日本では、簡単に見ることの出来ない氷河ですが、ニュージーランド南島には、近くの町から気軽に見に行くことが出来る氷河が存在します。その名も「フランツ・ジョセフ・グレイシア(Franz Josef Glacier)」と「フォックス・グレイシア(Fox Glacier)」。今回は2つの氷河をセットで紹介します。
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双子の氷河
1990年に世界遺産の自然遺産として登録されたニュージーランドの「テ・ワヒポウナム」。フィヨルドランド国立公園、アオラキ/マウント・クック国立公園、ウェストランド国立公園、それにマウント・アスパイアリング国立公園とそれらの周辺地域を一つにまとめて「テ・ワヒポウナム」と呼んでいます。
その一部になっているウェストランド国立公園の観光の目玉は、"フランツ・ジョセフ・グレイシア"と"フォックス・グレイシア"という2つの氷河。氷河の規模が似ているだけでなく、お互いが25km(車で約30分)しか離れていないので"双子の氷河"とも呼ばれています。
フランツ・ジョセフ・氷河(グレイシア)へ行こう!
フランツ・ジョセフの町を拠点に出発
フランツ・ジョセフ・グレイシアへ向かう拠点となる町、フランツ・ジョセフは、氷河の名称がそのまま町の名前になっています。人口は約500人ほどという小さな町ですが、観光客は年間で100万人以上。国道がメインストリート(約500メートル)で、それに平行して1本の通りがあるだけの規模です。
しかしメインストリートにはツアーやアクティビティ関連のショップ、カフェ、レストラン、スーパーマーケットが並んでいるので、食料などの買い出しに困ることはありません。
氷河が作り出した自然を見ながらトレッキング
町から700mほど南にある橋を渡ったところから、氷河へと続く道が整備されています。氷河から流れ出た川と深い森を見ながらゆるやかな坂道を上っていきます。ちなみに町から氷河のビューポイントまでの距離は約5kmほど。全行程を歩いて見に行くこともできる距離です。
フランツ・ジョセフの町から車で5分ほど走ると、広い駐車場にたどり着きます。その先は歩いて氷河のビューポイントを目指すことになります。コースタイムは駐車場からの往復で約1時間半。
10分ほど歩くと森を抜け、氷河が削った深い谷が姿を現します。谷があまりに深くて驚かされます。氷河の力強さと、時の流れを感じずにはいられません。
歩く場所は谷の底になってるので、氷河から溶け出した水が川となって流れています。また、河原の岩には苔が生えているものが目立ちます。
左右の崖からは幾筋もの滝が流れ落ちてきています。近づいていって触れることができるものもあります。夏場であれば、この滝で涼んでみるのもいいかもしれません。
岩のかたち、模様もここでしか目にできないものがたくさんあり、「氷河」だけでなく「氷河が作り出した自然」を楽しむことができます。
40分ほどでビューポイントへ!
写真を撮りながらゆっくり歩いて約40分でビューポイントにたどり着きます。大きな氷の塊が階段状になっているのがよくわかり、氷河が生きているのを実感できます。
ここから先への侵入は禁止されています。氷河は少しずつ動いているので、崩れる危険性があります。下の標識からもわかる通り、なんと1日で1.5~7mも動いているのです。過去にはそのサインを無視して進んでしまった観光客が事故に巻き込まれており、至る所に注意喚起の看板がありました。
周辺にも魅力的な散策路
駐車場から氷河のビューポイントまでは、往復で1時間半かかる散策になります。そこだけでも十分に魅力的ですが、周辺には他にも散策路が存在します。時間が許せばそちらにも足を運んでみてください。
フランツ・ジョセフ・グレイシアは氷河の中では珍しく、周囲には熱帯雨林のような森が広がっています。氷河を目指す道とは違い、他の観光客が少なく静けさの中で自然の奥深さを感じることができます。この辺りは雨が多い地域。日本の屋久島のような神秘的な森を楽しめます。
吊り橋の上で氷河から溶け出した水が川となって流れていく様子を眺めるのもいいかもしれません。
- フランツ・ジョセフ・グレイシア
- ニュージーランド / 自然・景勝地
- 住所:Franz Josef Glacier,NZ地図で見る