イスタンブールは、かつて東ローマ帝国(ビザンツ帝国)とオスマン帝国の首都として栄えた、トルコ最大の都市です。教会からモスク、そして博物館に転用された、世界遺産のカーリエ博物館の見どころと、アクセス方法をご紹介します。
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カーリエ博物館とは?
かつてイスタンブールが東ローマ帝国の地であった頃、コーラ修道院の付属の聖堂として建設されたのがカーリエ博物館の始まりです。コーラとはギリシア語で郊外や田舎を意味し、コンスタンティノープル(現イスタンブール)の街の果て、つまりテオドシウスの城壁付近に建てられたことに由来しています。
11世紀に建設されてから14世紀までのあいだは、増改築が繰り返され、ギリシア正教の聖堂として機能していましたが、1453年にコンスタンティノープルがオスマン帝国の領土になると、イスラム教徒の祈りの場であるモスクに転用されました。オスマン帝国が終わりを迎えトルコ共和国の時代になると、モスクから無宗教の博物館として一般公開されるようになりました。
イスタンブールが辿った複雑な歴史をそのまま物語る建造物で、世界遺産にも登録されています。
美しい黄金のモザイク画が最大の見どころ
カーリエ博物館の見どころは、14世紀頃の増改築に際に描かれた、フレスコ画や黄金のモザイク画です。中に一歩踏み入れると、そこには聖書の世界が広がっています。壁一面に大きく描かれた聖書の物語に引き込まれてしまうでしょう。
モザイク画やフレスコ画は、損傷がある個所もいくつかありますが、14世紀のものとは思えないほど保存状態が良いことに驚かされます。それは、オスマン帝国時代にモスクに転用された際、偶像崇拝を認めないイスラムの教えに従って、ビザンツ時代の絵画が漆喰で塗り隠されていたためです。博物館に転用される際、この漆喰が剥がされ、当時の絵画が色鮮やかなまま現代に蘇ったのです。
イエス・キリストや聖母マリアの生涯を描いた黄金のモザイク画は、ビザンツ美術の傑作とも評され、180以上もの場面が描かれています。
カーリエ博物館へのアクセス方法
修道院にはコーラ(郊外)という名前がついていたように、カーリエ博物館は旧市街の北西にあり、多くの観光名所が密集するスルタンアフメット地区やベヤズット地区からは離れたところにあります。地図で見ると遠いのですが、トラムに乗ることができれば簡単にアクセスできます。旧市街の観光の中心地、スルタンアフメットからのアクセス方法は以下の通りです。
T1線に乗りトプカプ駅でT4線に乗り換える
旧市街の主要道路を走るトラムT1線のスルタンアフメット(Sultanahmet)駅でバージュラル(Bağcılar)方面へのトラムに乗車します。
- スルタンアフメット駅
- イスタンブール / 駅・空港・ターミナル
- 住所:Sultanahmet Tram Station,Istanbul地図で見る
トプカプ(Topkapı)駅で下車し、T1線からT4線に乗り換えます。トプカプ駅はT4線の始発駅で、乗るトラムはハビプレル(Habipler)方面行きのみなので迷う心配はありません。
T4線に乗り換えたら3駅目のエディルネカプ(Edirnekapı)駅で下車します。
最寄りのエディルネカプ駅から徒歩約10分
エディルネカプ駅で下車するとすぐに見える、背の高い城壁(テオドシウスの城壁)の方に向かって歩きます。城壁の内側にはミフリマー・スルタン・ジャーミィがあるので、このモスクを背にしてさらに道路を横断し、住宅街に入ります。オスマン帝国時代に増築された鉛筆のようなミナーレ(尖塔)を目印に歩いていきましょう。駅から徒歩約10分弱です。
おわりに
イスタンブールには、教会からモスクに転用された歴史的建造物がたくさん残っています。博物館にまでなったのは、スルタンアフメット地区にあるアヤソフィア博物館、そしてこのカーリエ博物館が有名です。
郊外にあるため観光は後回しにされがちですが、世界遺産に登録されているだけあり、見ごたえは抜群です。聖書の世界をこれほどまでにダイナミックに体現しているのは、イスタンブールのほかのどの建造物にも見当たりません。イスタンブールを訪れた際は、カーリエ博物館も忘れずにチェックしてみてくださいね!
- カーリエ博物館
- イスタンブール / 博物館
- 住所:Dervişali Kariye Cami Sk No18 34087 Fatih İstanbul地図で見る
- Web:https://ayasofyamuzesi.gov.tr/tr/content/kariye-m%...