ教会
ポルトガル
住所:サント・イルデフォンサ教会地図で見る

ポルト大聖堂(Sé do Porto)

ポルト大聖堂は、大聖堂は12〜13世紀のロマネスク創建に始まり、後世の改修でゴシックやバロック要素が混在する荘厳な教会です。

  • 写真:toshel

18世紀に増築された際、回廊に物語性のある青と白のタイル画で壁面が連続的に描かれ、主に内部(回廊、礼拝堂、部屋)に印象的なアズレージョが集中しています。

  • 写真:toshel
  • 写真:toshel

場所は旧市街の高台にあり、サン・ベント駅から坂を上って徒歩圏です。

  • 写真:toshel
ポルト大聖堂
ポルトガル / 社寺・教会 / 教会
住所:Terreiro da Sé, 4050-573 Porto, ポルトガル地図で見る

その他の街角や建物

ポルトの街自体が「アズレージョ美術館」とも言えるほど、一般住宅や商店の外壁にも青と白のタイル装飾が散見されます。

  • 写真:toshel

ポルトでアズレージョを堪能するなら、サン・ベント駅・カルモ教会・サント・イルデフォンソ教会・ポルト大聖堂が必須スポットです。さらに街歩きで住宅や商店の壁に施されたアズレージョを探すと、ポルトの魅力をより深く味わえます。

  • 写真:toshel
  • 写真:toshel

ポルトの行き方

日本から直行便はありませんので、ポルトガルへ行く場合は、以下の都市等での乗り継ぎが一般的です。

  • イスタンブール(ターキッシュエアラインズ)
  • ドバイ(エミレーツ航空)
  • アブダビ(エティハド航空
  • ヘルシンキ(フィンエアー)
  • フランクフルト(ルフトハンザ航空)
  • パリ(エールフランス)
  • 写真:toshel
ポルト
ポルトガル / 町・ストリート
住所:Porto, Portogal地図で見る

ポルトガルの旅行予約はこちら


ポルトガルのパッケージツアー(新幹線・飛行機付宿泊プラン)を探す

ポルトガルのホテルを探す

ポルトガルの航空券を探す

ポルトガルの現地アクティビティを探す

ポルトガルのWi-Fiレンタルを探す

この記事で紹介されたスポットの地図

関連するキーワード

※記事内容については、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

あなたにオススメの記事

この記事を書いたトラベルライター

地球旅をしています~現在192ヵ国~
行ったことのない国を中心にひとり旅しています。他国の歴史、文化、宗教、遺跡、そしてそこに住む人々の考え方に興味があります。

車の運転が好きなので、海外ではドライブ旅を楽しんでます。普段は会社員です。

【ホンジュラス】世界屈指の犯罪都市テグシガルパ

世界の治安が悪い国ランキングなどを見ると、毎年必ず上位になってしまうホンジュラス。しかし、手つかずの美しい自然が多く、世界遺産に登録されたマヤ文明のコパン遺跡を...


【レバノン】ベイルート・ビブロス・バールベックの見どころ

遠い昔、世界の中心が地中海にあった時代、レバノンは東西貿易の交差点となる重要な位置にあり、繁栄の極みにありました。古くから数多くの王様や将軍が、この土地を挙って...


カリブの島はどこがいい?陽気レゲエでちょっぴり危険な「バルバドス」どこまでも静かな「アンティグア」

カリブ海には、大小様々な島がおよそ700あります。そのほとんどは欧米各国の領土で、独立国はわずか13カ国のみ。今回は、その中より対極にある2つの小さな島国をご紹...

【サウジアラビア】ついに観光ビザ解禁!閉ざされていた王国の珍しい文化と各都市の見どころ

観光での入国が困難だったサウジアラビアが、2019年9月27日に突然、ツーリストビザの発給開始を発表しました。今回は、サウジアラビアに古くからある慣習と文化、そ...

【ベネズエラ】世界の危険都市上位?首都カラカス

世界屈指の産油国にしてハイパーインフレーションに陥った南米の国ベネズエラ。かつて、スペイン植民地から独立へと導いた英雄「シモン・ボリバル」の生まれ育った街でもあ...

トラベルライターインタビュー Vol.3 Emmyさん

【トラベルライターインタビューVol.3】一人旅を応援する記事を多数執筆!Emmyさんならではの人気記事執筆のコツやその原動力に迫ります