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涙を流すほどの険しさだった橿木坂
「七曲り」を歩いていくと、バス停が現れます。
「橿の木坂(かしのきざか)」と書かれたバス停があります。このバス停のすぐ先に、階段が現れます。
ここからは「橿木坂(かしのきざか)」という坂道。東海道の中でもっとも険しい道だったらしく、昔の紀行文では、「橿木坂を越えると、苦しくて、どんぐり大の涙がこぼれてくる」といった描写もあったほどでした。
この階段を登ると、また舗装路へに出ます。
そしてすぐに道沿いにひっそりとした階段があらわれます。
この階段を登ると、すぐに分岐になっていて、左側に曲がります。
左に曲がると、小さな小さな橋が架かっています。
橋の袂には、「箱根旧街道 甘酒茶屋1,300m、元箱根3,000m」とあります。少し茶屋で休憩していきましょう。あと1kmちょっとです。
そして道は再び石畳へ。
途中、石畳が途切れたところで、ずっぽりぬかるみにはまって、足がとられてしまいました。数cm程度の軽度のぬかるみでしたが、体がひっかかったように動かなくてびっくり。石畳のありがたみがわかりますね。
追込坂
石畳を10分ほど歩くと、また舗装路に出ます。舗装路と旧街道が交互にくねくねしているので、重なる地点でこのように途切れてしまうのです。
今度は舗装路をちょっと渡って、向いに見える階段を登ります。階段を登ったら道なりに舗装路を進むと、「追込坂」と彫られた石碑と階段があらわれます。
ここからは、さっきのぬかるみが嘘のように、ふかふかした遊歩道という感じです。
腰を落として休める場所もあって、ちょっとした庭園風。
旧街道休憩所
山道をずうっと歩いてくと、途中で駐車場が見えます。並行して走っている舗装路沿いに、「旧街道休憩所」があります。利用時間は午前9時から午後5時までで、無料で利用できます。
大きな茅葺屋根の中には、旧街道が現役だった時代に、民家で使用されていた家財などが展示されています。その前にベンチがあり、ここで休憩することができます。
この休憩所、小さな資料館も併設していて、同じく無料で箱根旧街道にまつわる資料やジオラマ、浮世絵を拝観することができます。タイミングが良ければ、資料館スタッフの方に解説もしていただけます。
小規模ながらダイナミックな展示もあり、びっくりするかも。原寸大のジオラマが再現しているのは、これから喧嘩でも始まるのか?という緊迫シーンなんです。
こちらは「赤穂事件(あこうじけん)」にまつわるワンシーンを再現したもの。赤穂事件は広く「忠臣蔵」というお話で浄瑠璃、歌舞伎、ドラマ、映画と、1つの原案をもとに、めちゃくちゃメディアミックスされているお話ですよね。
それぞれの登場人物たちが、いろんな状況に耐え抜いて耐え抜いて悲願を果たすというお話なので、日本人の気質にあうためか長く愛されているお話です。
この原寸大ジオラマは、その絶え抜くエピソードのワンシーン。左側の男性は、当時の運送屋さんです。右側のお侍さんに、「馬の荷物がお前のせいでくずれたじゃないか!」と因縁をつけています。ここはお茶屋で、左側の男性は飲食費をせしめようとして因縁をつけているのです。
お侍さんのほうは、ここで騒ぎを起こしてしまうと後々面倒なので、ぐっと怒りを堪え、穏便にすませようとして、わび状を書くというシーンなんです。箱根八里で起こった事件ということで、ここで展示されています。
その他にもいろいろ展示されていますが、意外だったのは、額縁に入れられて壁に掛かっているこちらの絵。
旧街道にまつわる浮世絵がいくつか展示されています。資料館のスタッフの話によると、壁に掛けられている浮世絵全部が、レプリカではなく当時売られていた本物なのだそう。とってもさらっと展示されているので、びっくりするかも。
当時は、今のように気軽に旅行することも難しく、また写真もないので、こうした風景画を見て旅行気分に浸ったということで、爆発的に売れたんだとか。浮世絵は版画なので、同じ絵柄が市場に沢山あるため、こうして気軽に展示できるのだとおっしゃっていました。
- 箱根旧街道休憩所
- 箱根 / 休憩所
- 住所:神奈川県足柄下郡箱根町畑宿395地図で見る
- Web:https://www.hakone.or.jp/550
甘酒茶屋
旧街道休憩所の横にあるのが「甘酒茶屋」です。先ほど通った橋の案内板にも書かれていた茶屋です。ここで一休みしていきましょう。
箱根の道は険しかったため、旅人が休憩する場として、甘酒をふるまう茶屋が9か所・13軒と設けられていたそうです。しかし時代の移り変わりとともに数は減っていき、現在ではこの1件が残るのみとなっています。
このお茶屋さん、とても大変な苦労をされていて、約90年前に裏の山からの巨大な落石によりお店が倒壊してしまいました。今度は約30年前に火事になり全焼してしまったのです。それ以外にも、便利な国道が開通してからは、ぱったりと客足も途絶え、経営に苦しむ時期があったそうです。
しかし、お店の方々の伝統ある唯一の茶屋を残すための熱意が、現在までの営業を支えているそうで、今では1日に数百人が訪れるお店なんです!特に海外から訪れる人が多く、「Amazake-chaya」として、認知度が高いようです。
そんな甘酒茶屋の店内は雰囲気溢れるつくりになっていて、テーブル、座敷、いろり席と好きなところで休めるようになっています。
甘酒茶屋ではその名のとおり甘酒(400円)が一番人気。添加物が一切入っていないこの甘酒、飲んでみると驚くほど甘いんです。砂糖も入っていません。麹だけの甘さなんです。これはびっくりしますよ!