毎年10月中旬にはアイルランドの首都・ダブリンにある公共施設や建物、私邸などが一般に公開されるイベント、オープン・ハウス・ダブリン(Open House Dublin)が開催されます。「オープン・ハウス」は今やアイルランド他、世界31都市で開催される人気イベントです。3日間の期間中にダブリン市内では建築ツアーやワークショップ等200近くのイベントが開催されます。今回はこのイベントの魅力を紹介しつつ、2016年に公開される予定の見所を紹介します(2016年は10月14~16日に開催)。
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オープン・ハウス・ダブリン(Open House Dublin)とは?
Open House Dublinはアイルランドの建築家協会が主導する年に一度のイベントで、ダブリン市内にある、普段は立ち入ることのできない建造物や、建築学的に見て工夫の多い一般家庭の家を公開し、誰でも無料で見学することができるイベントです。
例年10月中旬の金曜~日曜の3日間にわたって開催され、朝から夜まで建築ジャンル問わずアイルランドの建築文化に触れられます。場所によっては見学者数に制限をかけるために事前に抽選を行なったり、人気のある場所は公開時間前から長蛇の列ができたりすることもあり、事前に行きたい物件を決めておくことが肝心です。
また、公開物件のあるエリアが市内広域にわたるため、市街地から離れた場所を見てみたい人は車やバス、シティバイク(ダブリン市が行なうレンタサイクル)の利用をお勧めします。
一般家庭にもお邪魔できるイベント?!
毎年約100件の公開物件のうち、大体30件程度は一般の家庭を含み、会期中Dublin Open Houseと書かれた白や青色の風船が入口に飾られているのが目印になります。
ダブリン市Dundrum(ダンドラム)地区にある、とあるお宅「Victoria Terrace」は外観は平屋建てのいわゆる伝統的なアイルランドの労働者階級のお家という佇まい。1870年代に建てられた「コテージ」と呼ばれる様式の簡素な家です。
しかし、ひとたび家の中に入れば平屋建ての外観からは想像もつかない開放的な2階建て構造で、伝統と新しいアイディアの融合した独創的な空間が現れます。オーナーによると建築家Sarah Lafferty氏によって設計、2006年に改装された建物のようです。自然光が降り注ぎ、庭の緑も見えてここで生活する人や暮らしのことを想ったりすることも楽しいと思います。
この他にも現在、学生や若手の社会人に人気のエリア・ダブリン市街地に程近いRanelagh(ラネラ)やRathmines(ラスマインズ)でも多くの一般民家が公開されています。
2014年に始まったダブリン市主導のDublin House projectの一環で古い物件が改築され、アイディア溢れる暮らしを垣間見れるようになりました。このプロジェクトは、都心の小さな住空間にデザインを取り入れた住み心地のよりよいスペースを作ることを目的として、21世紀型の新しい住環境の提案がなされ、古いコテージ形式の家を現代の人が暮らしやすいようにしたもので、多くの物件が改築されました。
このエリアではそのプロジェクトの一端を見ることができます。
昨年完成したMcCullough Mulvin氏がデザインした家「Hidden Garden」は隠された庭が見ものとなっています。また、1800年に建てられ、去年改築が行われた「Leinster Road」という名の付くアパートは、ジョージアン様式の大きな窓を生かしたA2 Architects監修の住空間で、訪れる価値があります。
省庁や中央銀行の「秘密」にも迫れる?!
ダブリン市街地にあるアイルランド中央銀行(Bank of Ireland)も今年も一般公開の対象となっています(※事前の抽選制)。ここは人々の生活と密に関わりのある機関ながら、普段は一般公開をしていない施設なので多くの人が見学を希望します。
代表階のオフィススペースは、高さの高いパーテーションもなく開放的な空間です。床から天井まで一面ガラス張りなので、高層ビルの少ないダブリンではなかなか味わえない市街地の風景で、素晴らしい景色を見ながら仕事ができるのは羨ましくなります。また、なんと2015年のイベント時には、頭取の部屋まで公開されました。
中央銀行の他にも、首相府や外務省、ダブリン市長公邸、トリニティ・カレッジの会員制クラブや王立アイルランド音楽院、ダブリンのバスターミナルやFacebookのアイルランド本社など、普段立ち入ることができない場所に無料で入ることができます。建築の専門知識がなくても家族でも楽しめるイベントで、ダブリンのまた違った顔を見られる楽しい街歩きになるはずです。
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- Web:http://openhousedublin.com/