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イギリスの元ゴーストビレッジで16~17世紀へタイムスリップ!スコットランドおとぎの村「クーロス」

取材・写真・文:

トラベルライター

2018年5月18日更新

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スコットランドの宗教史を担う遺産「クーロス・アビー」(Culross Abbey)

  • 写真:トラベルライタークーロス・アビー

綺麗な街並みを抜けてカーク・ストリート(Kirk Street)の坂道を上ると見えてくるのは、スコットランドの歴史を感じさせるクーロス・アビー。長い時代を経て一部が廃墟化しているこの修道院は、1217年にファイフの伯爵マルコム(Máel Coluim I, Earl of Fife)によって設立されました。

廃墟化した部分に残る中世前期の彫刻が施された石や、多くの聖人達によって書かれた9世紀の参考文献に度々登場するクーロスの聖サーフ教会の記述から見て、クーロス・アビーは6世紀に聖サーフによって設立された初期ピクト様式の教会の上に建てられた可能性が高いとされています。

当時キンロス修道院の院長代理であったヒュー卿を迎えて初代修道院長としました。クーロスは聖ムンゴ生誕の地であった為、開拓地として選ばれたのではないかと言われています。

  • 写真:トラベルライタークーロス・アビー 廃墟
  • 写真:トラベルライター教会の東側(現在も礼拝堂として使われている)

13世紀のクーロス・アビーは十字型で側廊がない単廊式(通路は中央のみ)でした。

教会から聖職位に就けられていない平修道士(Lay brothers)や、平修道士から聖職者を目指す学者修道士(Choir monk)の活動基盤とされていましたが、15世紀後半までに学者修道士のみのコミュニティとして再構築され、1500年頃には建物の西側半分が放棄されることとなりました。

  • 出典:en.wikipedia.org身廊(nave)の例(配色部分)naveには後方部の壁から翼廊前までという意味もある
  • 出典:ja.wikipedia.org教会における翼廊の例(色付けされた部分)
  • 出典:commons.wikimedia.org教会における側廊の例(色付けされた部分)

身廊は当時の修道院長アンドリュー・マソンによって取り壊され、南壁の一部にある平修道士の聖歌隊席のみが残りました。更に彼は西側にあった石壁の上に高い塔を建てます。

  • 写真:トラベルライタークーロス・アビー 西側の塔

1633年になると、聖歌隊席(東側)と翼廊は教区教会として使用されるようになりましたが、隣接する建物は放棄され崩壊しました。

1642年には、翼廊の北側にジョージ・ブルース卿の墓所が作られ、ブルース卿と彼の妻、そして8人の子供達が彫られた雪花石膏の彫像は今でも見ることができます。

1823年に修道院は改築されましたが、翼廊の教会を含めて多くの特徴的な原型が取り除かれてしまいました。

そして1905年、グラスゴーの建築家であるピーター・マクレガー・チャマーズが修復を行い、ようやく現在の姿となったのです。教会の東側は今でも礼拝に使わており、一般公開されています。

  • 写真:トラベルライタークーロス・アビー 廃墟
  • 写真:トラベルライタークーロス・アビー 廃墟

長きにわたり人々の生活や立場によって姿を変え続けたクーロス・アビーは、一部が朽ちても今なおクーロスの村を見下ろすように建っています。訪れればきっと、スコットランドの歴史を目視する貴重な経験となるはず。

クーロス・アビー
イギリス / 社寺・教会 / 教会
住所:The Manse/Kirk St, Culross, Dunfermline KY12 8JD地図で見る
電話:01383 414704
Web:http://churchofscotland.org.uk/

スコットランド様式の美しい庭 パーリーヒル・ガーデン(Parleyhill Garden)

  • 写真:トラベルライターパーリーヒル・ガーデン

クーロス・アビーからカーク・ストリートを下り、石造りの壁で囲まれた中に入ると広がるのは「パーリーヒル・ガーデン」。修道院跡に隣接したスコットランド様式の綺麗な庭は、沢山の植物が咲き誇る楽園さながらの場所です。

  • 写真:トラベルライターエンビセンノウ(MALTESE CROSS ‘SCARLET’)
  • 写真:トラベルライタールリタマアザミ(GIANT GLOBE THISTLE)
  • 写真:トラベルライターパーリーヒル・ガーデン
  • 写真:トラベルライターパーリーヒル・ガーデン

元々野ざらしになっていた草藪が綺麗に管理されて、このように美しい姿へと変貌を遂げました。ボランティア団体のスコットランドズ・ガーデン(SCOTLAND'S GARDENS)のチャリティとして、オーナーのロナルド・マクドナルド氏の協力のもと、決められた日に無料で一般公開されています。

  • 写真:トラベルライターガーデン内のアート作品 ジュリア・フランシス作 "spirit of movement"

地元の芸術家ジュリア・フランシス氏による彫刻作品の展示も行っています。動きの魂を表現した作品だそうで、日によってはご本人から直接お話を伺うこともできます。

  • 写真:トラベルライターガーデンから見えるフォース川

傾斜のある庭はクーロスの町とフォース川を一望できる名所。ガーデニングの本場イギリスで、生き生きとした美しい植物達に囲まれながら、心穏やかな時間を過ごしてみませんか。生命の息吹に触れれば、きっとハツラツとした気分になれるはず。

パーリーヒル・ガーデン
イギリス / 公園・動植物園 / 庭園
住所:Parleyhill, Culross Dunfermline KY12 8JD地図で見る

疲れたら一休み! アートも楽しめるビスケット・カフェ(Biscuit Cafe)

可愛い村ではありますが、歩き回るとそれなりにアップダウンも多い場所。歩き疲れたら愛らしいカフェで少し休憩するのはいかがでしょう。

  • 写真:トラベルライタービスケット・カフェ

この「ビスケット・カフェ」は、地下に陶芸教室を始めとしたアートワークショップを併設しつつ、地上ではカフェを経営しています。二階にはテラス席もあり、そのまま外の坂道へと繋がっていて開放的な空間を演出しています。

  • 写真:トラベルライターカフェテラス(ペット同伴可)
  • 写真:トラベルライタークーロス 村の小道

スコーンと紅茶はもちろん、サンドイッチやラテもあり、アフタヌーンティーのように軽食も楽しめます。テイクアウトも可能。面白い作品も展示されているので、アートと食事の両方を楽しめる素敵な場所になっています。きっと旅の疲れも存分に癒されるはず。

ビスケット・カフェ
イギリス / カフェ・喫茶店
住所:Sandhaven House, Sandhaven, Culross KY12 8JG地図で見る
Web:http://www.culrosspottery.com/

最後に

クーロスの見どころは他にもたくさん、今回ご紹介したのはほんの一部です。スコットランドのコッツウォルズと言われる歴史文化を色濃く残した街並みは、今日も来訪者の心に響く麗らかさを穏やかに称え佇んでいます。きっと素敵な思い出の一部になるはず!

クーロスへのアクセス

クーロスはエディンバラの中心であるターミナル駅エディンバラ・ウェーバリーからでも、イギリス国内外から格安航空会社(LCC)も着陸するエディンバラ空港からでも、電車やバスを使っておおよそ2時間弱でアクセスできます。エディンバラ中心街からの車移動であれば約1時間で到着しますのでそちらもお勧めです。

クーロス
イギリス / 町・ストリート
住所:Culross ダンファームリン イギリス地図で見る
Web:https://www.nts.org.uk/Visit/Culross/

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