鳥取県と島根県の県境にある「船通山」は、神話『ヤマタノオロチ』の舞台として知られている山で、山頂からは360度の大パノラマも見ることができます。登山コースはよく整備され、見どころ豊富で四季折々の景色を楽しみながらの山歩きを楽しめます。今回は県内外から多くの人々が訪れる「船通山(せんつうざん)」の、鳥取県側から登るコースについて詳しくご紹介していきます。
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「船通山(せんつうざん)」とは?
船通山は、鳥取県日南町と島根県奥出雲町の県境に位置する標高1,142mの山です。
鳥取県側からも島根県側からも登ることができ、登山コースもよく整備されています。
神話『ヤマタノオロチ』の舞台としても有名な山で、『古事記』によると、船通山の麓へ降り立ったスサノヲはヤマタノオロチを退治し、その尾から出現した天叢雲剣を天照大神に献上したといわれています。
山頂には「天叢雲剣出現之地」の碑とスサノヲを祀る祠があり、毎年7月28日には神楽を奉納する宣揚祭が盛大に開かれ、地元の人々や多くの登山客で賑わう人気の山です。
鳥取県側から登る「船通山」の登山コース紹介
船通山には鳥取県側からと島根県側から登れる複数のコースがありますが、今回は鳥取県側から登るコースについてご紹介します。
鳥取県側からは、登山口は一緒で途中から2つに分岐するコースがあります。
1つ目が起伏のある道のりを楽しめる「健脚コース」、2つ目が丸太を利用して足場がとても整った「一般コース」です。
今回は見どころも豊富で登っていて次から次へと楽しみが出てくる「健脚コース」について詳しくご紹介していきます。
コースの様子やポイントとなる地点が判りやすいように、今回は下記の流れにそってご紹介します。
では、さっそく出発しましょう!
①緑のふれあい空間(登山口・スタート地点)
今回ご紹介するコースのスタート地点は、県道15号横田多里線を進んだ先の「緑のふれあい空間」にあります。
目印となる写真の看板から、林道船通山線を進んでいくと、登山口前の駐車場に着きます。
駐車場から少し歩いた先に登山口があるので、道標に従い進んでいきましょう。
②休憩所
登山口から沢沿いに緩やかな登山道を登っていくと、お手洗いも備えた「休憩所」に到着します。
この少し先からコースは「健脚コース」と「一般コース」の2つに分かれます。
今回は「健脚コース」なので、道標に従いコースを左にとり、歩いていきましょう!
③避難小屋
健脚コースを進んでいくと横木渡しの階段の道が出てきます。
スタート段階では非常に足場も良く、歩きやすいです。木の階段を登っていくと、ほどなくして小さな「避難小屋」が見えてきます。
天候急変時などに利用できる避難小屋ですが、周辺には特に他には何もないので緊急時以外は素通りして問題ありません。
④天狗岩
避難小屋を過ぎて更に歩いていくと、道は次第に急登へと変わっていきます。
沢を渡ったり登ったりと、変化に富んだコースを楽しみながら谷に沿って標高をあげていきます。
ゴロゴロとした石や岩の道を登っていき、再び木渡しの階段道が出てきて、更に登り進めていくと、目の前に「天狗岩」と書かれた看板がでてきます。
空に向かってドシンとたっているこの立派な巨岩が「天狗岩」です。
下から見上げるのも圧巻ですが、次の目的地である「金明水」を越えて、更に登っていくと天狗岩の上に立って景色を眺めることもできます。
山頂へのコースからは少し外れるのですが見晴らしの良い景色を楽しめるので、体力に余裕がある方はぜひ寄ってみて下さいね。
⑤金明水
天狗岩を左側に、更にコースを登っていくとすぐに「金名水」に到着します。
金名水は飲むことができる湧き水で、近くにはサンインシロカネソウが生育しています。喉を潤して少し休んだら、山頂目指して再び歩きだしましょう!
⑥船通山のイチイ
金名水を過ぎるとコナラやクロモジなどの樹林帯を登っていき、やがて「一般コース」との合流点に出ます。合流点を過ぎると、ほどなくして「船通山のイチイ」が目に飛び込んできます。
とても大きなイチイで国の天然記念物にも指定されています。
ちなみに大イチイは2本あり、上の方の大木が天然記念物に指定されているとのことです。
ここまで来たら、山頂はもうすぐ目の前です!
⑦山頂(ゴール地点)
船通山のイチイから数分歩いていくと、すぐに「船通山山頂」に到着します。
山頂は半円形の広場のようになっていて、360度の大パノラマが広がっています。
天気がいい日には大山をはじめ、鳥取県と島根県の県境に位置する山々を見渡すことができます。
そして頂上の中央には、「天叢雲剣出現之地」の碑とスサノヲを祀る祠もあります。
4月下旬から5月上旬にかけてはカタクリの花畑、晩秋から冬にかけては美しい樹氷や雪景色を楽しめます。
山頂避難小屋もしっかりとあるので、伝説と絶景をゆっくりと楽しめます。
休憩を終えたら往路を戻って下山です。
おわりに
360度の大パノラマの絶景と、神話『ヤマタノオロチ』の舞台を楽しめる「船通山」のご紹介はいかがだったでしょうか?
今回の登山では登りを「健脚コース」、下山を「一般コース」で行きましたが、どちらにもそこまでの危険な場所もなく、ハイキング気分で楽しみながら散策できる山でした。
美しい自然を感じながら四季折々の景色が楽しめる山なので、ぜひチャレンジしてみて下さいね!