出雲大社から車で約1時間の場所にあるハイキングスポットをご紹介します。珍しい奇岩群を眺めながら、渓谷美を堪能してみませんか?トリップアドバイザー主催「旅好きが選ぶ道の駅ランキング2017」にて全国第5位に選ばれた「道の駅キララ多伎」も合わせてレビューします。
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立久恵峡(たちくえきょう)とは
奇岩群がそそり立つワイルドな景勝地
島根県出雲市を流れる川、神戸川(かんどがわ)の上流に位置する峡谷です。特徴は、高さ約100~200メートルの奇岩と岸壁が、約1キロメートル続いているという点です。奇岩沿いには遊歩道が整備されており、気軽に楽しめるハイキングスポットとなっています。
「島根県立自然公園」、「国指定の名勝天然記念物」に指定されています。ゴツゴツした岩肌は近くで見ると迫力があります。通常の山とは少し違った、珍しい風景を堪能することができます。
立久恵峡は、「山陰の耶馬渓(やばけい)」の異名を持ちます。補足としてお伝えすると、耶馬渓(やばけい)とは、大分県最北部の中津市から車で約30分の山国川中流域のエリアを指します。1916年には、実業之日本社主催による全国投票にて「日本新三景」に選ばれました。
余談ですが、筆者はここを訪ねてベトナム世界遺産のハロン湾を彷彿とさせられました。岩肌がゴツゴツした様子が類似していたからです。ちなみに実際のハロン湾クルーズについては、以下の記事でご紹介しています。
出雲大社から車で約1時間
立久恵峡は、出雲市の代表観光地、出雲大社や稲佐の浜より約1時間でアクセス可能です。山深いところに位置しているため、車での訪問がおすすめです。
カーナビに目的地を入れる際は「立久恵峡」ではなく、ハイキングコースのスタート地点にあたる「八光園(はっこうえん)」を入れることを推奨します。八光園は「出雲の隠れ宿」と呼ばれ、温泉露天風呂等を楽しめるお宿です。
カーナビによってはクネクネした山道を案内されることがありますが、車の行き違いが困難なルートの可能性があるため、必ず国道184号線を通り、目的地を目指すようにしましょう。八光園(ハイキングのスタート地点)は、国道184号線上にあります。
- 出雲の隠れ宿 八光園
- 島根
- 料金(目安):10,800円〜36,000円
- 宿泊時間:15:30〜10:00
- 住所:島根県出雲市乙立町5273-8地図で見る
- 電話:0853-45-0121(7:30~22:00)
- Web:http://www.hakkouen.com/
【見どころ1】岩肌に注目!ゴツゴツの奇岩群
さっそく立久恵峡の見どころをご紹介していきます。ハイキングの所要時間は、1~2時間程度です。筆者は写真をじっくり撮影したり、川を眺めたりして約2時間かかりました。八光園(はっこうえん)というお宿の近くに、ハイキング客用の駐車場とお手洗いがありますので、そちらからスタートしましょう。
以下の地図がハイキングコースの全体像です。黒い矢印は筆者がたどったコースとなります。黒い星マークがスタート&ゴール地点(八光園)です。奇岩群はコース中ずっと続いていますが、特に綺麗に見えるポイントが二か所ありますので、以下に記載します。
ビューポイント1:不老橋(ふろうきょう)
スタートして早々に、不老橋(ふろうきょう)という橋が見えます。ここから特に綺麗な奇岩群を見ることができます。岸壁との距離も近く、紅葉シーズンには木々が華やかな色合いを見せてくれます。
立久恵峡の名前の由来は、「立杭(たちくい)」から来ています。まるで杭を立てたような岩が並んでいるということから立杭と呼ばれ、のちに立久恵となったそうです。この摩訶不思議な地形は、約100万年前に連続して起きた噴火活動により形成されました。
噴火活動について詳しくご紹介します。かつて地下深くに数百度~千度以上の高温状態でたまったマグマがありました。海底火山でマグマが噴出したのち、海水で急激に冷やされ、溶岩の表面だけが固まった状態となります。
すると、表明にたくさんの割れ目が出来て、海水が入り込みます。割れ目に入り込んだ海水は、溶岩内部の高温により水蒸気へと変化します。このような現象があちこちで起きたため、溶岩内で水蒸気爆発が起こり、固まったはずの溶岩の表面が砕けていきました。
これらの石が、まだ固まっていない溶岩に押し上げられて、火口から噴出し、多量に堆積したものが立久恵峡の地質を形成したとされています。
ビューポイント2:御所覧場(ごしょらんば)付近
ハイキングコース後半に位置する絶景のお宿「御所覧場(ごしょらんば)」付近も奇岩群のビューポイントとしておすすめです。川を挟んだ向かい側に、岸壁が綺麗に見えます。
特に14~15時は太陽光がちょうどいい角度で岸壁に当たる時間帯なので、その頃合いに鑑賞できると理想的です。ビューポイントには椅子が用意されているので、じっくり見たい方は利用してみて下さい。
【見どころ2】五百羅漢
コース中の道は自然が豊かです。木の遊歩道があったり、道のすぐ隣には川が流れていたりと、お天気がいい日には素敵なお散歩タイムを味わうことができます。
時にはゴツゴツした壁面と隣り合わせの道を歩くこともあり、スリリングな体験ができます。そうした道を進んでいると、「五百羅漢(ごひゃくらかん)」が突如現れるポイントがあり、230体余りの石仏が納められています。
大正8年、渓谷の途中にある霊光寺が再建され、地元の今岡氏が文殊と普賢両菩薩像を石仏で奉納したのが、この五百羅漢の始まりとされています。
頭巾を被ったお地蔵さまがたくさん置いてあります。背の高い木々が立ち並び、景色も美しいポイントです。筆者は13~14時の間にここを通過しました。日光がちょうどよく五百羅漢に差し込んでくれる時間帯なので、ご訪問の際はぜひ参考にしてみて下さい。
【見どころ3】千体仏霊場
さらに進むと「千体仏霊場(せんたいぶつれいじょう)」と呼ばれるポイントへ到着します。これは「島根さむらいの会」が、宗教宗派を越えて千体の石仏を勧請(かんじょう)したものです。立久恵峡が、これらの石仏の里となる条件を満たしたのだとか。今日では約1,400体が並べられています。
壁面いっぱいに並べられた石仏は、まるで古代遺跡のようです。木々や苔とともにある姿は趣きがあります。ハイキングコース沿いにある霊光寺というお寺に行けば、これらの歴史について詳しく説明を聞くことができます。
【見どころ4】透明感抜群!神戸川(かんどがわ)
散策路の隣を終始流れている川があります。神戸川(かんどがわ)です。特に浮嵐橋(ふらんきょう)から見る神戸川が大変おすすめです。
この川に生息する魚のうち最も有名なのはアユだそうです。アユは10月頃に、立久恵峡あたりから下流にかけて浅瀬の小石のなかに産卵し、ふ化した稚魚は海へと下ります。
春になると川を上流までさかのぼり、水底の石の表面に生える珪藻(けいそう)を食べて、ぐぐっと成長します。秋になると、産卵のため、再度川を下り始め、一生を終えるそうです。神戸川は、アユの暮らしに欠かせない環境なのですね。