令和となり御一代一度きり行われる大嘗祭(だいじょうさい)がつつがなく執り行われ、日本中に喜びが満ちているその陰で、日本各地の神社では大嘗祭を迎えるにあたり国中を祓い清める大祓式が行われていました。奈良県天理市にある石上神宮は、そうした活動の中心的役割を担っていました。国をお守りし、あらゆる願いを成就させる(百事成就)神社のトップとして古代より崇敬を集める、石上神宮についてご紹介します。
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“神宮号”がつく格式高い石上神宮(いそのかみじんぐう)
石上神宮は、全国に8万社あるとも言われる数ある神社の中でも特別な由緒がない限り許されない、「神宮号」を持つ25社のうちの1社に数えられる、大変格式の高い神社です。
ご利益は迷いを断ち切り、窮地から起死回生する
御祭神も布都御魂大神(ふつのみたまのおおかみ)、布留御魂大神(ふるのみたまのおおかみ)、布都斯魂大神(ふつしみたまのおおかみ)という、いずれも剣の神様となっていてとても珍しいです。
”ふつのみたま”は人の迷妄を解き国を拓いた剣、”ふるのみたま”は別名十種神宝(とくさのかんたから)といい、人をも生き返らせる霊力をひめていると伝わります。”ふつしみたま”は、八岐大蛇退治の際に素戔嗚尊が使用した十握の長い剣です。三つの剣を祭祀に使用し、国を守る役割が、石上神宮を創建した物部氏にあったようです。
草薙剣(くさなぎのつるぎ)の荒魂が祀られる境内社・出雲建雄神社(いずもたけおじんじゃ)
三種の神器の一つ草薙剣は熱田神宮のご神体として祀られるものですが、盗難に遭った後一時期石上神宮にあった時期がありました。草薙剣を祀られたのがこの出雲建雄神社ということです。
石上神宮の特別な祭事
令和元年の大嘗祭に備えて、石上神宮では11月12日、国中を祓い清める臨時大祓式を斎行しました。鎮護国家のお役目をきちんと果たされているのですね。その他、ほかではあまり見られないご神事をご紹介します。
鎮魂祭(ちんこんさい)
摂社・天神社と七座社の例祭が、大嘗祭のある年以外は11月22日午後5時から行われます。十種神宝と魂振りの神業をもって神武天皇と皇后の長久長寿をいのる、物部氏伝来の鎮魂呪法(ちんこんじゅほう)にのっとって行われるご神事です。
お火焚祭(おひたきさい)
一年分約2万本の「願串(ねがいぐし)」を、12月8日午後2時より大祓祝詞と十種祝詞の奏上と共に焚き上げて願いの成就を祈ります。
玉の緒祭(たまのおさい)
「玉」とは「魂」のことです。太陽の光が弱まり魂の力も枯渇すると考えられる節分前夜に、たまふりを行って魂の緒を強化し開運厄除けを祈ります。節分の前夜午後5時半から行われます。拝殿のすべての明かりが消された中、鈴の音と呪言だけがきこえる古代の祭祀は、見学自由となっています。
神剣渡御祭(しんけんとぎょさい)
でんでんと太鼓を鳴らしながら渡るので「でんでん祭」という名で愛されるお祭りです。6月30日13時から本祭があり、午後2時半から御田植神事、午後3時には還御し、午後5時から茅の輪くぐりご神事が始まります。
「日本一カッコイイ」石上神宮の御朱印とお守りなど
石上神宮のシンボルマークになっている「七支刀(しちしとう)」というものがあります。百済の使者が神功皇后に献上したという国宝で、石上神宮の宝物です。これをモチーフにしたお守りや御朱印がいただけるということです。六つの剣先を持つ剣は呪術用に使用され、邪霊退散、ピンチを救う起死回生、開運招福のご霊験をしめしたと伝わります。このお守りはぜひいただきたいものですね。
- 出典:ja.wikipedia.org七支刀レプリカ
七支刀がデザインされている授与品
- 御神劔守 1,000円
- 神劔錦守 500円
- 交通ステッカー 300円
- 七支刀タイピン・ブローチ 3,000円
- 御朱印(七支刀デザイン)
石上神宮へのアクセス・トイレ
- 公共交通機関/JR天理駅から石上神宮までは約2㎞あります。歩くと30分弱かかりますが、天理駅から奈良交通バス「菅原行」に乗車し「石上神宮前」で下車すると5分で到着します。
- 車/無料駐車場が第4まであり約200台駐車可能です。
- トイレ/第1駐車場の脇にあります。
おまけ:石上神宮付近でランチを食べられるお店
石上神宮の社標があるところから150mほど南の杣之内交差点にある、農家の方が開いている農家カフェけやきさんでは、新鮮な自家農園野菜たっぷりの畑の薬膳と銘打つ野菜ランチが980円(税別)でいただけます。通常は黒米のごはんですが、栗の季節には栗ご飯に変わるようですよ。
おわりに:石上神宮(いそのかみじんぐう)の名の秘密
朝廷の武器庫であったとされる石上神宮であり、数々の偉業を成し遂げた神剣を預かる大切なお社でしたが、主な働きは鎮護国家の祈りを、神剣の力をもってささげることにありました。神剣は祝詞によって霊力を宿します。祝詞、それは日本語50音の言霊の力です。だから「五十神(いそのかみ)」の神宮なのですね。日本語を話す人として石上神宮のご神徳に触れてみませんか?
- 石上神宮
- 奈良 / 神社 / 穴場観光スポット / 縁結びスポット
- 住所:天理市布留町384地図で見る
- 電話:0743-62-0900
- Web:http://www.isonokami.jp/