鳥取県東伯郡琴浦町光には48戸の集落があり、そのうちの24棟に鏝絵(こてえ)が施されています。これだけ密集しているのは全国的にも珍しく、『ミシュランガイド山陰版』では星1つを獲得している注目のスポットです。今回は、地区内に一歩足を踏み入れると次から次へと見事な鏝絵が観賞できる「光の鏝絵」についてご紹介します。
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光の鏝絵とは?
「光(みつ)の鏝絵」の「鏝絵(こてえ)」とは、左官職人が鏝を使って、漆喰壁に福神や動物、植物などの浮き彫り模様を塗り、絵画的・装飾的に仕上げたものをいいます。江戸末期から昭和初期にかけて、庶民の建築文化として全国的に流行していたといわれています。
家紋や文字より華やかな鏝絵は、蔵にも多く用いられたため、別名「蔵飾り」とも呼ばれています。鳥取県中部に位置する琴浦町の光地区には、48戸の集落があり、そのうち24棟に鏝絵が施されています。
これだけ密集しているのは全国的にも珍しく、2017年にリリースされた『ミシュランガイド山陰版』で光の鏝絵は星1つを獲得しています。
これらの鏝絵は、琴浦町光集落の吉田貞一氏と吉田勝重氏、また吉田貞一氏から指導を受けられた琴浦町中村集落の野口原貞雄氏によって、丹精込めて仕上げられました。
光地区に足を踏み入れると、左官職人たちによって作り上げられた芸術品が次から次へと楽しめます。
光の鏝絵観賞前に!鏝絵の絵柄の意味を知っておこう!
鏝絵は、縁起の良い意味がこめて彫られています。光の鏝絵を見学する際にその意味を知っているとより楽しく観賞できるので、代表的なものをいくつかご紹介しておきます。
鶴
知っていらっしゃる方も多いかと思いますが、鶴は古来より「鶴は千年」といわれています。「長寿を象徴する吉祥の鳥」として、古くから親しまれています。
亀
亀は、不老長寿の地として信じられてきた蓬莱山(ほうらいさん)の使いとされており、大変おめでたい動物とされています。
鯉
端午の節句でもお馴染みの鯉は、試練を乗り越え龍となった伝説から、立身出世の象徴とされています。
蕪
蕪は、「株が上がる」にかけて「評判が良くなる」などの意味として用いられています。
打出の小槌
打出の小槌は、振れば欲しいものが手に入り、望みがかなうといわれており、大変縁起がいいとされています。
光の鏝絵を観賞しよう!
鏝絵が密集する光地区の前には、光の鏝絵観光用の駐車場が設けられています。
集落内は車の乗り入れが禁止されているので、徒歩で見学します。駐車場には効率良く鏝絵が観賞できるように案内地図も用意されているので、ぜひ参考にしてみて下さい。
では、さっそく光の鏝絵を観賞しに出かけましょう!
集落に入ると、鏝絵よりも先に、まずは歴史が感じられる住宅や蔵が目に飛び込んできます。
情緒ある町並みを楽しみながら歩みを進めていくと、すぐに見事な鏝絵の数々が現れます。
住宅や蔵には、青や黄色を用いたカラフルな色が使われ、その模様に取り囲まれるように先ほどご紹介した鯉や亀、打出の小槌などの縁起のいい鏝絵が描かれています。
他にも土蔵に彫られた家紋や色鮮やかな稲妻の門など、本当に次々と見事な鏝絵が現れ、かなり密集していることがよく判ります。
鏝絵によっては、邸宅内に入らないとよく見えないものも多いですが、個人の邸宅内に許可なく入ることは禁止されています。歩きながら無理なく観賞できる鏝絵を楽しむか、もしくは、どうしても近くで見たい際は許可をとってから見させて頂きましょう。
遠くからの鑑賞はもちろんのこと、随所に歴史が感じられる町並みは散策してみるだけでも十分に楽しめるので、ぜひじっくりと観光されていって下さいね。
おわりに
『ミシュランガイド山陰版』で星1つを獲得している琴浦町の「光の鏝絵」はいかがだったでしょうか?
鏝絵についてあまり知らない方や、今回初めて知ったという方でも、実際に光地区を歩き、次々と目に飛び込んでくる色鮮やかな鏝絵の数々を見れば、きっと魅了されるに違いありません。
琴浦町を訪れる際には、ぜひ光の鏝絵も観光プランの1つに加えてみて下さいね。
- 光の鏝絵
- 鳥取 / 町・ストリート / 穴場観光スポット
- 住所:鳥取県東伯郡琴浦町光地図で見る
- Web:http://www.kotoura-kankou.com/mitu_kotee.html