旅行先での相棒といえばのスーツケース。フライトを終え現地の入国審査を終えて、あとは旅の相棒(スーツケース)をお迎えに。「さあ!旅のはじまりだ」なんてスタートのはずが、いつまでたってもベルトコンベアからあなたのスーツケースが出てこない。そんな恐ろしい自体を想像したことがありますか?実際にいくつかの理由が重なると、あなたの身にだって起こりうる可能性も!そんな時にまず何をすべきかや、心構え、事前にできる対処法を元航空会社職員がご紹介します。
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1.預けた荷物が出てこないとわかった瞬間のTodoリスト
元航空会社にいた身から言うと、1日で1組もそういった方を見なかったケースの方がレアです。そんな悪いくじをもしもあなたが引いた時のために、まず以下のことを覚悟し、行動へとうつりましょう。
■荷物の控え証と、航空券の半券を手元に準備しましょう
いきなり「赤のスーツケースがー!」などと特徴を言う前にそれが全ての手がかりです。
■航空会社職員を探す
■冷静になる
ないものはないので騒ぐより、まず航空会社職員に捜索の手続きをしてもらうことが先決です。
■今日中には荷物は届かない覚悟でいること
悲しいですがそれが大半の現実。ですので手荷物に少しの下着や日用品を持ち合わせておくのもおすすめ。
※余裕があれば最短で荷物が届く時間を見積もってみましょう。
あなたが空港で手続き(チェックイン)してから海外の目的地(現地ホテル)までたどり着く時間が最低限かかります。人と同様に荷物もまたセキュリティー検査や手続きを終えて国境を超え届くからです。基本人と同じだけ荷物も移動時間及び諸手続きが必要なので、仕方ないことなのです。無理を言っても例えば日本からアメリカへ1時間で届けるなんてのも不可能なことですよね。
■手荷物の紛失証明または遅延証明を現地空港の航空会社職員にもらう
手続き後にもらう紙は、のちに保険対応となる場合に十分に必要になります。
■現地空港の担当部署の連絡先をきちんともらう
手続きの際におそらく書類をたくさんもらいその中で説明されていることもありますが、再度どこに問い合わせたらいいか確認しておきましょう。
■目の前にいる現地の航空職員に過失があるわけでもないので絶対に当たらない
■申し込んだ旅行会社も全く関係ない
まれに旅行会社にクレームする方もいますが、一切関係ありません。
■加入している海外保険会社に連絡をする
■航空会社から荷物がないことでの迷惑料や補償といったものは一切ない
免責事項に基づきます。以下解説をごらんください。
免責事項って何?
航空機を利用する際に、真っ先にぶつかる言葉の一つが「免責事項」という言葉。簡単にいうと責任を負えない事項のことです。「航空会社から荷物がないことでの迷惑料や補償といったものは一切ない。」という部分は、この免責事項が大きく関わります。
そのために航空会社では「預け荷物の貴重品紛失時は責任を負えません」といった内容を掲げていることが多いです(各航空会社規定により表現は異なる)。空港カウンターには、文字がびっしりと書かれている書面があったり、親切な航空会社はわざわざ預け時に聞いてくれることも。
何万人と利用者のいる空港で必ず迷子になる人もいるのと同じく、鞄も例外なく利用者と同じ割合で「迷子」になることも想定内なのです。どうしてもこれは不可抗力で避けられない部分もあるので免責事項として理解が必要なのです。
誰もが大きな声をあげて怒りの矛先を航空会社職員に向けるかと思います。しかし航空会社の人にクレームをあげても、預け荷物が早く出てくるわけではありません。旅慣れている人や、ビジネスクラス以上を乗る人ほど、実は冷静に物事を判断し無駄なクレームは一切しません。速やかに手続きをはじめてもらうことで最短での荷物が届く可能性もあるため、感情的にならないことが先決です。
