日光駅から歩いて行ける絶景ハイキングスポット、憾満ヶ淵(かんまんがふち)ガイドを主軸に、近辺のグルメやお土産スポットをご紹介します。晴天でなくとも行けて、短時間で思い切りリフレッシュできる秘境を訪ねてみませんか?
この記事の目次表示
訪問前に知っておきたいポイント
半日あれば十分なハイキングスポット
憾満ヶ淵(かんまんがふち)は、半日という短時間で散策可能な、手軽に大自然を味わえる絶妙なネイチャースポットです。川沿いのハイキングコースはじっくり見て往復2時間30分程度です。日光駅からも徒歩約40分でアクセス可能な好立地に位置しています。アクセス方法については後ほど詳しくご紹介予定です。
休日でも何組かのグループとすれ違う程度で、混雑の心配はそこまでありませんが、より人が少ない午前中に散策を終え、ランチタイムでゆっくり休憩するプランがおすすめです。
どんよりした曇りの日こそ趣きがある
ネイチャースポットは天候に左右されやすいですが、こちらは曇りの日でも大丈夫です。むしろ雲が分厚い曇りの日にこそ訪ねたいくらい、曇りが似合う場所です。理由はハイキングコース中、地面や木々、石像に苔がたくさん生えているためです。苔の透明感溢れる緑が、控えめなお天気と相まって、素敵な雰囲気を演出してくれます。ただ、遊歩道が整備されているとはいえ、大雨の日には足元が悪くなる場所があったり、川が増水したりと危険です。あくまで曇りの日をおすすめします。
【見どころ1】両脇に緑いっぱい!終わりの見えない直線の道
ここからハイキングコースの道順に沿った見どころをご紹介していきます。スタート地点は「含満の茶屋」というお食事処の目の前の道です。看板が立っているので、そちらを目印にして下さい。「含満の茶屋」については後ほどご紹介させて頂きます。スマートフォンなどで地図検索をする際も、こちらのお食事処を目的地にして頂くと、スムーズにハイキングコースのスタート地点へ到着できます。
しばらくまっすぐな道を進んでいきます。両脇が木々や森林に囲まれてとても空気が美味しく感じられます。道の突き当たりに門が見えてきますので、そちらを目指しましょう。ひたすらに背丈の高い木々の中央に建つ門は、遠目からでも美しく映ります。筆者が訪ねたのは10月初旬で、うっすらと紅葉していました。もう少し経った頃が紅葉の見ごろかと思われますので、紅葉にこだわりのある方はぜひ参考にしてみて下さい。
【見どころ2】苔と木々の雰囲気が絶妙!「慈雲寺」
門は慈雲寺(じうんじ)というお寺への入り口です。苔むした地面に木々がそそり立ち、趣のある雰囲気です。本堂の規模は小さく、白ベースの建物となっています。こちらは明治35年9月の洪水で一度流出し、昭和48年に復元されたものです。
憾満ヶ淵を開いたとされる晃海(こうかい)大僧正が1654年に創建しました。阿弥陀如来と師の慈眼(じげん)大師天海の像が祀ってあるそうです。慈雲寺の目の前には大谷川(だいやがわ)という川が大迫力で流れており、ハイキング中の絶景ポイントのひとつです。
【見どころ3】一列に並ぶ様子は圧巻!「並び地蔵」
憾満ヶ淵で特に有名なのが「並び地蔵」です。慈雲寺を離れると道中には、果てしない数のお地蔵さまが一列に並んでいます。参詣者がこのお地蔵さまを数えてみると、その都度数が違うという理由から、別名「化け地蔵」とも呼ばれるようになったそうです。
先述した慈眼(じげん)大師天海の弟子約100名が「過古万霊(かこばんれい)、自己菩提(じこぼだい)」のために寄進したものなのだとか。ちなみに菩提とは、煩悩を乗り越え悟りをひらいた境地の意です。赤い帽子と前掛けを丁寧にかけられて佇むお地蔵さまの姿は、じっくり味わって頂きたいポイントです。
一体一体の大きさや表情が異なり、それもまた風情があります。余談ですが、お地蔵さまの正式名称は「地蔵菩薩」です。地蔵菩薩は弱い立場の者から救うとされ、特に子供や水子(生まれる前に亡くなった子)と縁が深い仏様なのだとか。帽子と前掛けの赤色は太陽(生命の起源)を表し、また、迷子になりやすい子供がきちんと黄泉の国へ行けるように配慮した色、という説があるなど様々な解釈がなされているそうです。
【見どころ4】大谷川の水が豊かに溜まる!「憾満ヶ淵」
ハイキングコースの遊歩道のすぐ隣を終始流れている川を大谷川(だいやがわ)と言います。中禅寺湖に源を発し東へ流れ、途中鬼怒川と合流します。大谷川の支流には華厳滝(けごんのたき)や白糸の滝など有名な滝が多くあります。透明感のある青さは一目見たら忘れられない美しさです。
憾満ヶ淵は大谷川の流れの途中にある「淵」を指します。「淵」とは川の流れのなかで、速度がゆっくりになるポイントを言い、深さのあるよどみのことを呼びます。かつて洪水が起きた際に、ピンポイントでそのような深い地形が形成され、のちに「淵」となるのだとか。水量が豊かな様子がよく伝わってきます。
ちなみに憾満ヶ淵は、含満ヶ淵と表記することもあります。男体山(なんたいさん)から噴出した溶岩によってできた地形です。男体山とは栃木県を代表する名峰で、標高2,486メートルです。
命名したのは本記事でも何度か登場している晃海(こうかい)大僧正です。川の流れが不動明王の真言(仏の言葉)を唱えるように響くため、真言の最後の句「カンマン」を取ってこのような名前になったのだとか。ネイチャースポットでありながら、歴史や信仰も深く関わっている点も憾満ヶ淵の魅力です。
【見どころ5】飽くまで川を眺めよう!「霊庇閣(れいひかく)」
道中に建物が出てくるポイントがあります。こちらを「霊庇閣」(れいひかく)と呼びます。これは先述した慈雲寺創建の際、晃海(こうかい)大僧正が1654年に建立した護摩壇(ごまだん)です。護摩とは、火を使った儀式で護摩木などを燃しながら祈祷することを言います。
現存はしていませんが、2メートルあまりの不動明王像が対岸にあり、その石像に向かって天下泰平を祈り護摩供養を行ったのだとか。当時の建物は流出してしまったため、現在のものは昭和46年、輪王寺により復元されました。
霊庇閣から眺める川はひときわ絶景で、目の前をごうごうと水が流れていきます。ぜひ足を止めて頂きたいポイントです。また、霊庇閣の近くには小さな橋がかかっており、こちらも見ごたえがあります。
橋の左側を見ると、山奥から流れてくる豊かな水に目を奪われます。橋の右側には浅い水溜りがあり、川へと続いています。冒険心をくすぐられる景色を望むことができます。
ここまで来ると、徐々に川から離れた道になり道路へ出ますので、元来た道を戻ります。ちなみに元来た道を戻らずに、そのまま道路を進んでいくルートもありますので、お好きなルートで散策を楽しんでみて下さい。こちらで折り返すと全体で約2時間30分程度の散策となります。