急峻な地形に階段状の田んぼが無数に作られ、それが幾重にも重なることによって素晴らしい光景が生み出される棚田の風景。まるで日本の原風景を思わせるような、見事な景色が目の前に広がります。そんな数々の素晴らしい棚田の中でも、日本最大級の規模を誇る棚田が三重県にあるのをご存知でしょうか?それが三重県熊野市にある「丸山千枚田」です。今回は、そんな丸山千枚田の素晴らしい絶景をご紹介します。
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これが丸山千枚田だ!
熊野の市街地より国道311号線をひた走り、風伝峠を越えたところで三重県道40号熊野矢ノ川線へと折れます。山道を進んでいると、紀伊山地の南西斜面に突如として姿を現す圧巻の棚田の風景。こちらが日本最大規模の棚田群を誇る、「丸山千枚田」です。
まるで自然の地形に等高線を引いたかのような、見事な棚田の光景が拝めます。なんとこちらの斜面にある田んぼの数は、約1,340枚!
現在でも7ヘクタールにも及ぶ広大な敷地を持つ丸山千枚田ですが、驚くべきことに江戸時代初期の慶長年間には、なんと今よりもさらに数の多い約2,240枚の田んぼがあったことが確認されています。
どこまでも見渡す限り一面の棚田の景色を楽しめる丸山千枚田。棚田の全景を望むのであれば、県道40号線脇に設けられた展望台から見下ろすのが断然おススメです。
国道から分かれる県道40号線は、途中道幅の狭い箇所もあり、駐車場も停められる台数に相当な限りがありますが、ぜひともこちらの素晴らしい棚田の光景をカメラに収めていきましょう!
地域の人々に守られてきた日本最大級の棚田の風景
今でこそ「日本の棚田百選」にも選ばれるほどの、素晴らしい光景を私達に見せてくれる丸山千枚田の棚田風景ですが、そもそも棚田というのは1枚あたりの耕作面積が非常に狭く、その維持や管理には人の手による大変な作業を伴うもの。
明治時代には11.3ヘクタールまで耕作面積が広がった丸山千枚田でしたが、農業の機械化や担い手の高齢化・過疎化などに伴って次第に耕作放棄地が増えていき、平成の初めの頃には、とうとう田んぼの枚数が500枚を割り込みそうになるほど減少してしまいました。
そこで地域の方々が平成5年(1993年)に「丸山千枚田保存会」を結成し、現在では応募による棚田のオーナー制度を活用するなどして、棚田の景観維持に努めています。
間近で楽しむ棚田の絶景!
さて、県道40号線脇にある展望台より丸山千枚田の絶景を心置きなく満喫した後は、今度は県道から分かれる市道を下っていき、丸山千枚田の迫力を間近で楽しみましょう。
こちらの市道は丸山千枚田をちょうど南北に2分割するように、棚田の真ん中を通っていく道路となっていて、途中には数か所、駐車スペースと棚田の景色を楽しめる展望スペースが設けられています。
写真右奥に見える巨大な石は“大岩”と名付けられており、こちらの丸山千枚田のシンボル的な存在です。
こちらは棚田の中腹にある休憩スペースと、棚田を下から見上げた光景。近くで見ると1枚ずつの田んぼがただ段々になっているだけのように見えますが、これらの田んぼの1枚1枚が幾重にも重なることにより、先程のような美しい光景を作り出していることが分かります。
熊野が魅せる海の絶景も!
丸山千枚田の素晴らしい絶景はいかがでしたでしょうか?こうした美しい棚田の風景は、険しいアルプスの山々に囲まれた信州や、入り組んだ複雑な海岸線を持つ西日本の各地にもたくさんありますので、自分好みの棚田を発見しに行く「棚田巡りの旅」も面白いかと思います。
また丸山千枚田のある熊野市は、海の方に出れば「日本の渚百選」および「日本の白砂青松百選」に選ばれている、美しい七里御浜や世界遺産の鬼ヶ城などもありますので、ぜひ一緒に観光して行くと良いでしょう!