航空会社の職員もあなたに意地悪をしたいわけでもなく、助けようとしているのですから、速やかに捜索のための手続きをしてもらいましょう。
2.預け荷物が出てこない時、盗難の可能性は滅多にない
元航空会社にいた人間の意見としては、1年のうちで預け荷物の事故(預け荷物の遅延)において鞄が盗難にあった事例は滅多にありませんでした。つまり紛失原因の大半が、輸送時の鞄の乗り継ぎに間に合わなかった場合などの事故的要因なのです。
また基本的に紛失としてとらわれがちですが、実際には預け荷物の到着遅延事故なのです。また預け荷物には一般的に衣類のみで、貴重品こそ機内に持ち込むことが多いため、悪質な犯人こそ金目の物が少ない預け荷物を狙いません。
偶然同じスーツケースの所有者に、間違って持っていかれることはありますが、その場合はその所有者のスーツケースが残されているので、速やかに戻ってくることが多いです。悪質な盗難である可能性としては低いですのでまず安心してください。時間がかかろうと、あなたの預け荷物はあなたの元へ戻ってきます。
再度、免責事項の確認でもありますが、大事なものは絶対に預け荷物に入れないようにしましょう。預け荷物なのに、貴重品だらけのスーツケースを預けるのはご法度です。
3.トランジット(乗り継ぎ)がギリギリ間に合った!でも鞄が乗り継ぎできていないこともある
実は荷物が届かないケースの大半がこの場合です。簡潔に申しますと人間は走って飛行機に間に合っても、スーツケースは走れません。全てベルトコンベアーで運んでいるからです。
預け荷物が目的地に予定通りに届かないのは、大半がこのケース。私たち人間はアナウンスで速やかに次の飛行機に乗り継げますが、スーツケースはそうはいきませんよね。
仮に300人近く乗る機材の場合は、スーツケースはその乗客以上の数です。こんな大量の中で、あなたのスーツケースがすぐに見つかり、ギリギリのトランジットに間に合う方がすごいですよね。1人で2つ預ける方もいるわけですから、場合によっては乗客以上の数のスーツケースがある中、超特急で運ぶシステムでもできればこの問題も解決できるかもしれません。
対策はないの?
残念ながら私たちが空港に預けた後のことなので未然に防ぐ術はありませんが、万が一あなたの預け荷物が事故に巻き込まれた際の備えとして、できることはあります。
(1).極力目立つスーツケースや鞄にする
これは荷物がなくならない対策ではありませんが、他人が誤って持っていってしまう可能性や、万が一行方不明になった際に見つけやすくもなります。
想像の通り左の黒やグレーのスーツケースは世界中に何万とあります。万が一大きな空港で行方不明にあった際には、捜索が困難。逆を言うと右の緑やオレンジ、水色といった珍しいカラーなどの特徴的なスーツケースであれば、その分捜索時に見つけられる可能性が高くなるのです。
(2).ステッカーやわかりやすいあなただけの目印を!
捜索するとなった際に手がかりとなるのが、あなただけの目印です。例えばプラスチックや金属製のスーツケースに目立つステッカーを貼るなども、より早く見つかるための手がかりとなります。
ただNGな例としては、キーホルダーやスカーフなどの目印。輸送時にベルトコンベアーで外れてしまう可能性があります。
(3).預け荷物をそもそも作らないこと
笑ってしまうような解決策かもですが、実は荷物を預けないことが一番なのです。免責事項でもあるので、貴重品や今すぐ必要なものが預け荷物にあっても、航空会社からの保証は一切ありません。スーツケースを預ける必要がない場合は預けないのが今できる最大の対策なのです。
LCCなどで荷物の重量制限が厳しい場合はなかなか難しいですが、一般的な航空会社であれば上の荷物棚に入るサイズで10kg程度(航空会社により規定はまちまち)は手荷物での持ち込みが可能です。少々重くてもこういった預け荷物の事故にあった時のことを考えたら、預け荷物を作らないのも手ですよね。