青森県浅虫温泉は東北新幹線の新青森駅からクルマ、電車ともに30分の距離にある小さな温泉街です。浅虫の温泉は歴史が古く、麻を蒸すことに利用されたことが地名の由来になったといわれています。その浅虫温泉にたたずむ小さな旅館「椿館」は本当に素敵な宿。世界的な版画家である棟方志功ゆかりの旅館です。源泉かけながしの温泉も素晴らしいのですが、他にも見どころがいっぱい。ねぶた発祥とされる浅虫ねぶた、温泉たまご場、ほたるの鑑賞会も含め、浅虫温泉「椿館」の魅力をお伝えします。
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棟方志功ゆかりの宿「椿館」
浅虫温泉を代表する「椿館」は老舗中の老舗旅館。現在のご当主は18代目です。重厚な和風建物に心が和みます。
建物に飾られた大きなねぶたは、棟方志功画伯作。ここは棟方志功ゆかりの宿としても有名です。生前の画伯が毎年長期でご逗留されたとか。その際に創作された作品が、今もロビーにたくさん飾られています。それはちょっとした美術館。なんと全集にも載っていない作品も数多くあるとのことです。
運が良ければ、ご当主による作品の講話もきくことができます。また、浴場に向かう通路には棟方が創作に励む写真がたくさん飾られています。棟方の息吹が聞こえてくるようです。
源泉かけ流し「椿の湯」
「椿館」のもうひとつの醍醐味は源泉かけ流しの温泉。その源泉は「椿館」の中庭にある椿の根元から湧き出ており、「椿の湯」の由来にもなっています。泉質は単純温泉(低張性弱アルカリ性高温泉)で、美容効果も抜群。もちろん、露天風呂も楽しめます。
もちろん、宿泊客だけでなく、日帰り温泉でも入浴は可。浅虫温泉内の温泉施設を1,500円で3軒、1,000円で2軒まで楽しめる「麻蒸湯札」の利用がお得です。「麻蒸湯札」は「椿館」でも購入できます。
この温泉、入浴するだけでなく、飲むこともできます。尿酸値を下げる役割があるとか。本当に気持ちのいいお風呂です。
朝食の「ほたて味噌貝焼き」
浅虫の特産品のひとつであるほたて。「椿館」の朝食に出てくる、「ほたて味噌貝焼き」は青森県の郷土料理です。貝を皿に、だし汁、ホタテ、溶き卵を味噌で味付けし、直火で煮た素朴な料理。けれど、これが本当においしくて、思わずごはんが進みます。
文豪、太宰治の作品『津軽』にも登場する「ほたて味噌貝焼き」は、青森の朝を感じさせてくれます。
- 椿館
- 青森市 / ホテル / 旅館
- 料金(目安):5,346円〜43,271円
- 宿泊時間:15:00〜10:00
- 住所:青森県青森市大字浅虫字内野14地図で見る
- 電話:017-752-3341
- Web:http://www.810215.com/
青森のねぶたの源流「浅虫ねぶた」
今や200万人が訪れるという青森ねぶた。そのねぶたの発祥と言われているのが、浅虫ねぶたです。
ねぶたや跳人の数は青森と比べると規模は小さいのですが、ねぶたを目の前で見ることができ、参加することも可能です。素朴なお祭りですが、「ラッセーラー」と元気に跳ねる跳人を間近に見られ、目の前で回転するねぶたに思わずうっとり。
浅虫ねぶたは毎年7月中旬に開催されるとともに、お盆にも1日催されます。
- 浅虫ねぶた
- 青森市 / イベント・祭り
- 住所:青森市浅虫地区地図で見る
- Web:http://www.asamushi.com/event/index.php
「温泉たまご場」と足湯
「椿館」から徒歩1分。「温泉たまご場」と呼ばれる場所があります。こんこんと湧き出る温泉に卵を浸けて温泉卵を作る公共の場です。
「温泉たまご場」に置いてある、ざるを使って温泉卵を作ります。作る時間の目安は、17分。
その間は「温泉たまご場」の隣にある足湯に浸かりリラックス。地元の人が訪れる「温泉たまご場」と足湯は地域の社交場でもあります。
卵は「椿館」で1個30円で買うこともできます。浅虫温泉に行ったら、ここは絶対外せないスポットです。
- 温泉たまご場
- 青森市 / その他スポット
- 住所:青森県青森市大字浅虫字内野6地図で見る
- Web:http://www.asamushi.com/sightseeing/insenjo.html
浅虫ダム(ほたる湖)の蛍鑑賞
浅虫温泉にほど近い、浅虫ダム(ほたる湖)はほたるの生息地。ゲンジ蛍、ヘイケ蛍、そしてヒメ蛍の3種類の蛍がみられる国内でも珍しい場所です。蛍が見られるシーズンは7月中。
この期間、先述した「椿館」では、毎晩無料バスを出して宿泊客向けにほたる鑑賞を実施しています(雨天時は中止)。赤外線の懐中電灯で、旅館の方がご案内してくれます。電灯ひとつない星空のもと、蛍が乱舞する幻想的な光景はきっと一生忘れることがないでしょう。