台湾の台北郊外にある十分では、毎年元宵節(中国・台湾の祝日)に「平渓天燈節」が開催されています。このお祭りでは願いが書かれた1,000個以上のランタンが空に飛び、その幻想的な風景は今や各国から観光客が集まるほどの人気ぶり。ですが、平渓天燈節の時期以外でも十分では、一年中ランタン上げを体験することができるんです。台北市内からも約1時間とアクセス良好な十分で、願いを込めたランタン飛ばしを体験してみましょう!
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十分の「平渓天燈節」
中国では、元宵節(中国・台湾の祝日。春節/旧正月から数えて15日目の最初の満月の日)が終わると、新しい年が始まると言われ、人々は燈籠を飾り、餡入りの団子を食べる習慣があります。
毎年この時期、十分では元宵節を祝う行事として平渓天燈節が行われ、1,000個以上のランタンが夜空へ舞い上がります。ここで上がるランタンとは、紙を貼り合わせた大きな紙風船のようなもの。下側に火種を入れて、気球のように空へと飛ばします。
平渓・十分でランタンを上げるようになった理由については、一説には昔この地域は治安が悪く、村は時折山賊に襲われ、村人は山賊から逃げるため山に避難していました。山賊が去った後、村に残っていた者がランタンを上げて避難した人々に村の安全を伝えたそうです。
山賊が出なくなった後も、ランタンを飛ばす習慣は安全や幸福を祈願する儀式として残り、今日まで続いているそうです。
台北から十分までの行き方
台北から十分までは、電車、バス、タクシー、またそれぞれを組み合わせるなど行き方がいくつかありますが、今回は全て電車で行く方法をご紹介します。
【台湾鉄道】台北駅から瑞芳駅へ
まずは、台北駅から台湾鉄道(国鉄)に乗って瑞芳駅を目指します。
窓口で「十分まで行きたい」と伝えると、台北~瑞芳(乗換)~十分まで通しの切符を買うことが可能です。
4番ホーム「宜蘭・花蓮・台東」方面の電車に乗ります。電車の種類は「特急(自強車)」「普通列車(區間車)」などいくつかあります。時間はそれぞれ40~60分。普通列車であれば、価格は十分まで68元(約272円)です。
「自強」「普悠瑪」などのいわゆる特急列車は指定席となっており、事前予約が必要となりますのでご注意ください。
【平渓線】瑞芳駅から十分駅へ
普通列車で台北から約60分ほどで瑞芳駅に到着です。ここで一旦下車し、平渓線に乗り換えます。ただし同じホームに平渓線の電車は来るので、移動は不要です。
平渓線はローカル電車で、1時間に1本ほどしか本数がありません。ホームには小さなお土産屋さんしかなく、時間を潰すところがないので、乗り継ぎ時間が長い場合は一度駅の外に出てみてもいいでしょう。駅前にはちょっとした飲食店や、100mほど行ったところにコンビニもあります。
瑞芳駅から十分駅までは約30分です。
十分駅に着いたら早速ランタン上げに行きましょう!その前に、駅で帰りの電車の時刻をチェックしておくのをお忘れなく。
いよいよ、ランタン上げを体験
ランタン屋さんでランタンを選ぼう!
駅を降りると、すぐにランタンが上がっているのが見えます。
線路の両脇にぎっしりと並ぶお店。そのお店の前ではランタンを上げる人たちの姿。
そう!ランタンを上げる場所は、なんと線路の上なんです!1時間に1本と本数が少ないため、電車が通っていない間は、線路に自由に立ち入ることができ、ランタン上げや記念撮影をすることができます。
お店は沢山ありますが、価格はどこも一律。
1色150元(約600円)、4色200元(約800円)。色によってそれぞれお願い事の意味が異なります。例えば、ピンクは「恋愛」や「人間関係」、黄色は「金運」など。4色の場合いくつか組み合わせがありますので、好みに合わせて選択してください。またお店によって色の意味合いが多少異なっています。
どのお店にも、日本語で色の組み合わせやそれぞれの意味が書かれた表があるので、中国語が分からなくても大丈夫です。
お願い事を書こう!
ランタンを選んだら、お願い事を書きます。筆者たちは4色バージョンを購入したので、それぞれに関するお願い事を書きました。墨と筆で書くので、書き終わった頃には手が真っ黒に・・・ウェットティッシュをぜひご持参ください。
いざ、ランタンを大空へ!!
お願い事を書き終えたら、いよいよランタンを飛ばします。ランタンを買ったお店の方と一緒に線路上へ。皆さん片言ではありますが、日本語も話されるのでコミュニケーションにも困りません。頼めばカメラ撮影、動画撮影もしてくださいますよ。
火種を下から入れてもらい、「いち、に、さんっ」の合図で手を放すと、ランタンは風に乗って大空へ。願いを乗せて上へ上へと上がって行きます。途中で風に煽られないか、ちゃんと真っ直ぐ飛んでいってくれるか、肉眼で確認できなくなるまでしっかり見送りましょう!
通常、ランタンは空に高く上がり燃え尽きます。ただし、両脇にお店がある場所で上げてしまうと、まれに上手く風に乗れず、お店にぶつかり屋根に引っかかったままのランタンを見かけました。そうならないよう、両脇のお店が途切れた場所で上げた方がいいかと思います。
帰りの電車までは記念撮影タイム
ランタン上げは、30分もあれば体験できます。帰りの電車まで時間があれば、すぐ近くにあるつり橋や、線路上で記念撮影をして楽しみましょう。日本ではなかなかできない、線路上での写真撮影。しかも廃線ではなく、数分後には電車が来る現役バリバリの線路です。
さいごに
いかがでしたでしょうか。最近は日本をはじめ、海外からの観光客に人気のランタン上げ。飛んでいくランタンに書かれた文字も中国語、ハングル、英語、日本語・・・と非常にグローバルでした。
十分に行くために乗り換えをした瑞芳駅は、人気の観光名所九分の最寄り駅でもありますので、九分と合わせて行かれることをオススメします。
※レートは1元=約4円/2017年4月現在