ゆかたの生地で有名な有松絞り。これは名古屋の有松地区の伝統工芸です。その有松地区が、令和最初の日本遺産に認定されました。有松には昔ながらのつくりをした建物が軒を連ね、江戸時代の宿場町の風情を感じることができます。旧東海道沿いに位置するため、弥次さん喜多さんも旅の途中で通過したといわれています。
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有松とは
有松は名古屋市内にある江戸時代の面影を感じることのできる街です。江戸と京都を結んだ旧東海道沿いの集落で、絞り染めの産地として栄えました。今でも卯建(うだつ)を設けた瓦の屋根、塗籠造(ぬりごめづくり)、虫籠窓(むしこまど)といった特徴を持つ伝統的な建築物と町人が住んでいた町屋が立ち並び、有松の町並を形成しています。
この町並みは、国が選定する「重要伝統的建造物群保存地区」にも選ばれています。
伝統工芸品の有松絞り
有松絞りの特徴は、生地を何カ所も糸で縛りその数や大きさで模様をつけたり生地に凹凸を出すところにあります。伝統工芸として今も受け継がれています。
絞り染めは〝粋〟なものとして江戸時代の旅人に人気がありました。故郷へのお土産にと、絞りの手拭や浴衣などを買っていき、東海道一の名産品となりました。北斎や広重の浮世絵の中にも描かれています。
レトロな町並は散策が楽しい
江戸時代のような長屋が軒を連ねる街並みは、名古屋市街並み保存地区にも指定されています。有松絞りの暖簾を掲げているお家もあります。
家の家との間に建てられた、火事の延焼を防ぐ防火壁の役割を果たしていた「うだつ」も間近で見ることができます。うだつは次第に、お屋敷の裕福さを示す装飾品の意味合いが強くなったといわれています。お屋敷ごとに異なる形や家紋などを比べながら歩くのも良いかもしれません。
白漆喰が特徴的な土蔵も各所に建っています。昔の商人たちの生活に思いを馳せながらの散策は一味違ったものになるのではないでしょうか。
有松絞り祭り
年に1回、6月に開催されている30年以上続く歴史あるお祭りです(2020年度は中止)。お祭り期間中は、さまざまな柄の絞り布が飾られ、街並みは鮮やかな藍色で彩られます。
イベントも多く開催されて、毎年10万人以上の来場者でにぎわいます。ここではお祭りの見どころを3つに絞って紹介します。
有松絞り体験、実演
絞り染めを体験することができます。白地の手ぬぐいやハンカチなどを折り畳み、模様を考えながら糸で括り、好きな色を選んで染めるという工程です。初心者でも、職人の方がていねいに教えてくださるので安心です。(染めの工程は、職人さんが行います。)
また、職人の方々による制作実演もあります。ベテランの職人さんたちが絞りの括り技法を実演してくださいます。次々に糸で布を括る技術は圧巻!
山車、からくり人形の展示
お祭りの期間中は、有松地区に受け継がれている山車が展示されます。
さらに、定期的にからくり人形の実演も見ることができます。
有松絞りのお値打ちな販売
伝統工芸品ということもあり、高価な品が多い有松絞りですが、お祭り期間中は浴衣の反物やのれん、ハンカチなどさまざまな製品が比較的お値打ちな価格で販売されます。この日を狙って、浴衣を買いに来るという方も大勢いました。
- 有松絞りまつり
- 名古屋 / イベント・祭り / 夏のおすすめ観光スポット
- 住所:名古屋市緑区有松地図で見る
- 電話:052-621-0111
- Web:http://www.shibori-kaikan.com/recomended/maturi
おわりに
名古屋市内にありながら、伝統を感じられる有松の街並み。ぜひ、足を運んでみてください。