四国八十八か所の札所を巡るお遍路は、全行程約1,200キロのロングトレイル。一度に歩くと通常40~50日はかかってしまうため、難しいと感じる方も多いと思います。しかし数か所ずつ札所をまわる「区切り打ち」というまわり方であれば、期間はかかりますが、数日間の休みを利用しチャレンジすることができます。今回は、実際に3年半をかけ9回に分けて八十八か所をまわった筆者が、他の旅では味わえない遍路ならではの体験をご紹介します。
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歩き遍路にいざ挑戦!旅プランの立て方
出発前に1日の旅程スケジュールを
出発前には、その日どれぐらいの距離を歩いて、どこまで札所をまわるのか、というスケジュールを予め決めておくことが重要です。
自分が1日どれぐらいの距離を歩くことができるのか分からない方がほとんどだと思いますが、一番からまわる「順打ち」の場合、十番までは最長でも札所間の距離は5キロ程度。まずは最初に、自分が1キロ辺りどれぐらいのペースで歩けるのか、札所に滞在する時間はどれぐらいを見積もればいいか、などを掴んでいきましょう。
ルートは宿を拠点に逆算して考えるのが良し!
「今日は〇番まで歩こう」と札所単位や「〇キロ歩こう」と距離単位で単純にスケジュールを立ててしまうのはちょっと危険です。なぜなら、目的地とした札所の近くに宿があるとは限らないからです。歩き遍路の場合、札所間を歩くことだけでなく、札所から宿までもの移動距離も考えなくてはいけません。
まずは1日の移動距離を考え、その距離を歩いた先に宿があるかを調べ、なければ距離を縮めたり、頑張れるようであれば伸ばす。あるいは、最後の札所から宿までは公共交通機関を使って移動するなどルートを調整しましょう。
遍路宿と呼ばれるお遍路さんが多く宿泊する宿や、札所にある宿坊は、札所からすぐの場所にあります。宿坊では、夜や朝にお勤めなどの体験もできますが全ての札所にある訳ではありません。その他、市街地などではビジネスホテルや旅館などが宿泊先となります。
- 長珍屋
- 愛媛 / その他宿泊施設
- 住所:愛媛県松山市浄瑠璃町118地図で見る
- 電話:089-963-0280
- Web:http://www.chotinya.jp/
お遍路さんが歩く「遍路道」
遍路道は目印を頼りに歩こう
四国四県にまたがる八十八か所の札所は、遍路道と呼ばれる道で繋がっています。現在、遍路道の7割ほどがアスファルト道。残りが未舗装の山道などです。
「知らない道を歩くので、道に迷わないか心配・・・」そう思う方もご安心。遍路道には要所要所に矢印マークや、案内札がありそれらを辿りながら目的の札所に向かうことができます。曲がり道に入る時などは、付近の電柱やガードレールに貼ってある白地に赤のこの目印シールを見つけて、進む方向を確認します。
シールの他にも、札所までの距離表示が書かれた案内板や、昔からある石の指標、直接道や壁に書かれたものなど、お遍路さんのために用意された道しるべは多種多様。ですが、場所によってはこのような案内が少ない場所もあるので、地図付きのガイドブックやスマートフォンの地図アプリなどを併用することをお勧めします。
お遍路さんを苦しめる「遍路ころがし」とは?
遍路道の中には、遍路ころがしと呼ばれる道があります。「お遍路さんが転がるほどの難所」のことで、十二番焼山寺をはじめ、数か所の山寺への道がそう呼ばれています。場所によっては札所まで数時間の登山。事前に水分や食料をしっかり用意して挑みましょう。
トイレと水分補給は見つけた時に!
歩き遍路にとって欠かせないのが水分!実際、気温が高くなる季節など熱中症になるお遍路さんもいらっしゃるそうです。遍路道は、住宅街や、付近に建物などがほぼない県道・国道沿いも多く、コンビ二や自動販売機すらすぐに出会えないことも多々あります。
筆者は500mlのペットボトルを2本ザック脇のペットボトル入れにさし、1本飲んだら次に見つけた自販機で1本補給と、常に切らさないようにしていました。
また、人間の生理現象としてどうしても行きたくなるのがトイレ。行きたくなったけど、次のコンビニまで数キロ・・・何てことも。車では数分の距離も歩けば数十分・・・市街地や観光地エリア以外では、見つけた時にコンビニやガソリンスタンドでトイレをお借りしピンチに陥らないようにしましょう。