江戸時代中期に始まった岸和田だんじり祭り。豪快にだんじりを曳いて疾走する姿は勇ましく、毎年多くの人々を魅了しています。そんなだんじり祭りを1年中体験できるのが岸和田だんじり会館。館内では、実際のだんじりを間近で見たり、ハイビジョン画面で祭りの映像を見るなど、より身近に迫力満点のだんじり祭りが体験できます。
この記事の目次表示
だんじりとは?
だんじりは主に西日本で見られる山車(だし)の一種です。岸和田市だけではなく関西各地で保有されています。構造や型で10種類以上に分類され、岸和田型、大阪型、神戸型などと呼ばれています。
関西各地で行われているだんじり祭りの中でも全国的に有名なのが、岸和田地区および春木地区で行われる岸和田だんじり祭です。「町」単位でだんじりを保有し、曳行を行います。
300年以上の歴史を誇る岸和田だんじり祭
岸和田だんじり祭の歴史は江戸時代中期にまで遡ります。1703年、岸和田藩主の岡部長泰(おかべながやす)が京都の伏見稲荷大社を岸和田城三の丸に勧請し、五穀豊穣を祈願して行った稲荷祭がその始まりと言われています。
毎年岸和田だんじり祭は、敬老の日直前の土日(土曜日:宵宮、日曜日:本宮)に行われ、40万人近い観客が訪れます。
岸和田だんじり祭の特徴が、「やりまわし」と呼ばれるもの。通常、だんじりが角を曲がる際は速度を落として動かしますが、岸和田のだんじりは疾走してきたスピードを落とすことなく、一気に方向転換!4トンものだんじりを、200人以上の曳き手が息を合わせ疾走させる姿は豪快さと迫力に溢れ、岸和田だんじり祭の醍醐味として観客を魅了します。
だんじり祭りを知れる!体験できる!岸和田だんじり会館
実際の祭り日程以外の日でも、年中だんじりについての歴史資料や、実際のだんじり展示、迫力満点の映像などで祭りを体験できるのが岸和田だんじり会館です。今回は、館内の順路に沿って展示の様子をご紹介します。
2F:間近で見れるだんじりは、細部の彫刻に注目!
会館の有料展示室となる2Fの「イベント広場」に入ってすぐ、目の前に現れるのが1841年(天保2年)に完成したと伝えられる紙屋町だんじり。何と、平成2年まで150年近く現役で使われていたそうです。
近づいて見てみると、細かく美しい彫刻がなされていることに驚きます。こちらのだんじりには、「三国志」や「現平合戦」など安土桃山時代以前の主題が選ばれています。
1804~1829年につくられたと推定されている五軒屋町だんじりは、岸和田型最古のだんじりです。昭和62年まで京都にあり、その後岸和田に戻ってきましたが、なぜ京都に運ばれていたのかは謎だそうです。
木製の車輪や小屋根が前後、大屋根が上下にスライドするからくりなど、江戸時代ならではの特徴を持っただんじりです。
大画面マルチビジョンで、祭りを体感
同フロアのだんじり展示の横には、大型マルチビジョンがあり、毎時15分と45分に実際のだんじり祭りの映像を見ることができます。岸和田だんじりを見たことがない人でも、この映像で祭りの雰囲気を味わえます。大スクリーンでのやりまわしは必見です。
4F:3Dビジョンで祭りの主人公に!祭りの飾りやしくみも学んでだんじりをもっと知ろう!
4Fフロアでは、実際にだんじりの大屋根に乗ったり、鳴り物体験ができます。おすすめは「3Dだんじりビジョン」3D眼鏡をかけて見るだんじり祭りは、先ほどのマルチビジョンとはまた違った面白さ。実際にだんじりに乗っている目線で疾走、やりまわしの体験ができるので、迫力が直に伝わり本当に祭りに参加している気分が味わえます。
祭りで使われる飾りや、提灯などだんじりを彩る装飾品、まただんじり同様各町ごとに異なる法被の展示もあります。
だんじりの「ひと」について知るコーナーでは、曳引(えいこう)の配列と役割についても模型で説明。実際にお祭りに行く前にこのような知識があれば、より楽しめそうですね。
3F:だんじりの歴史が分かる今昔資料館
4Fを見学したあとは、再度3Fに戻る順路となっております。この3Fフロアにある今昔資料館では、各町のだんじり紹介パネルや、だんじりの遍歴、歴史年表が展示されており、だんじり祭りの歴史を学ぶことができます。
- 岸和田だんじり会館
- 大阪 / 子供が喜ぶ / 博物館 / 穴場観光スポット
- 住所:岸和田市本町11-23地図で見る
- 電話:072-436-0914
- Web:https://kishibura.jp/danjiri/
合わせて行きたい。岸和田城
岸和田だんじり会館から300mほどの場所にある岸和田城。こちらのお城は詳しい築城時期については分かっていません。元々、現在地より500m北東の位置にあったものが戦国時代に移り、16世紀半ばには当時泉州地域を治めていた松浦氏の居城となりました。
1640年に入城した岡部宜勝(おかべのぶかつ)が城を完成させ、その後明治時代まで岡部氏が13代続きました(先に紹介した岡部長泰は、3代藩主になります)。
1827年の落雷で天守は消失し、その後長きに渡り再建されませんでしたが、昭和29年三層の天守が再建されました。現在、天守内は岡部氏や岸和田城にまつわる展示室となっています。
岸和田城の一番の特徴が、城内には珍しいこの庭園。こちらは、昭和28年に重森三玲(しげもりみれい)氏によって作庭された「八陣の庭」で国指定名勝となっています。
中国三国志でお馴染み、諸葛孔明の「八陣法」をイメージして設計されています。大将を中心に、「天」「竜」「虎」など8つの石組が配置され、360度どの角度からも鑑賞できるようになっています。
また、この庭園完成時に天守が再建されたこともあり、重森氏は上空からの眺めも意識してデザインされたそうです。上から見ると全体像を俯瞰で見ることができ、下から見るのとは全く違う印象になります。ぜひ、天守にのぼり陣形をイメージして作られた庭の全景を眺めてみてください。
なお、岸和田城天守拝観料は300円、岸和田だんじり会館は600円となりますが、これらの施設に加え「きしわだ自然資料館」の3つに入場できる共通券が700円となっていますので、両方訪れる方はお得な共通券を購入しましょう。
- 岸和田城
- 大阪 / 城 / 穴場観光スポット / 桜の名所
- 住所:岸和田市岸城町9-1地図で見る
- 電話:072-431-3251
- Web:http://www.city.kishiwada.osaka.jp/soshiki/36/kish...