2020年7月4日に運行開始した観光列車「時代(トキ)の夜明けのものがたり」。「激動の時代に生きた先人たちに想いを馳せて生きる。」そんなゆったりとした列車の旅を、今回ご紹介いたします。
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満を持して登場した「時代(トキ)の夜明けのものがたり」
JR四国で人気を博している観光列車といえば「伊予灘ものがたり」(愛媛県)や「四国まんなか千年ものがたり」(香川・徳島)ですが、これまで“ものがたり”列車が走っていなかった高知県にも、「志国土佐 時代(トキ)の夜明けのものがたり」という観光列車が満を持して登場しました。
コンセプトは「人のあたたかさ」
この列車は、特急で走ると1時間の距離を、2時間40分というゆっくりとしたスピードで走行します。そうすることで、普段見ることのできない景色を堪能できたり、普段会うことのない人とお話したりなど、普段見えないような魅力に気付けるような旅を作りたいという願いが込められています。
運行区間の紹介
始発の高知駅から終点の窪川駅まで、8つの駅を通過します。途中、土佐久礼駅のみ、5分ほどの停車時間があります。
この列車には、下りが「立志の抄」、上りが「開花の抄」という名称がついており、高知・土佐久礼・窪川駅の3つの駅で停車します(土佐久礼は5分間)。それ以外の駅は通過するのみとなっていますが、駅で手を振ってくださる方がいるなど、通過駅各地でも楽しむことができるんですよ!(通過する街の特徴は、後ほどご紹介します)
「時代(トキ)の夜明けのものがたり」の車両
この列車は、個性の異なる2両から編成されています。
1号車「クロフネ」:志を語りながら大海をゆく蒸気船
黒船といえば、江戸時代の日本に突如現れ、日本を一気に近代化させるきっかけとなった西洋の蒸気船を思い起こすでしょう。その存在は脅威でもあり、また日本が追いつくべき世界の象徴、未来への希望でもありました。
そんな「クロフネ」の車両は、蒸気船をモチーフに作られており、木目調の内装にゴールドのポールが高級感を醸し出します。車両の奥には躁舵輪があり、実際に回せるので子どもたちに大人気。BOX席は車両中央に大テーブルが連なり、家族や仲間とテーブルを囲むイメージになっています。
車内には「高知家の団らんシート」と名付けられた座席があり、「おきゃく(土佐弁でいう「宴会」)」 ができるように座席配置を変えられるようになっているのも特徴です。
2号車「ソラフネ」:宇宙空間までにもつながる未来への夢
対するソラフネは、内装が白ベースとなっています。白地にゴールドのインテリアがまるでパーティ会場のように華やかです。「夢」をコンセプトにデザインされた車内は、天井に星空が輝き、まさに宇宙船のよう。
座席はすべて窓に面して設置されており、1人や2人での利用に適しています。窓辺には小型のモニターが設置されており、車両前方からの眺めが映し出されます。モニターで外部を確認するという演出も宇宙的ですよね。
エンブレムは、全体的には太陽を表現しており、そこに「船の舵」、坂本家の家紋「組あい角」、そして「時計」を組み合わせたデザインとなっているそうです。また、ランタンには土佐和紙が使用されており、とてもオシャレ。
ちなみに土佐和紙は、日本三大和紙と呼ばれる高知県の伝統工芸品。テーブルの手元ライトやコースターなどにも使用されています。