宮城県を中心に新年の行事の1つとして行われている「どんと祭(さい)」は、正月飾りや古神札などを焼納するお祭りです。大小にかかわらず多くの神社で執り行われますが、中でも裸参りが風物詩として有名な、大崎八幡宮のどんと祭は必見です!
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どんと祭とは?
神社の境内などで正月飾りを焼き、その燃やされている御神火にあたることで一年の無病息災・家内安全を祈願する祭で、特に宮城県内各地の神社で盛んにおこなわれています。毎年各地で1月14日に開催され、中でも仙台市の大崎八幡宮で行われるどんと祭は「松焚祭(まつたきまつり)」と呼ばれ、毎年十数万人の参拝客、見物客が訪れます。
他にも岩沼市にある竹駒神社、仙台市の仙台東照宮、塩竃市の鹽竈神社なども有名ですし、地元の人しか知らないような小さな神社でも県内で広く執り行われます。
松焚祭
神社の境内で正月飾り、お札、お守りなどを焼納し、焚かれている御神火にあたることで一年の無病息災・家内安全を祈願します。焼納するものは、環境への配慮からビニール袋などからは取り出し、自ら御神火に投げ込みます。
境内までは混雑しているため、一方通行になっています。御神火を一周し、奥の御社殿の参拝へと続きます。
火のそばはかなり熱く、火の粉で買ったばかりのダウンに穴が開いてしまったなんて声もよく聞きます。ちなみに火入れ前に置くこともできます。数日前から準備が始まっているので、焼納だけしたい方は事前に神社に持っていけば、まだ組まれていなくても預かってくれます。
裸参り
松焚祭と同日に行われる行事に「裸参り」があります。この「裸参り」は、大崎八幡宮の年中行事で300年の歴史があり、2005年に仙台市の無形民俗文化財に指定されました。厳寒時に仕込みに入る酒杜氏が醸造安全・吟醸祈願のために参拝したのが始まりとされているそうです。
裸参りの参拝客の衣装は、白鉢巻・白さらしを巻き、白足袋・わらじの装束に身を包みます。氷水で水垢離をした後、神に息をかけないため、私語を慎むために口に含み紙と呼ばれる紙を口にくわえたまま、右手には鐘、左手に提灯を持って徒歩で参拝し、御神火を渡り火にあたります。また、女性は1枚羽織ることが許されており、外国人留学生などの場合も服装の規定は比較的緩めです。
市内の企業、団体、学校などの組織が例年100団体前後(計2,500人程度)参加。当日夕方には、中心部の商店街で大崎八幡宮へと向かう裸参りの列を見ることができ、鐘を鳴らし5km以上先を目指して歩く姿は、他では見られない光景です。最後に本殿でお祓いをしていただき、裸参りの参拝者は帰っていきます。
参拝後の楽しみ方
参拝、見物が終わってもまだまだ楽しめることがたくさんあります。境内ではたくさんの出店が出ていますので、帰る前に甘酒や温かい物を食べて冷えた身体を温めてはいかがでしょうか。東北ではパーキングや道の駅でもよく売られている、しっかりと味のついた玉こんにゃくもおすすめです。
また、神社にお参りに来たからにはおみくじやお守りもゲットしたいですね。筆者はどんと祭でお守りを焼納し、新しいお守りを買うこともあります。
大崎八幡宮へ行ってみよう!
時間帯は?
正月飾りなどを燃やす御神火の火入れである松焚祭点火式は、夕方16時に始まります。火入れの瞬間を見たい方はこの時間に間に合うように行動しなくてはいけません。ただし一晩中燃やし続けるので、御神火や裸参りを見たい方はこの時間に合わせなくともいいでしょう。
火入れ以降、17〜19時あたりは最も参拝客が集中する時間帯です。御神火までかなり長蛇の列になりますので、寒さ対策をした上で向かうか、遅い時間帯に行くことにすれば少し人込みを避けられます。
アクセスは?
一番近い駅の地下鉄北四番丁駅から徒歩で30分程度かかります。裸参りの列は基本的に徒歩で移動しますので、途中でその姿を見ながらゆっくり行くのもいいです。
仙台駅から臨時のバスが出ているので、バスに乗車するのが一番いい方法ですが、多くの参拝客が向かいますので行列に並ぶことになります。時間には余裕を持って行動しましょう。
準備するものは?
まずは防寒対策です。かなり混雑しますので、長時間外にいることになります。マフラーや帽子、手袋はもちろん、ホッカイロなども携帯するといいです。道路から神社の敷地内までメインの道には階段があります。歩きやすい靴を履いていきましょう。
正月飾りなどを焼納する方は持っていきましょう。お守りやお札も可能です。ただし、人形・ぬいぐるみ・書類・写真・遺影・位牌・鏡餅など、神事と関わりのないものは燃やせません。また、ビニール製品等は燃やせませんので、事前に取り外して持っていきましょう。
- 大崎八幡宮
- 仙台 / パワースポット / 観光名所 / 神社
- 住所:宮城県仙台市青葉区八幡4丁目6−1地図で見る
- 電話:022-234-3606
- Web:http://www.oosaki-hachiman.or.jp/
この記事を書いたトラベルライターから一言
筆者は宮城県出身なので、お正月が終わればどんと祭でお正月飾りを処分するのが当たり前という感覚で、宮城県では小さな集落でも行われている新年の行事です。このように大切な行事となっていますが、特に大崎八幡宮で行われる松焚祭は、大勢の人が集まり大変な賑わいを見せます。
日本のお正月らしい伝統的なものを見られますし、裸参りの行列が無言で金を鳴らしながら町を歩く姿を見られるのも宮城らしい光景なのだと思います。(dory)