北陸
北陸観光
近年観光客が増加している、日本海に面した地域

加賀百万石 前田家ゆかりの名刹「瑞龍寺」と「天徳院」を巡る

取材・写真・文:

東京在住
訪問エリア:43都道府県

2019年2月8日更新

4,476view

お気に入り

この記事の目次表示

三代藩主前田利常の正室珠姫の菩提寺、天徳院

金沢市内にある天徳院は加賀藩三代目藩主前田利常の正室珠姫の菩提寺です。1622年(元和8年)に珠姫が24歳の短い生涯を閉じると、利常は翌1623年(元和9年)、珠姫の菩提寺として天徳院を創建しました。

  • 写真:熊猫天徳院の仏殿。

同院ホームページによると、開山は翌1624年(寛永元年)、徳川家康が崇敬した巨山泉滴和尚(こさんせんてきおしょう)を千葉県長安寺より招聘(しょうへい)し、天徳院第一世開山としたと伝えられています。なお、天徳院とは珠姫の戒名です。

徳川家康の内孫、珠姫

珠姫は1599年(慶長4年)、江戸幕府の第二代征夷大将軍、徳川秀忠と継室の江(ごう)の次女として生まれました。徳川家康にとっては内孫にあたります。前田利常と結納を交わしたのが1600年(慶長5年)、翌1601年(慶長6年)に江戸から金沢に入城します。このとき珠姫わずか3歳のことです。

1613年(慶長18年)に長女亀鶴を出産すると、以降三男五女をもうけました。しかしながら、先述したように1622年(元和8年)に五女を出産した直後、体調を崩し、短い生涯を閉じたのです。

からくり人形で振り返る珠姫の人生

天徳院では、国内のお寺さんでも珍しいからくり人形による人形劇が上演されています。およそ15分にわたる「珠姫・天徳院物語」です。金沢城を舞台にからくり人形が、珠姫の人生を再現します。

見どころはなんといっても6体のからくり人形たち。色とりどりの美しい着物や、侍の素早い変身などに注目です。からくり人形の上映は10時、12時、14時、16時の1日4回。ただし、12月から2月までの3か月間は16時の回はありません。天徳院を訪れる際には、上映時間に合わせた拝観の計画をおすすめいたします。

珠姫が手作りされた立ち雛

  • 写真:熊猫珠姫がつくった可愛らしい立ち雛。

天徳院の寺宝の中でも、特に必見といえるのが、珠姫が手作りされたという雛人形です。現代の雛人形はおおむね座った姿勢のものがポピュラーですが、江戸時代以前の雛人形は立った姿の雛人形がオーソドックスでした。

珠姫が自らこしらえたと伝えられる雛人形は、金色の袴に小袖には徳川家の葵と梅花の紋が描かれています。5人の娘を持つ母として、娘らの節句のお祝いに思いを馳せながら作ったと思われる立ち雛、じっくりと鑑賞したいものです。

建立当初を偲ぶ唯一の建築物である山門

天徳院は建立から約150年が経った1768年(明和5年)に山門を残して、建物を焼失しました。したがって、唯一山門だけが建立当時の元禄期の面影を今に伝えています。

  • 写真:熊猫天徳院の山門。

山門は三間一戸の二階二重門、屋根は入母屋造の本瓦葺き、両脇に切妻造・桟瓦葺きの山廊が付いた構造となっています。石川県指定有形文化財に指定されています。300年以上を経た貴重な山門も、天徳院の見どころのひとつといえます。

拝観料と拝観時間

拝観料は大人1名500円、中学生300円、小学生200円です。なお30名以上は団体となり、大人1名450円、中学生270円、小学生180円に割引されます。拝観時間は3月から11月が9時から16時30分、12月から2月までは9時から16時。なお、12月から2月までの水曜日、12月29日から1月3日までの年末年始は休観日となっていますのでご注意ください。

天徳院
金沢市 / 寺 / 穴場観光スポット
住所:石川県金沢市小立野4-4-4,天徳院地図で見る
Web:https://tentokuin.arunke.biz/

