シカゴは、食、観光、娯楽、スポーツなどいろんな楽しみ方ができる都市ですが、ぜひ建築物にも目を向けてみてください。シカゴの建築物は日本ではあまり知られていない興味深い歴史があり、現在の建築、デザインに大きく影響を残しています。あちこちにそのような建築物がたくさんあり、まるでシカゴの街中が“建築博物館”。どのような面白い建築物があるのか、1つ1つご紹介いたします!1〜2日もあれば、全てをゆったり歩いて巡れます。
この記事の目次表示
「摩天楼」はシカゴ発祥!
空港からシカゴのダウンタウンへ車を走らせ、高層ビルの群衆「摩天楼」と言われる街並みが見えて来てくるとワクワクします。実はこの「摩天楼」、今では新宿、ニューヨーク、香港などが代表的かもしれませんが、シカゴ発祥 なのです。
それは【シカゴ大火】という大災害から始まりました。
19世紀最大の火災【シカゴ大火】
アメリカの大都市の一つでもあるシカゴでは、建物のほとんどが 1871年のシカゴ大火 の後に建てられたものです。
出火は未だ不明ですが 19世紀最大の火災 と言われており、まだ木造建築の多かった当時は、約2日間でダウンタウンのほとんどが焼き尽くされたそうです。
大災害からの再生
燃え尽くされ、焼け野原となったシカゴの街…打ちひしがれる市民に、シカゴの代表的な新聞社 シカゴ・トリビューン が「復興」を呼びかけ、アメリカ全土の多くの建築家が応じました。
中には「実験的に建ててみよう」という建築家もいましたが、結果的にその奇抜な建築技術やデザインが現代に受け継がれています。
「今後は木造建築は禁止!」が今につながる
シカゴ大火の後は、州の条例で「木造建築禁止」となりました。建築素材は木造以外の、レンガ、石造、鉄製を推奨。ここから近代的なビルの建築ラッシュが始まりました。だからこそ、この時の建築技術やデザインなどが、現代の建築技術やデザインにも大きな影響を及ぼしのですね。
では、シカゴといったらこの建築物!と言えるべき建物をご紹介いたします!
【1】Merchandise Mart マーチャンダイズ・マート
空港からシカゴへ車で近づくと見えてくるのが、まるで「ぬりかべ」のように佇んでいる Merchandise Mart マーチャンダイズ・マート。近寄ってしまうと大きすぎてカメラに収まりきりません(笑)。
廊下が12kmもあるなど、ペンタゴンができるまでは、世界で最大のスペースを使った建物だったとか。今では様々なオフィスが入っています。
- マーチャンダイズ・マート
- アメリカ / 建造物
- 住所:#470, 222 W Merchandise Mart Plaza, Chicago, IL 60654 アメリカ合衆国地図で見る
【2】Tribune Tower トリビューン・タワー
シカゴ大火に打ちひしがれる市民に復興を呼びかけ、今ではシカゴ最大の新聞社となった シカゴトリビューン の本社、Tribune Tower トリビューン・タワー です。
この建物のデザインは、ピラミッド、万里の長城、ノートルダム寺院、パルテノン神殿、ホワイトハウス、ベルリンの壁…など様々なデザインが盛り盛りと取り入れられているのだそうです。
- トリビューン・タワー
- アメリカ / 建造物
- 住所:435 N Michigan Ave, Chicago, IL 60611 アメリカ合衆国地図で見る
- Web:http://tribunetower.info/toc.cfm
【3】Wrigley Building リグレービル
Wrigley リグレー といえば、アメリカ大手のチューインガム企業。こちらがその本社です。
こちらの時計台は、建築当時から親しまれているんだそう。
- リグレービル
- アメリカ / 建造物
- 住所:400-410 N Michigan Ave, Chicago, IL 60611 アメリカ合衆国地図で見る
- Web:http://www.thewrigleybuilding.com/
【4】Marina City マリーナシティ
トウモロコシが2本建っているような面白い建物は Marina City マリーナシティ です。でも面白いのは形だけではありません。
今となっては、居住・アミューズメント・オフィス・駐車場が一体化しているビル は当たり前な時代ですが、マリーナシティはその都市計画の思想を一番最初に実現したビルだとか。
昔はプールやライブハウス、ホテル、ボーリンング場、レストラン、銀行までもあって、このビル内だけで生活できるように設計されたそうです。
【5】Rookery ルッカリー
1888年に建てられた Rookery ルッカリー は、「近代摩天楼の建築の原本」 とも言われるほど重要な建物で、国定歴史建造物 にも指定されいます。
ビル内にも説明書きがきちんとあります。建物自体はシカゴ派で有名な建築家 バーナム が設計しましたが、内装は フランク・ロイド・ライト が、1905年に改修したんだそう。
細かいディティールにこだわって造られているのが一目で分かります。今となっては他にもたくさんの高層ビルが建っており、正直、外見はパッとしませんが、中に入って見るべき建物です。
関東大震災を乗り切った「帝国ホテル」に携わったライト
なんと、このフランク・ロイド・ライトは、東京の 帝国ホテル の設計にも携わったそうです。日本の“宮大工”に感銘を受け、日本ファンになって大正時代に来日。その際に、帝国ホテルの再設計に携わり、1923年に完成させましたが…
1923年といえば 関東大震災 。でも、地震で周辺の建物が崩れて行く中、帝国ホテルは頑丈に佇んでいたそうです。
その帝国ホテルも老朽化と新館設立に伴い、1967年に解体されてしまいましたが、ライトの設計技術は世界中に広まっていることは伺い知れます。
- ルッカリー
- アメリカ / 建造物
- 住所:209 S LaSalle St, Chicago, IL 60604地図で見る
- Web:http://therookerybuilding.com/
【6】Marchall Field's マーシャル・フィールズ
Marchall Field's マーシャル・フィールズ は、シカゴにおいては老舗のデパートでした。今は、アメリカ大手のデパート企業 Macy's に買収されてしまいましたが、“Marchall Field's マーシャル・フィールズだったよ!” というプレートはきちんと残っています。
建物を一見すると、よくあるデパートビルのようですが、窓の造りに注目です。“シカゴ派” といわれる建築特色の Cage construction シカゴ窓 という、籠のような構造になっています。これは耐風のための造りなんだとか。
ちなみに、この シカゴ窓は、シカゴの建築物にはたくさん見られます。
- マーシャル・フィールズ/メイシーズ
- アメリカ / 建造物
- 住所:111 North State Street, Chicago, IL 60602-1659地図で見る
【7】Harold Washington Public Library ハロルド・ワシントン図書館
図書館としては 世界最大!! と言われる建物です。建築に70年も費やし、1991年に設立されました。
図書館の名「Harold Washington ハロルド・ワシントン」は、シカゴで初めて アフリカ系アメリカ人 として市長となった方の名前で、シカゴ市の名誉市長でもあります。
図書館なので自由に中に入れます。この天井の高さ!「ここは博物館?」と思ってしまうほどです。
この建物の中には図書館だけではなく、コンサートホールやアトリウムもあります。
- ハロルド・ワシントン図書館
- アメリカ / 建造物
- 住所:400 S State St, Chicago, IL 60605地図で見る
- Web:https://www.chipublib.org/locations/34/