モンゴルの旅といえば草原で乗馬が最もポピュラーなスタイルですが、それだけでなく独特な空気感を漂わせるディープなスポットも多く存在しています。モンゴルの中心から東南エリアに位置する東ゴビでは、地平線が見渡せるほどの広い大地に数々のパワースポットが点在し、その土地の奥深さと味わいをかもし出しています。
この記事の目次表示
空と大地のパワースポット、東ゴビの見どころ
ウランバートルから列車に乗り約10時間ほど南下すると、サインシャンドという駅に到着します。ここは東ゴビというエリアで、ゴビとは草木がまばらに生えている荒地のこと。乾いた地面が果てしなく広がり、ときどきガゼルなどの野生動物にも遭遇します。
スポットとなる場所には母体を象徴したものがいくつかあり、その様子から「生まれ変わり」というキーワードが浮んできます。まるで古くから行われてきた人々の祈りのエネルギーが、空中を漂っているかのような不思議な印象を与えます。
願いを叶える黒山
サインシャンドから車でしばらく走ると小高い山が見えてきます。ここは黒山といって願いを叶えてくれる山です。ただし山頂まで行けるのは男性のみで、女性は中腹から山頂に向かって祈りを捧げます。
モンゴルではこのような際にウォッカやミルクを用いることが多く、黒山でも天にウォッカをかけながら祈ります。祈りというと少し堅苦しく感じますが、神社に手を合わせるのと同じように、心に思うことを素直にお願いすればいいでしょう。
それだけでなく、黒山は広大な空と大地が見渡せる絶景スポットです。階段を上がるのは少し大変ですが、きっとその分価値ある景色に出会えると思います。
ミルクで祈るおっぱい岩
黒山が男性しか登れなかったことに対し、こちらは女性のために存在している祈りの場所です。二つの岩は女性の乳房をイメージして祀られ、そこにミルクをかけながら祈ります。岩の表面はミルクが固まり真っ白で、まるで石灰石のようなユニークな姿となっています。
二つの岩を繋ぐ棒に巻かれている布はハダクといい、聖なる布として扱われています。青は空の象徴であり、神聖な場所では必ずこの布を目にします。
瞑想の洞窟と生まれ変わりの穴
遠い昔、僧侶が修行のためにこもり続け、瞑想したと言われる洞窟です。周りはもちろん大地が広がるばかりの何もない場所で、それだけ見てもきっと楽な修行でなかったことが想像できます。僧侶はいったい何を感じながらここに座り続けたのでしょう。そしてどのように生涯を終えていったのでしょうか。
こちらの穴は大人一人が四つん這いになり、やっと抜けられる程度の大きさです。母の産道をイメージしてあり、中を通り向こう側へ抜ける行為には、新しく生まれ直すという意味があるそうです。
大地からエネルギーがふき出すシャンバラランド
大地からエネルギーが吹き出すシャンバラランドは、東ゴビで最もパワフルなスポットです。入り口で入場料を払い、正面の釈迦の目が描かれた建物の向かって左側から入ります。
敷地の中にはこれまでの罪やネガティブな思いなどを書いた紙を燃やす場所があり、負のエネルギーが煙とともに浄化され、消えて無くなっていくそうです。
地面の土が変色している部分があり、そこからエネルギーが湧き出ていると考えられています。そのため訪れた人は、地面に寝転びエネルギー浴をしています。そして帰りは入ってきた時とは反対の、釈迦の目が描かれた建物の向かって右側から外へ出ます。
こうして浄化・エネルギーチャージをし外に出れば、晴れて清らかな身へと生まれ変わったということなのだそうです。シャンバラランドは広い大地の上に吹き抜けになっていて、静けさの中に風の音だけが通り過ぎる、不思議な魅力のある場所です。
おわりに
ウランバートルからサインシャンダまでは列車一本で着きますが、その先のスポットへは車がないと行けません。観光バスは走っていないので交通手段はマイカーかタクシーです。ですがモンゴルは日本語はおろか英語も通じないことがほとんどであり、ツーリスト狙いのぼったくりも頻繁です。
そのため郊外をスムーズに観光するにはあらかじめツアーに申し込むか、個人の場合もガイドを付けることをオススメします。元々モンゴル人は人懐っこい性格なので、信頼できる相手であればきっと親切に対応してくれるでしょう。
東ゴビの果てしない空と大地からたくさんのエネルギーを吸収し、それぞれの祈りを感じてみてください。もしかしたら心に秘めているその願いが、叶うかもしれません。