古き良きヨーロッパの雰囲気を残したレンガ造りの街並み…心地よい海風が感じられるマリーナ…観光客ものんびり散策できる名門校の「海軍兵学校」…など【Annapolis(アナポリス)】はどこを歩いていても、ゆったりまったり心地よいひと時を過ごせます。ワシントンD.C.やボルチモアから車で1時間ほどで行けますが、どちらの街にも無い独特な雰囲気があるんです。でもそれは何故なんでしょう?そんなことも探りながらアナポリスの魅力をご紹介します。
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【Annapolis アナポリス 】ってなに?どこにある?!
「Annapolisアナポリス」というと、どんなイメージが湧くでしょうか? 港町?海軍兵学校?
そういえば、度々映画の舞台にもなっていますね。1982年に若かりしリチャード・ギアが主演し日本でもヒットした『愛と青春の旅だち』。1992年にはハリソン・フォードが活躍する『パトリオット・ゲーム』でも舞台となりました。
どちらも 海軍兵学校 がキーワード。 確かに全米から選ばれた学生が集まる「United States Naval Academy(USNA)」という名門校があります。
でも魅力はそれだけではありません。
街全体がヨーロッパの古都を彷彿とさせる雰囲気にまとまっていて、ゆったりまったりとした時間が流れています。
観光客を乗せる馬車も馴染んでいますね。
ここは1600年代にイギリス人が入植したのですが、その頃のイギリス王女が 「Anne アン王女」。そして「都市」を意味するギリシャ語が「polis ポリス」。だから 「Annapolis アナポリス」と呼ばれる街になったそうです。
ちなみに意外と知られていないのですが、アナポリスは ボルチモアのあるメリーランド州の州都なんです。でもボルチモアよりもこぢんまり。街の端から端まで歩けるくらいで、程よい田舎っぽさも感じられます。
でも。そんな街になぜ多くの観光客が訪れるんでしょう?
そのポイントは3つ。1つは 「歴史的な古都」、2つ目は 「のどかな港町」、最後の1つは何やかんや言ってもやっぱり 「海軍兵学校」。この3つを中心に、アナポリスの楽しい散策の仕方をご紹介します。
建物についている「プレート」、あなたは何色見つけられる?!
個々の見どころをご紹介する前に、1つ、アナポリスの散策が楽しくなるコトをご紹介します!
アナポリスは独立以前からの歴史的な建造物が多数残されているのですが、この街を歩いていると、建物に掲げられているこんなプレートが目に入ると思います。
これは「Liberty Tree(自由の樹)」と呼ばれているプレート。
“歴史的に価値が高い” と認められている建物に掲げられており、その色は全部で 8色 。色によって「年代」や「様式」が異なります。
- グリーン:1684〜1700年 ピューリタンが入植してから独立する前の17世紀までの建物
- ブロンズ:18世紀の重要な建物
- レンガ:1700〜1784年 パリ条約(1784年)でアメリカ独立が認められる前までの建物
- ブルー:1840年頃までに流行った、ホワイトハウスが代表的な「フェデラル様式」の建物
- 青緑色:1900年頃までの、アメリカ国会議事堂が代表的な「ギリシャ復興様式」の建物
- パープル:1900年頃までの、中世回帰の風潮が表現された「ビクトリア様式」の建物
- グレー:19世紀のアナポリスならではの建物
- イエロー:20世紀以降のアナポリス式の建物
さあ!あなたは何色見つけられるでしょうか?!
アナポリスの象徴!【メリーランド州議事堂】
アナポリスの小高い丘にあり、街のどこからでも見えるのが 【メリーランド州議事堂】。この議事堂は今でも現役なのですが、歴史的にもとても重要な建物です。
アメリカが本当の意味で独立した場所
アメリカがイギリス植民地から独立宣言をしたのは1776年7月14日。フィラデルフィアで宣言されました。でもそれはアメリカが一方的に「俺らは独立するんだー!おー!!」と言っただけ。
その後「そんな勝手は許さん!」と言うイギリスと数年に渡り独立戦争をし、1784年にようやく パリ条約 でイギリスが正式にアメリカ合衆国の独立を認めたんです。
そのパリ条約が批准されたのが、ここ!アナポリスの州議事堂!
