箱根といえば日本でも有数の温泉地です。平日・休日問わず、多くの観光客が訪れます。日本の温泉地ランキングでは、常に上位に挙がるほど人気で定番ともいえるエリア。その箱根をちょっと違った楽しみ方で満喫してみませんか?「箱根の山は、天下の嶮(けん)♪」という歌を聞いたことがある方も多いはず。もちろん箱根にまつわる歌ですが、どんな情景をイメージしたものかご存知の方は少ないのではないでしょうか?今回は、この歌にまつわる箱根のディープな部分を満喫する旅をご紹介します。
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箱根旧街道って?
「はこねのやまは、てんかのけん♪ かんこくかんも、ものならず♪」と歌詞を見て、「ああ、あの歌だな」とピンと来る方も多いはず。これは「箱根八里(はこねはちり)」という歌の冒頭の歌詞です。
行進曲風の軽快で勇ましい曲調で、とっても印象深い曲ですが、どういう情景をあらわした曲がご存知ですか?漢字で書くと、「箱根の山は、天下の嶮(けん)、函谷關(かんこくかん)も、ものならず」です。漢字で書くとわかるかと思いきや、なんだか難易度がUPしますよね。
現代風に言うと「箱根の山は、この世の中で最も険しい山だ。中国にある険しいと評判の関所であっても、比較にならない険しさだ。」といった感じで、とにかくとんでもなく厳しいところなんだぞ、ということを歌っています。
箱根は急坂が多く、かつ常に道は泥でぬかるんでいて、往来する人々にとって非常に体力を要する厳しい場所でした。ぬかるみに対処するため竹を敷いていましたが、毎年竹を調達するのが困難だったため、ついに江戸幕府によって石畳の道として整備されました。
一里は約4キロ。「箱根八里」の八里は約32キロです。これは、大人が箱根を1日で歩ける距離だったのだそう。昔の人は健脚ですね。
箱根旧街道(石畳)コースのいいとこどり
神奈川県・県西地域活性化プロジェクトの55番として紹介されているウォーキングコース箱根旧街道(石畳)コースを参考に、この石畳を歩いてみます。紹介されているコースは、コース全長11.6kmです。そんなに歩くのはちょっと…という方でも大丈夫。今回は、少しズルして交通機関を利用し、オイシイところだけを楽しむコースを紹介します。
箱根旧街道(石畳)コースに紹介されている「⑤ 畑宿(はたじゅく)」までは、交通機関を利用。「⑧元箱根」まで歩いた後、遊覧船に乗り「⑨箱根関所跡」まで行ってしまおうという楽ちんルートです。
ハイキング前に「箱根旧街道・1号線きっぷ」を購入
箱根には、交通機関を利用するのにとってもお得なきっぷがいくつかあります。今回利用するのは、その名もずばり「箱根旧街道・1号線きっぷ」で、大人1,750円です。
箱根ハイキングを楽しむのにお勧めのきっぷで、箱根旧街道付近を走るバスや、箱根登山線も利用できるので、「疲れたからバス乗っちゃおう」という感じで気兼ねなく利用できます。また周辺の温泉施設などの割引もあるので、持っていると何かとお得に箱根を楽しめるきっぷです。
箱根湯本駅からバスに乗って箱根旧街道へ
箱根旧街道コースを歩き始めるための「畑宿」に行くためには、まずは箱根湯本駅の駅前から4番バスにのります。
箱根湯本駅のバス停からは、神奈川県の河川としても有名な「早川」が見えます。奥の山々と広い川にかかる赤い橋が素敵ですね。バスを待っている間、多くの人がこの景色を写真に収めていましたよ。
- 箱根湯本駅(箱根登山電車・箱根登山バス)
- 箱根 / 駅・空港・ターミナル
- 住所:神奈川県足柄下郡箱根町湯本707地図で見る
- Web:http://www.odakyu.jp/station/hakone_yumoto/
畑宿
箱根湯本駅から、約15分ほどでバス停「畑宿」に到着。
このバス停の目の前から箱根旧街道の石畳が始まるのですが、ちょっと歩いて逆方向に行ってみましょう。そこには寄木細工の工房があり、その壁には、東海道五十三次の宿場がずらっと描かれています。
その下に「箱根八里」と記されているのがお分かりですか?箱根八里は「小田原宿」「畑宿」「箱根宿」「三島宿」までをつなぐ32kmなんです。これから歩く「畑宿」「箱根宿」間は一里(約4km)。昔の人に比べたら、今回はとってもズルした旅です。
- 金指ウッドクラフト直売店
- 箱根 / 体験・アクティビティ
- 住所:神奈川県足柄下郡箱根町畑宿180-1地図で見る
- 電話:0460-85-8477
- Web:http://www.kanazashi-woodcraft.com/
ハイキングスタート
それでは、今回のズルさと楽かげんがわかったところで、さっそく畑宿から昔の人の苦労をちょっとだけ味わいに行きましょう。
畑宿のバス停のすぐ前には、一見してわかる石畳が通っています。道の傍らには「箱根路 東海道の碑」がたち、「箱根旧街道一里塚」と書かれています。足元を見ると、比較的なめらかで平坦な石畳で、まだまだ大変だという感じはありません。
石畳を歩くとすぐに、もこっとした山状のものが見えます。
これは一里塚です。江戸時代に街道を整備した際に、距離をわかりやすくするために一里ごとに塚が設置されました。この塚は、直径約9mの円形に石を積み上げ、その上に土を盛っています。
考えられた石畳
一里塚を越えると、急に石畳の石が大きくなります。どうやらここからが本物の石畳のよう。
この石畳、ただ敷いているわけではありません。もともとぬかるみの強い土地のため、どうやって山肌を流れる雨を処理するかが、この道をつくるときの課題でした。石畳に降り注ぐ雨がたまらないように、いろいろと工夫がなされています。
それがここ、斜めに敷き詰められた石があるのがお分かりですか?よく見ると、坂道の上のほうに小さめの石を、下のほうに大きめの石を使っているのがわかります。これらをうまくつかって段差をつくり、水が流れる通路を作って対処したのです。
さらにちょっとわかりにくいですが、道の端に排水溝も作られています。
排水溝を作るために、ここでも石の大きさを利用して道を作っています。まずは土の上に小石を敷き詰め、その上に大きな石を置きます。この時に道路の端には大きな石は置かず、段差を作りました。
自転車 ヒルクライムの人気の場所
一旦、ここで石畳は途切れ、一般道に出ます。ここから道路は大きく右へ左へとぐねぐねと曲がっています。
山の上のほうへと歩いていくと、黄色い標識が見えます。
「これより1.2kmの間 七曲り 上り勾配10.1%」とあります。実はここ自転車で訪れる人にはとっても人気のスポット。ヒルクライムとしてこの道を自転車で楽しむ人が、ここで記念撮影をするところなんです。
この七曲りコースが箱根のヒルクライムの中で最も過酷と言われているところで、「ここまで来たぞー!」という感じで写真を撮って行く人が多い印象です。