屋久島の雄大な自然は、人里から離れた場所にあります。『もののけ姫』の世界で知られる白谷雲水峡までは往復約6時間、縄文杉までは往復約10時間が目安の歩行時間となっています。長時間の山歩きを良いコンディションで動けるよう、服装と持ち物のアドバイスをお伝えしたいと思います。
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服装の基本
服装は体温調節がこまめにできるようにするのがポイントです。歩いている途中に暑くなってきますが、縄文杉・白谷雲水峡は島の中でも標高が高い場所にあり、登り進むにつれて気温が下がります。また、雨が降ると体が冷えたりします。脱ぎ着しやすいように、服を何枚も重ねるのが基本のスタイルです。
上半身のスタイル
肌着
アウトドアショップなどで売られている、吸湿速乾タイプのものを強くおすすめします。
ユニクロのエアリズムやヒートテックなどは、街中で着用するには適していますが、山中で長時間の歩行時に着用すると吸い取った汗がなかなか乾きません。また、綿素材のものは汗が乾きにくく、体を冷やしてしまうので不向きです。
Tシャツ
肌着が吸った汗を発散させたら、Tシャツがその汗を吸い取ります。ですので、こちらも速乾タイプをおすすめいたします。ランニングウェアなどを扱うお店をのぞくと、カラフルで可愛いものがたくさん揃っています。
長袖シャツ
秋(~10月下旬頃まで)であれば、長袖シャツは2枚くらいあれば十分です。歩行中の体温調節は長袖衣服の着脱で行うことが多いです。筆者は1枚はメリノウールのカットソータイプ、もう1枚はシャツを着用しました。
メリノウールは、ウールの中でもメリノ種を使用した天然素材で保温機能があります。また、吸湿機能も優れているので汗や体から出る湿気を吸ってくれます。さらに、吸水すると熱を発生させるので、体を冷やしにくいというメリットもあります。
シャツは襟が付いていると、日よけ効果もあります。薄いフリース素材のプルオーバーなども良いと思います。
フリース
必要に応じてご用意ください。移動中は体温も上がるので必要ありませんが、休憩などでじっとしているときに体が冷えないように羽織れるものがあると便利です。山の中では気温の上下幅も大きいので、一つ持っていると重宝します。
最近は小さくコンパクトに畳めるものもあるので、一枚持っておいても良いかもしれません。筆者は圧縮袋に入れて持っていきました。
レインウェア
屋久島は「1ヶ月のうち35日は雨が降る」と言われているくらい、雨の多い地域です。また山の天気は変わりやすく登り始めは快晴だったのに途中で大雨が降ってくるなんてこともあります。なので、防水機能がしっかりしたレインウェアを上下とも持って行ってください。
撥水加工のパーカーは、にわか雨などは凌げますが、本降りになってくると雨が浸み込んでくるのでレインウェアとしての使用はおすすめしません。また、100円均一で手に入るようなカッパは屋久島の雨には対応できないそうです。
筆者の場合は、いつ雨が降ってもいいように、上着はパーカーの代わりにレインウェアを着用していました。
帽子
標高が高くなってくると、日差しもきつくなってきます。紫外線防止のためつばのある帽子の着用をおすすめします。小枝などから頭を守ることもできます。撥水加工のあるものは、小雨程度なら凌げますよ。
下半身のスタイル
ズボン
撥水性があると安心です。足を岩や石に掛けながら道を上がったりする場所もありますので、ストレッチが効いた素材のものがよいです。ジーパンは伸縮性がないので動きが制限されたり、一度濡れてしまうと乾きにくいため、避けてください。
靴下・靴
靴下は、分厚いものを選ぶと足が疲れにくいです。
靴は登山用のしっかりしたものをご用意ください。ハイカットタイプのものだと足首がより安定します。
その他の持ち物
ザック・ザックカバー
日帰りでしたら30~35L程度の収容量のザックがちょうど良いです。雨が降った際にザックと中の荷物を守るザックカバーもご用意ください。
手袋、ネックウォーマー
手袋は体温調節をしたり岩場を掴みながら歩く際に活躍します。手のひら側にイボイボのついたものが便利です。軍手などでも代用可能です。
ネックウォーマーは着脱が簡単なので、体温調節に役立ちます。
登山用のストック
登山用のストックは、特に下り道の時に重宝します。右利きの方は右手に持つ場合が多いです。足にかかる負担を減らすことを目的としていますので、右手に持つ場合は左足が地面に着くタイミングでストックを突くと効果的です。そのかわり、ストックを持っている手に負担がかかりますのでご注意ください。
防水グッズ
急な雨に備えて、持ち物の防水対策は事前に行っておきましょう。スマホやカメラなどはジップロックや防水ケースに入れて守ってください。着替えも雨に濡れてしまわないように、ビニール袋などで包んでからリュックにつめてくださいね。
折り畳み傘
山の中で傘?と思われるかもしれませんが、休憩時には傘が役立つのです。雨が直接当たらないので、体力の消耗を防いでくれます。
お弁当、行動食
山の中に売店はありませんので、昼食用にお弁当を持参します。朝の出発が早いので、前日にスーパーなどで調達しておくか宿泊先に依頼しておき出発の朝に受け取ってください。
行動食として、チョコレートや飴など、糖分やエネルギーを補給できるものを持っていきましょう。カロリーメイトやドライフルーツ、ナッツなどお好みのものを用意しておくと道中のテンションも上がると思います。
おわりに
快適な森歩きには事前の準備が欠かせません。特に雨に関しては、現地の方でもなかなか天気が読めないそうなので、対策をお忘れなく!
レインウェア、登山靴、ザック(カバー)、ポール(ストック)、帽子などは現地のレンタルショップで借りることもできるので、できるだけ身軽に旅をしたいという方にはレンタル品を活用する手もおすすめです。準備をしっかりしたら、あとは思いっきり屋久島の絶景を楽しんでください。