ドイツ
ドイツ観光
ロマンティック街道には古城や中世の街並

【ドイツ・ローテンブルク】伝説の市長が飲んだ「フランケンワイン」を楽しもう!

取材・写真・文:

兵庫在住
訪問エリア:18ヶ国

2018年6月21日更新

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写真:まき子

ドイツ「ロマンチック街道」の中でもハイライトの1つとして取り上げられる【ローテンブルク】の見所は、なんと言ってもおとぎの国のような中世の街並み!歴史深いこの街に伝わる「街を救った市長」が飲んだフランケンワインもぜひお楽しみください♪

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ロマンチック街道のハイライトの1つ【ローテンブルク】

ロマンチック街道というと、「おとぎ話のような “ロマンチック” な光景が観られる街道なんだろうな〜。」なんて思いませんか?

でも、私たち日本人が乙女心なイメージで使う「ロマンチック」と、ドイツの「ロマンチック街道 Romantische Straße」とでは意味が全く異なります。「Romantische Straße」とは「ロマンチックな道」ではなく、「ローマへ続く道、ローマ巡礼の道」という意味なのです。

とは言いつつも、そんなロマンチック街道の中でも大人気の街【ローテンブルク】に来ると「やっぱりロマンチック〜!!」と思ってしまうに違いありません。

  • 写真:まき子

正式な町の名前は【Rothenburg ob der Tauber ローテンブルク・オプ・デア・タウバー】と言い、970年ごろにタウバー川を望む丘の上 (=oberhalb der Tauber)にお城が建てられたことがこの名の由来となっています。

石畳みの道、カラフルな木組みの住宅など、中世の雰囲気溢れる旧市街は多くの人を魅了し、この街全体が見所ある観光地。また、その歴史はとても深く様々な逸話も魅力の1つです。今回は、観光ポイントとともに、事前に知っておくとより楽しくなる歴史についてもご紹介いたします。

城壁で囲まれた “時が止まった” 街

  • 写真:まき子

ローテンブルクの旧市街に入る際、ほとんどの場合通るのが「塔の門」。

  • 写真:まき子

市内にはレーダー門、ブルク門、コポルツェラー門、シュピタール門、ガルゲン門、クリンゲン門の6つの門があり、門の上にそびえ立つ塔の間に建てられた城壁がグルっと街を囲んでいます。城壁周辺は街中の可愛らしい雰囲気とは異なり、まるで要塞のよう。なお、レーダー門のみ、塔に登って見学することが可能です。

  • 写真:まき子
  • 写真:まき子

中世のヨーロッパは何かと領土争いや宗教争いで戦争が耐えませんでした。そんな時代背景もあり、ローテンブルクもこのように要塞化されていったのですね。

  • 写真:まき子

城壁は所々に登れる階段があり、一般人も城壁の中を歩くことができます。

  • 写真:まき子
  • 写真:まき子

少し小高い場所からの眺めがまたステキで、どこまでいっても煉瓦色の屋根。まるで中世から時の止まったような光景です。

レーダー門
ドイツ / 建造物
住所:Rödertor, 91541 Rothenburg ob der Tauber, ドイツ地図で見る

時が止まったワケとは?

かつてローテンブルクは 聖ヤコブ教会 で知られる “最高級の巡礼地” として賑わい、神聖ローマ帝国においても “皇帝直属の領土”(=帝国自由都市)というかなり良い地位を与えられていました。

しかし、ドイツの中世時代を語るに欠かせない 三十年戦争 でボロボロに。三十年戦争とは簡単に言ってしまえば、1618〜1648年の30年間に起きた カトリック vs プロテスタント の最後で最大の国際的な宗教戦争です。(この戦時中の逸話がまた面白いのですが後述します)

さらにペストの大流行、フランス軍の占領などが続き、1650年ごろには財力も権力もなくなったローテンブルクの発展は止まり、やがて人々から忘れ去られるように・・・

でも、その空白の時期があったからこそ “今のローテンブルクの姿が残された” と言われています。

1880年代になると、ロマン主義のアーティストたちによってローテンブルクの魅力がまた世界に広がり、“街の景観を大きく変える建築を禁止する法律” が作られたそうです。

なお第二次世界大戦では空爆に遭っていますが、戦後、全世界から再建のための寄付が寄せられ、街は元の姿に忠実に再建。空爆した張本人のアメリカからも多額の資金援助が行われたとか。

ワイン3ℓ一気飲みでローテンブルクを救った老市長!

