外国人観光客にも人気の伏見稲荷大社がある、京都市伏見区は、古くからの酒どころでもあります。日本酒を普段飲まない人でも知っている、大手メーカーも伏見にあるんですよ。そんな伏見で、ランチとともに日本酒を味わったり、遊覧船から街を眺めたりしてみませんか?
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城下町として発展した伏見
伏見は、大阪と京の都を結ぶ中継地として、古くから栄えてきました。町の発展は、豊臣秀吉による、伏見城築城に始まります。
秀吉は文禄3年(1594年)河川の治水工事により伏見港を開設。築城のための建設資材を運搬するために利用しました。
伏見城が作られると、全国から大名や商工業者が呼び寄せられ、都市基盤が整備されていきました。秀吉の死後も、幕府の直轄地であった伏見は、物資が積まれた大小の船や、淀川三十石船と呼ばれた乗合船が行き交い、賑わいを見せました。
十石船から伏見の街を楽しもう
十石船(じゅっこくぶね)は、かつて伏見と大坂(現在の大阪)の間を物資や人を乗せて運んでいた輸送船を現在に再現した遊覧船です。月桂冠の酒造展示施設「大倉記念館」横から出航し、途中の水門「三栖閘門(みすこうもん)」で下船見学をし、乗船場に戻ってくる、約55分のコースです。
船は、柳の木が美しい宇治川派流を進みます。木造の酒蔵が眺められ、酒どころであることを感じさせます。途中、水運の拠点であった河川港「伏見港」を通ります。伏見港は現在では、伏見港公園として整備されています。
しばらくすると、大きな水門が見えてきます。これが、三栖閘門(みすこうもん)と呼ばれるものです。こちらで一旦下船し、資料館で職員の方から、三栖閘門の役割などについて説明を受けます。
伏見の街は淀川の氾濫による洪水に悩まされていたため、古くから河川改修工事が行われてきました。1918年に始まった淀川改修増補工事では、伏見を流れる宇治川にも堤防が作られることになりました。
そのため、水運の重要拠点である伏見港と、淀川につながる宇治川の間を、船が通れなくなりました。そこで、宇治川と伏見城の外堀であった濠川(ほりかわ)の合流点に三栖閘門を作り、船を運航できるようにしたのです。
三栖閘門は対になっており、船は一度この水門と水門の間に留まってから出入りしていました。これは、堤防築造により、伏見港と宇治川に水位差ができてしまったため、水位を合わせてから出入りする必要があったからです。
再び船に乗り、乗船場へと戻ります。筆者が乗船したのは、初夏の蒸し暑い時期でしたが、川の水面近くを時折吹く風が心地よく、柳の木や、あじさいの花も美しいものでした。桜の花が咲く時期は、特に良さそうですね。
十石船は、毎年春から秋に運航されています。ほかに、少し大きな三十石船もありますが、十石船とは運航日や乗船場が異なりますので、注意してください。
- 十石舟めぐり
- 伏見 / 乗り物 / 穴場デートスポット / 遊覧船
- 住所:京都府京都市伏見区南浜町地図で見る
- 電話:075-623-1030
- Web:https://kyoto-tabi.or.jp/events/jkkfn/
酒どころ伏見で、日本酒について学び、味わおう
伏見は、古くから酒造りがさかんな地域でした。かつては「伏水」と書かれたほど地下水が豊かで、地区内のあちこちで湧いていましたので、良質の水が必要な酒造りに適していたのです。
現在も大手酒造メーカーや中小の酒蔵が、この地下水を使って日本酒を醸しており、見学施設や日本酒の飲み比べができるお店も充実しています。こちらではそのうち二ヵ所を紹介します。
月桂冠大倉記念館
月桂冠大倉記念館は、大手酒造メーカー「月桂冠」の酒造りに関する展示施設です。白壁土蔵の歴史的な建物内では、貴重な酒造用具が展示され、酒造りの変遷や日本酒の歴史について、解説しています。
まず、展示棟横の中庭に出てみましょう。こちらには、1906年(明治39年)建築の内蔵酒造場があり、記念撮影スポットにもなっています。ミニプラント「月桂冠酒香房」が設けられており、予約をすれば酒造りを見学することもできるそうです。
中庭には1961年(昭和36年)に掘られた井戸があり、現在も水がこんこんと湧き出ています。コップが用意されているので、飲んでみてください。まろやかでのどごしの良い、すっきりとした味の水は、今でも酒造りに使われているそうです。
展示棟では、徳利や銚子などの酒器、貴重な酒のラベル、広告ポスターなど、時代を感じさせるものが多く展示されており、日本酒を普段あまり飲まないという人でも楽しめるようになっています。
見学の最後には、吟醸酒、大吟醸酒、プラムワインの三種類のお酒が試飲できます。このお酒は売店に売っていますので、気に入ったら買い求めるのも良いでしょう。
月桂冠大倉記念館の入館料は、大人300円、中学・高校生100円ですが、大人はお酒の試飲のほか、180mlのお酒のお土産まで付いていますから、とてもお得ですね。
- 月桂冠大倉記念館
- 伏見 / 博物館 / 雨の日観光
- 住所:京都市伏見区南浜町247番地地図で見る
- 電話:075-623-2056
- Web:http://www.gekkeikan.co.jp/enjoy/museum/