ニュージーランドの南島にあるテカポは、穏やかな空気が漂う田舎町。ミルキーブルーの湖に素朴で小さな教会、そして流れる雲の柔らかさなど、まるで絵本の中に舞い込んでしまったかのような、美しい景色が広がります。晴天率が高く空気が澄んでいるため、星空観測の地としても知られています。テカポは訪れる人々の心を静かに揺さぶる、優しく不思議な空間です。
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テカポ湖畔の小さな町
テカポはスーパーマーケットやレストランが数件並ぶだけの超田舎町。迷子になるのが難しいくらいの何もない場所です。でも店の数こそ少ないですが、必要なものはひと通り揃っているので、滞在中に困ることはなさそうです。
サーモン丼がオススメの日本食レストランもありますので、お米が恋しくなったときには立ち寄ってみてはいかがでしょうか。旅行者の間ではテカポ名物と評判で、脂ののった生サーモンがいただけるそうです。他にも中華、イタリアン、タイ料理まであるので、お好みに合わせて選ぶことができますね。
善き羊飼いの教会から見る景色
雄大な景色の中にポツンと見える善き羊飼いの教会(Church of the Good Shepherd)は、テカポのメインとなる建物です。その姿は素朴でかわいらしく、遠い記憶を呼び覚ますような安心感と懐かしさを漂わせています。
扉を開けると正面に十字架があり、その向こう側にはそれはそれは美しい、ニュージーランドの大自然が見渡せます。教会といえばステンドグラスで覆われていることが多いですが、善き羊飼いの教会ではこの素晴らしい景観を邪魔しないために、あえてステンドグラスを貼らずにクリアなガラスのままにしたと言われています。
ミルキーブルーの水面、魅惑のテカポ湖
氷河によってできた湖
テカポ湖はなんとも美しいミルキーブルーの色をしてます。これは氷河の成分が水に溶けているかららしく、時間によって様々な表情を見せてくれます。朝は光が水面を照らし、波に揺られキラキラと輝きます。頭の中が空っぽになるとは、まさにこのことかもしれません。
ちなみにニュージーランドの南島では湖は細長い形が多く、北島では丸い形が多いそうです。理由は南島の湖は氷河に削られてできていて、北島の湖は火山によってできたからだと言われています。テカポ湖も上空から見ると細長い形をしているのは、氷河に削られてできたから、ということがわかりますね。
山々と湖の美しいコントラスト
湖の向こう側には見えるのは3,000m級の山々が立ち並ぶサザンアルプスです。山は氷河に覆われ全長が700kmにも及びます。サザンアルプスとミルキーブルーのテカポ湖のコントラストは絵に描いたように美しく、優しさと同時に厳しさも感じられるでしょう。
様々な要素が混じり合い、湖は氷河の一部として独自の色や形を生み出しています。それは大自然が創り出した芸術であり、二つとない地球の奇跡といっても過言ではありません。
これぞ圧巻!空一面に輝く無数の星
世界一とも言われるテカポの星空は、いくつもの宝石箱をひっくり返したような、無数の星々とリアルな天の川が望めます。この夜空を世界遺産にしようと活動が行われているそうで、町では街灯に傘をかぶせ低い位置に取り付けるなどして、星空の美しさを保つことに力を入れています。
世界最南端の天文台
テカポ湖から西の方向に、マウントジョンという標高1,031mの山があります。その頂上には世界最南端の天文台があり、星空鑑賞ツアーが行われています。
天文台近辺は光が観測の邪魔になるのを避けるため、山の中腹からは車のライトさえも消して走らなければいけません。懐中電灯やスマートフォンはもちろん点灯禁止で、そのため明かりはほとんどありません。そんな山の頂上から見る星空はもう圧感。空ぎっしりに無数の星々が輝き、天の川も肉眼ではっきりと見ることができます。
南半球の天体たち
南半球の星座といえば南十字星ですが、ここでは日本で見ることのできない星座たちが空一面に輝きます。私たちのいる銀河系のお隣の銀河、大小マゼラン雲も肉眼での観測が可能で、小さな雲がぽわんと浮かぶ姿が伺えます。
これほどの満点の星空を望める機会はあまり多くはないでしょう。ツアーでは天文台にある観測装置を覗かせてもくれるので、広い宇宙を感じる絶好のチャンスです。普段と違う角度から夜空を見つめ、果てしない宇宙を感じてみてください。
- マウントジョン天文台
- ニュージーランド / 博物館・美術館
- 住所:422 Godley Peaks Rd, Tekapo 7999地図で見る
- 電話:+64 (3) 680 6000
- Web:https://www.darkskyproject.co.nz/tours/summit-expe...