ワイナリー、蒸留所、酒蔵…。お酒の仕込みをするところって街から離れたところにあると思いこみがちですが、世界のあちこちでトレンドになっているクラフト・ビールは、マイクロブリュー(microbrew)とも呼ばれるように小さな醸造所で作られており、旅の最中でもアクセスの良い都市のど真ん中にひっそり立っていたりするのです。オランダ・アムステルダムにも”街中ブルワリー”があります。なかなか日本でお目にかかれない地酒に出会う絶好の場所、ぜひ旅の予定に組み込んでみてはいかがでしょうか。
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ビール大国オランダ、最近のトレンド
オランダのビールと言えばハイネケン(Heineken)や、グロールシュ(Grolsch)、アムステル(Amstel)などの割と軽めのものが定番。
しかし、移住者向けに英語でディープなローカル情報を提供するEXPATICAのウェブサイトによると、ここ10年ほどオランダの消費者のビールの志向は多様化しており、とくにアムステルダムでは慣れ親しんだ大手メーカーのビールではなく、味のしっかりしたクラフト・ビールを気分によって選ぶ人が増加しているそうです。
そして、この需要拡大に応えるかのように、オランダでは"マイクロブリューで起業!”がブーム。
Statistics Netherlands (CBS)のウェブサイトによると、2007年から2017年までの10年間で、従業員が1人から5人の小規模ビール醸造所の数はオランダ全体で6倍以上に増え、とくに2014年以降、急激に伸びています。
アムステルダムのマイクロ・ブルワリー
ではアムステルダム観光のついでに立ち寄ることのできるブルワリーをご紹介してゆきましょう。
1.あの超有名観光地にあるデ プライエル(De Prael)
1軒目はガイドブックにも載っている”飾り窓地区(Red Light District)”から横道を少し入ったところにあるデ プライエル(De Prael)です。
この日はビンゴ大会が開催されていて、店内満席!なので、苦味とドライホップが生み出すグレープフルーツのような爽やかな香りのあるIPAを1杯だけいただきました。
他にも様々な定番、そして限定ビールがあります。フードメニューもおつまみからハンバーガーなどのメインまで充実しています。また予約をすればテイスティングつきの醸造所見学もできるとのこと。
”飾り窓”は歴史のある売春合法地区。アムステルダムのど真ん中にあり、中央駅や王宮や花市場などの観光スポットとも隣接しています。夜になると赤いランプがともった細い疎水の脇に、セクシーな装いでガラス窓の中から客引きをするお姉さまたちをみることができます。
夜でも子連れの観光客もいるほどに、不思議といかがわしさは感じないので、女性の方も訪れてみると良いかと思います。
- デ プライエル
- オランダ / 居酒屋・バー
- 住所:Oudezijds Armsteeg 26,1012GP Amsterdam地図で見る
- 電話:020-408-4469
- Web:https://www.deprael.nl/en_GB/brewery/
2.風車のたもとのブルワリー、ブロイエライ・テ・エイ(Brouwerij 't IJ)
2軒めは、今のクラフト・ビール・ブームの前から変わらず独自の哲学でクラフトビールを作り続ける創業1985年のブロイエライ・テ・エイ(Brouwerij 't IJ)。
街の中心から少し東にある使われていなかった公共浴場を、醸造所に改装したのがはじまりとのことで、アイコニックな古い風車と並んで建つ姿を、周回観光バスから多くの旅人が写真に収めていました。
下調べが足りず、来訪時間が早すぎて残念ながら中に入ることができませんでしたが、このあと訪れたロイドホテル(Lloyd Hotel)のカフェにちゃんと置いてあり、店員さんに"地元のビール”としておすすめされました。
限定醸造のアメリカン・ウィート・エール(American Wheat Ale)は軽めだけれどもコクがあり、優しい苦味の奥にマンゴーやバナナのような南国のフルーツ感のある不思議な味わいです。
ブロイエライ・テ・エイには、限定醸造のほかにたくさんの定番ビールがあり、創業当時と変わらないレシピで、ほとんどオーガニック原料のみを使って作られています。金曜日、土曜日、日曜日は醸造所が開館され、見学もできるとのこと。
- ブロイエライ・テ・エイ
- オランダ / ドリンク
- 住所:Funenkade 7 1018AL Amsterdam地図で見る
- 電話:+31 (0)20 261 9801
- Web:http://www.brouwerijhetij.nl/
おわりに
実は今回ご紹介したブルワリーは、ふらりと立ち寄ったビアバーで出会ったアムステルダム住人に教えてもらったもの。ビール党の方は、地元の方に好みの味を伝えておすすめを聞いてみると隠れたマイクロ・ブルワリーに出会えるかもしれません。
またこの2つのブルワリーはアムステルダムのクラフト・ビール界では老舗。まだまだ他にも最近できたマイクロ・ブルワリーがあるようです。また、食や音楽も絡めたビアフェスティバルなどイベントも増えてきています。
オランダに行かれる際には、こちらのウェブサイトでビール・イベントをチェックしてから行くと、ビール大好きオランダの熱を直に感じることができるでしょう!