  • 写真:まき子

ローテンブルクで一番賑わっているのは街の中心地にある【マルクト広場】。カフェ、お土産やさんが連なり観光客もたくさんいますが、注目したいのは広場の北側にある「Ratstrinkstube 市参事会酒宴館」

「マイスタートゥルンク」のからくり時計

  • 写真:まき子

この酒宴館にある「からくり時計」は、ローテンブルクで毎年盛大に行われる「Meistertrunk マイスタートゥルンク」というお祭りの題材にもなっている、三十年戦争の逸話を元に作られています。

  • 写真:まき子

11時、12時、13時、14時、15時、20時、21時、22時に、時計の両側の窓が開いて人形がゆっく〜り動き出します。左の帽子を被っているのが「ティリー将軍」、右の大きなワインカップを持っているのが「老市長ヌッシュ」

三十年戦争のエピソード

三十年戦争は先ほども書いた通り カトリック vs プロテスタント という大戦争で、当時ローテンブルクはプロテスタントでした。そこへカトリックのティリー将軍の軍隊が押しかけ、ローテンブルクは陥落。

ティリー将軍が「街に火をかけ、ローテンブルクの指導者は処刑する!」と宣告した晩、そんな酷いことはやめさせようと、ティリー将軍たちをローテンブルク名産の フランケンワイン でもてなします。その酒宴で気を良くしたティリー将軍が「この3リットルのワインを一気飲みできる奴がいたら街に危害を与えることはやめよう!」と言いました。

それに応じて一気飲みを引き受けたのが 老市長ヌッシュ 。見事に一気に飲み干し、ティリー将軍も感銘を受け、ローテンブルクに手出しをするのをやめた、というお話。

ただし…史実にはティリー将軍がローテンブルクに足を踏み入れた記録はないそうです。はてさて真実はいかに?!

市参事会酒宴場
ドイツ / 建造物
住所:Grüner Markt 10, 91541 Rothenburg ob der Tauber, ドイツ地図で見る

「フランケンワイン」を飲もう!

「マイスタートゥルンク」にも出てくる【フランケンワイン】とは、フランケン地方 の名産ワインです。ローテンブルクもその地方の1つ。

  • 写真:まき子

フランケンワインの特徴は平べったいボトルに、辛口な味わい。ドイツのワインは「Riesling リースリング」という葡萄に代表される比較的甘めなワインが多いという印象ですが、フランケンワインは「Muller Thurgau ミュラー・トゥルガウ」や「Silvaner シルヴァーナー」という葡萄を使った “ミネラル感” のあるどっしりとした辛口仕立てです。

  • 写真:まき子

筆者はローテンブルクの中でも自家製フランケンワインが美味しいと評判の 【Glocke Weingut und Hotel グロック ワイナリー&ホテル】のレストランに訪れてみました。ワインに仕込む葡萄造りも行なっているそうです。

  • 写真:まき子

家族経営、かつ団体の観光客は扱っていないこぢんまりしたお店で、とても “地元っぽい” 温かな雰囲気。でも観光客慣れはしているようなので、わからないことは英語で聞けば親切丁寧に教えてくれます。

  • 写真:まき子

一言で「フランケンワイン」と言っても種類は色々、何を飲んだら良いか分からないという方にオススメなのは「5種類のテイスティングセット」。ドライ・セミドライ・スイート・赤ワインの中から選ぶことができ、グラスの入った籠の底には番号が書かれていて、ちゃんとテイスティングの銘柄シートも渡してくれます。

この中で気に入った1本があれば、ボトルで飲むもよし、お土産に買うのもよしです♪

  • 写真:まき子

ワインクーラーもとっても可愛い!フランケンワイン独特の平べったい形に合わせて、ワインクーラーも平べったくなっています。

  • 写真:まき子

もしこのレストランに訪れる機会があるなら、ぜひ食べていただきたいのが「Krautwickel ロールキャベツ 」€7(約1,000円)。筆者は噂を聞きつけて食べてみたいと思ったのですがメニューには書いてないので店員さんに聞いてみたところ、どうやら裏メニューのよう。でも心良く注文を受け付けてくれます♪

キャベツに包まれた中身はミートローフのような食感で、ソースがまた素朴な味わいなのに美味しい!フランケンワインにもぴったりです。やはり地元の料理は地元のワインと合わせるのが最高です。

グロック ワイナリー&ホテル
ドイツ / 洋食・西洋料理
住所:Glocke A. u. K. Thürauf, Plönlein 1, 91541 Rothenburg ob der Tauber, ドイツ地図で見る
Web:https://www.glocke-rothenburg.de/en/

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この記事を書いたトラベルライター

じっとしているのは耐えられない旅行好き&飲兵衛です
日本在住ですがアメリカで生活したこともあり、その時にすっかりアメリカ大陸の自然に魅了されました。それ以来、帰国しても日本の自然の素晴らしい場所をあちこち旅行するのが好きです。1児の母でもありますので、“子連れで行くとどんな旅になる?!”という視点も織り交ぜていろんな場所をご紹介できればと思っています。
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