次のページを読む

北陸の旅行予約はこちら


北陸のパッケージツアー(新幹線・飛行機付宿泊プラン)を探す

北陸のホテルを探す

北陸の航空券を探す

北陸の現地アクティビティを探す

北陸のレンタカーを探す

北陸の高速バスを探す

この記事で紹介されたスポットの地図

関連するキーワード

※記事内容については、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

あなたにオススメの記事

同じテーマの記事


【2023年版】全国の人気神社・お寺TOP52!旅行好きが訪れた寺社ランキング

2023年の1年間にトリップノートのトラベラー会員が登録した「行ったスポット」のデータを元に、トラベラーのみなさんが実際に訪れた国内の寺社ランキング【2023年...


ユニークな体験ができる!日本のおすすめ珍スポット13選

忍者さながらの巧妙な仕掛けがされた忍者寺に、頭大仏像にモアイなどユニークな像が並ぶ真駒内滝野霊園、未知の空間が広がるガマ洞窟・ガマランドなど、他にはないユニーク...

【福井】永平寺の修行体験 1泊2日の参籠で心を整える

旅行ガイド『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』において二つ星がつけられるなど、国内外から注目を集める永平寺。でも観光で訪れるだけとは、なんとももったいない。...

初詣におすすめ!【全国47都道府県別】初詣の人出トップ寺社一覧

全国47都道府県ごとに、もっとも初詣客の多い寺社を一挙にご紹介!新しい年を迎えて初めての参拝は、たくさんの人が新年の開運祈願に訪れる、人気の寺社へ初詣に出かけて...

ここへ来ればすべての願いがかなう!?石川県のパワースポット那谷寺

一枚岩の奇岩で有名な那谷寺(なたでら)は、石川県小松市にある白山を信仰するお寺です。自然と一体になったような広い境内は、木々に囲まれ四季折々の顔を見ることができ...

この記事を書いたトラベルライター

さすらいびと
「いつか、ある人にこんなことを聞かれたことがあるんだ。たとえば、こんな星空や泣けてくるような夕日を一人で見ていたとするだろ。もし愛する人がいたら、その美しさやその時の気持ちをどんなふうにつたえるかって?」
「写真を撮るか、もし絵がうまかったらキャンバスに描いてみせるか、いややっぱり言葉で伝えたらいいのかな」
「その人はこう言ったんだ。自分が変わってゆくことだって…。その夕日を見て、感動して、自分が変わってゆくことだと思うって」 星野 道夫「旅をする木」(文春文庫)より
https://blog.goo.ne.jp/kumaneko71

140円の鉄道旅「大回り乗車」で楽しむ首都圏1都3県のグルメ旅

JR各社の大都市近郊区間内の特例として、遠回りしながら目的地に行く「大回り乗車」というものがあります。初乗り料金のたった140円でぐるりと関東地方を一周すること...


140円の鉄道旅・大回り乗車で楽しむ東京〜千葉・絶品の駅そば巡り

大回り乗車をご存じでしょうか。JR各社の大都市近郊区間内の特例として、運賃上正式な乗車ルートではない路線を利用し、遠回りして目的地に行く乗車方法のことです。この...


うどんだけじゃない。高松名物「骨付鳥」は、CAも通う「蘭丸」がおすすめ

高松といえば、讃岐うどん。でも、もうひとつの名物「骨付鳥」はあまり知られていません。文字通り、鳥の骨付きもも肉を焼いたもので、スパイシーな味付けが特徴です。近年...

【福井】永平寺の修行体験 1泊2日の参籠で心を整える

旅行ガイド『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』において二つ星がつけられるなど、国内外から注目を集める永平寺。でも観光で訪れるだけとは、なんとももったいない。...

階段降りたら2秒でアジア。アジア食材・調味料が揃う「アメ横センタービル・地下食品街」

今、東京でも屈指の多国籍タウンになりつつある「アメ横」。今回は、色々な国の様々なエッセンスが薫る商店街の中でも、とりわけホットなスポットとして注目を集めている「...

トラベルライターインタビュー Vol.3 Emmyさん

【トラベルライターインタビューVol.3】一人旅を応援する記事を多数執筆!Emmyさんならではの人気記事執筆のコツやその原動力に迫ります