「私が死んだらノイシュバンシュタイン城は永遠に葬ってくれ」と言うほど自分の城を愛していたバイエルンきっての美男子ルートヴィヒ2世、でも皮肉にも、今では世界中から観光客が集まる城となりました。この城に訪れるなら、“夢を見ていた”ままに城を建てたルートヴィヒ2世の波乱な人生を知ってから訪れると、きっとその魅力も倍増するのではないでしょうか。
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【ノイシュバンシュタイン城】とは?どのように楽しめる?
ドイツの古城といったら、やはり一番に挙げられるのが【Schloss Neuschwanstein ノイシュバンシュタイン城】。南ドイツ観光のテッパン「ロマンティック街道」の終着点、Füssen(フュッセン) という、ミュンヘンから車で1時間半、 オーストリア の国境に近い場所にあります。
よくディズニー『眠れる森の美女』の城のモデルになったと言われ、今や “世界中の憧れの城” という存在。外見もさることながら、内部はとっても豪華絢爛です。
お城の外見は写真はいくらでもOKですが、完全ガイドツアー形式で案内される内部は 撮影禁止。ホームページにも内部の様子は無く、写真でご紹介できないのが残念ですが、特に「王座の広間」や「歌人の広間」の豪華さは見応えあり!さらにびっくりするのは 城の中に洞窟が!! もちろん造られたモノですが、滝まで流れています。
内部見学が終わった後も城の麓をゆったり散策できます。
必見!【マリエン橋】からの景色は絶景
よくノイシュバンシュタイン城の写真として見られるこの角度、これは飛行機やドローンなどで撮った特別なものでは無く、私たち一般人も観ることができます。それが 【Marienbrücke マリエン橋】。
「なんて良い写真スポットなんだ!」と思いますが、この橋は観光客のためにかけられたものではなく、もともとは今から170年以上も前にかけられたもの、というのがびっくりです。もちろん近代に修復されています。
お城全体が見られることはもちろん、周囲の自然の中にポツリと建っている光景がまた素晴らしく、訪れる時期によって魅せる表情も違います。
筆者は10月に訪れましたが、雪の降る冬の光景もまた、より一層幻想的で素晴らしいですね。
ノイシュバンシュタイン城について知っておきたいこと
さて、そんな見事な光景を見せてくれるお城ですが、知っておきたいこと(メルヘンなイメージを崩したくなければ知らないままの方が良いかも?!)がいくつかあります。
実は「鉄筋コンクリート」!
“古城” というと “中世時代に石で造られた” というイメージですが、ノイシュバンシュタイン城が建てられたのは何年だと思いますか?
なんと!中世時代はとっくに終わった 19世紀中頃 なのです。
一見、伝統的な造りの城のように見えますが、この城の基礎は 鉄骨組みのコンクリート。モルタルという脆い接着素材も使っていたため耐久性はかなり低く、「敵から王族を守る」という城本来の役割はほとんどありません。また、豪華な造りなのに、政治や外交の拠点としての「宮殿」として建設されたものでもありません。
一言でいうなら “王のワガママで造られた芸術作品” 。では、どんな王が一体何のために建てたのでしょうか?
「ルートヴィヒ2世」が自分のためだけに建てた城
ノイシュバンシュタイン城を語るに欠かせない人物、それが【ルートヴィヒ2世】です。1845年にバイエルン王国に生まれ、19歳で王に即位しました。
ただ…彼は “国王” という地位には向かない人物だったようです。
幼少の頃からゲルマン神話や騎士伝説に憧れ、即位してからも政治や軍事には全く興味がなく、「中世のような素晴らしい城を建てたい!」と、あちこちに城を建築しだしました。
その城はもちろん国家のためではなく “自分の中世への憧れを現実にしたいためだけ” 。当時は「国の金を使って無駄なことを!」と家臣は憤慨していたと思いますが、皮肉なことに今はその城の多くが観光客に大人気となっている…というわけです。
今だから言えることですが、“王” としては向かない人物だったかもしれませんが、ルートヴィヒ2世の人生を追っていくと、とても興味深いものがあります。
- ノイシュバンシュタイン城
- ドイツ / 建造物 / 城 / 城・宮殿
- 住所:Neuschwansteinstraße 20, 87645 Schwangau地図で見る
【“狂王” ルートヴィヒ2世】の様々な逸話
超イケメン!だったルートヴィヒ2世
ルートヴィヒ2世の肖像はWEBで検索すればたくさん見られると思いますが(例えばwikipedia)、まさに ハンサム!おとぎ話に出てくるような顔立ちです。当時はそれはそれは女性がキャーキャー黄色い声をあげていた…と思うのですが…
「美男子好き」かつ「女嫌い」
ルートヴィヒ2世は40歳に変死するまで生涯独身でした。というのもルートヴィヒ2世にまつわる話で有名なのは、青年の頃から “美男子好き” であったこと。女性をもっぱら嫌い、美男子の近臣たちを側に置いていたそうです。
今となっては同性愛者だったのかはわかりませんが、19世紀のこの頃はキリスト教においてはまだ同性愛はご法度の時代。周囲の家臣から嫌われ、次第に孤立していったことは想像に容易いです。
そんなルートヴィヒ2世が 唯一心を許した女性 が1人だけいます。