トルコのみならず世界中で人気を博した宮廷歴史ドラマ『オスマン帝国外伝』。兄弟間で繰り広げられた後継者争いを制し、スレイマン大帝の後継ぎとなったセリム2世にまつわる、トルコにおける関連スポットをご紹介します。
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【1】トプカプ宮殿
セリム2世は、オスマン帝国第10代皇帝のスレイマン大帝とヒュッレム妃とのあいだに1524年に生まれました。ドラマでは、帝都イスタンブールのトプカプ宮殿で兄妹のメフメトやミフリマー、バヤジット、ジハンギル、異母兄弟のムスタファと暮らす様子が描かれています。
トプカプ宮殿は、世界遺産に登録されているイスタンブール旧市街の岬の半島に位置しています。オスマン帝国第7代皇帝メフメト2世によって建設された宮殿で、帝国の文化や政治の中心として栄え、歴代の皇帝やその家族もハレムに住まいました。
【2】シェフザーデ・モスク
ときに喧嘩をしながらも、セリム2世が頼りにしていた兄のメフメトは、異母兄弟のムスタファと並んで次代のスルタンとして期待された皇子でした。しかし、1543年、メフメトはスレイマン大帝とハンガリー遠征に出向いたあとに突然亡くなり、セリム2世たちを大変悲しませました。
メフメトの死を記憶するために、スレイマン大帝の命を受けて宮廷建築家ミマール・スィナンが造ったのがシェフザーデ・モスクです。このモスクには、セリム2世の兄メフメトのほか、セリム2世の弟であるジハンギル、セリム2世の姉ミフリマーの夫であるリュステム・パシャも眠っていることで知られています。
- シェフザーデ・モスク
- イスタンブール / モスク
- 住所:Kalenderhane Mahallesi, Şehzadebaşı Cd. No:44, 34134 Fatih/Istanbul, トルコ地図で見る
【3】ムラディエ・キュリエスィ
メフメトが亡くなったことで、スレイマン大帝の後継ぎの候補にはセリム2世と弟のバヤジットとジハンギル、異母兄弟のムスタファが残りました。ドラマでは、セリム2世は弟のバヤジットを敵視し、たびたび仲違いしていましたが、異母兄弟のムスタファには信頼を寄せている様子が描かれていました。
しかしそんなムスタファはスレイマン大帝の寵を失い、1553年に処刑されてしまいます。信頼していた兄を失くし、セリム2世はまたもや悲しみに暮れることになります。ムスタファの墓はブルサのムラディエ・キュリエスィに造られ、そこにはセリム2世が晩年に母のように慕ったとされるムスタファの母マヒデヴランの棺も置かれています。
- ムラディエ・キュリエスィ
- トルコ / 遺跡・史跡
- 住所:Muradiye Prf Dr Halil İnalcık Sk 16050 Osmangazi Bursa地図で見る
【4】セリミエ・モスク
後継者争いを制し、オスマン帝国第11代スルタンとなったセリム2世は、旧帝都のエディルネにセリミエ・モスクを造らせました。このモスクは世界遺産に登録されており、シェフザーデ・モスクや、スレイマン大帝のためのスレイマニエ・モスクを設計した、ドラマにも登場するミマール・スィナンによる作品であるという点も注目に値します。
【5】アヤソフィア
セリム2世は1574年に亡くなりました。彼の霊廟は、帝都イスタンブールのアヤソフィアの敷地内に造られました。彼の霊廟のそばには、愛妻ヌルバーヌ・スルタンの棺も置かれています。アヤソフィアは長年博物館として一般公開されていましたが、2020年7月よりモスクに転用されたため、現在は毎日の礼拝の時間を除き、無料で入場できるようになりました。
- アヤソフィア
- イスタンブール / 建造物 / モスク
- 住所:Ayasofya Meydanı 1 34122 Cankurtaran İstanbul Turkey地図で見る
- Web:https://muze.gen.tr/muze-detay/ayasofya
おわりに
スレイマン大帝の即位から崩御、そしてセリム2世の即位までが描かれた『オスマン帝国外伝』ですが、セリム2世にまつわるスポットはドラマを観ていなくても訪れたくなるような場所ばかりです。16世紀の壮絶なオスマン帝国の歴史背景に思いを馳せながら、トルコでセリム2世ゆかりの地を巡ってみてはいかがでしょうか。