その直後は、アナポリスは いわゆるアメリカ合衆国の最初の首都 となりました。これが “アメリカの古都” と言われる所以なのですね。
我々日本人はピンとこないかもしれませんが、やはり自国について知りたいアメリカの人たちにとっては、フィラデルフィアの独立宣言と同じくらい、独立が認められた場所としてアナポリスは重要な街なのだなぁ…と思います。
釘は一切使っていない1704年に建てられたアメリカ最古の木造ドーム
ここにはプレートが掲げられています。色はブロンズで “18世紀の重要建築物” 。それもそのはず、釘を使っていない全米最古の“木造ドーム” なんです。
ちなみに、このメリーランド州議事堂の造り…何かに似てると思いませんか?そうです、今のアメリカ国会議事堂です。
初代大統領になった「ジョージ・ワシントン」はここで働いていた頃からこの建物に愛着があり、首都がワシントンD.C.に移動するとなった際、「メリーランド州議事堂と同じ造りにしてくれ!」と建築デザイナーに依頼したと言われています。
- メリーランド州会議事堂
- アメリカ / 建造物
- 住所:100 State Cir, Annapolis, MD 21401 アメリカ合衆国地図で見る
- Web:http://msa.maryland.gov/msa/mdstatehouse/html/home...
ティファニー製の窓ガラスは必見【St. Anne's Church セントアンズ教会】
メリーランド州議事堂のすぐ西に、ひときわ大きくて目立つ教会があります。これが【St. Anne's Church セントアンズ教会】。先ほど紹介したように、アナポリスの名前の元になった「Anne アン王女」が由来の教会で、独立する以前に建てられたそうです。
中は自由に入ることができます。パイプオルガンがとても立派!
ぜひ窓ガラスを見てみてください。この教会の窓ガラスは、なんと ティファニー製 。1893年にシカゴで行われた万博にも出展されたとか。
ここまで書くと「独立前に建てられたのに、ディファニー?!」って思うかもしれませんね。実は、独立前からの教会が現存しているわけではなく、現在の教会は3代目だそうです。
【City Dock シティドック】で心地よい海風を感じよう!
セントアンズ教会から、まっすぐ伸びる道「Main St. メインストリート」を下って行くと海が見えてワクワクします!
この先には「City Dock シティドック」と呼ばれる、アナポリスで一番一番賑わっているエリアが。徒歩10分…もかからないくらいですが、その途中にも色々なお店があるので、散策が楽しめます。
シティドックは、ワシントンD.C.やボルチモアにも入り組んでいる チェサピーク湾 に面していて、レストランやお土産屋さんなどのお店もたくさん!港町らしい雰囲気にあふれています。
チェサピーク湾の新鮮な魚介類は人気!
チェサピーク湾と行ったら、やっぱり ブルークラブ! ワタリガニの一種で、その名の通り青い色をしています。「クラブケーキ」という料理を聞いたことはないでしょうか? “カニ+生クリームのケーキ” ではなく(笑)、カニ肉と小麦粉を混ぜて焼いたもの。アメリカのレストランではアペタイザーとしてメジャーな料理ですが、発祥の地はチェサピーク湾のこのエリアだそうです。
もちろんカニだけではなく、ハマグリや牡蠣も有名。生で食べられるお店もありますヨ♪「アメリカで生の貝なんて…」と思うかもしれませんが、風評被害の激しいアメリカでは危険な食べ物を出すお店はほとんどありません。アメリカの生の魚介類もなかなか美味しいです!ぜひチャレンジしてみてくださいね。
ハーバーの風が心地いい!
シティドックの先には、たくさんのクルーザーが停泊しているハーバーが広がっています。ここにあるのはほとんど個人の所有物。水着姿で乗り込んで、ビールや料理を楽しみながら、沖に向かって行く家族をみると「いいなぁ〜」とついつい眺めてしまいます。
もちろん、桟橋を歩くだけなら無料!広い場所でゴロンと寝転がって海風を感じている人たちもいっぱいいます。
「Kunta Kinte クンタキンテの像」の広場
桟橋の付け根あたりは、ちょっとした広場になっていて、面白い銅像があります。本を読み聞かせしている人、それに聞き入る子供たち。
ガイドブックなどには「Kunta Kinte Plaque クンタキンテの碑」と書かれていますが、この本を読み聞かせている銅像の人物は「Alex Haley アレックス・ヘイリー」という作家です。
アフリカ系アメリカ人で、13代前のお祖父さん「クンタキンテ」が奴隷として西アフリカからアメリカへ売られたことを突き止め、アメリカで一族が奴隷として生きていく姿を記したノンフィクションの歴史小説『Roots ルーツ』で一躍有名に。
港町として栄えたアナポリスは、かつては奴隷貿易も盛んに行われていたそうで、クンタキンテが初めてアメリカに上陸したのも、ここアナポリスなんだそう。
『ルーツ』は1977年にテレビドラマ化され、日本でも放映されました。その頃 “自分のルーツを知ろう!” と、この頃から “ルーツ” という言葉が日本語として浸透していったとか。
- アナポリス・シティ・ドック
- アメリカ / 町・ストリート
- 住所:Dock St, Annapolis, MD 21401 アメリカ合衆国地図で見る