鳥取駅北口から徒歩約5分の距離にある、民藝館通りに建つ「鳥取民藝美術館」。城壁の衣装蔵を使った風格のある館内では、鳥取で民藝運動を広めた吉田璋也が長年にわたって収集した民芸品が紹介されているほか、国内外の民芸品が約5,000点以上も展示されています。今回は「鳥取民藝美術館」の見どころや楽しみ方について、隣接施設と合わせてご紹介します。
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鳥取民藝美術館とは?
鳥取民藝美術館は、「鳥取民藝の師父」と呼ばれる吉田璋也(よしだしょうや)により、民藝の紹介や流通を目的として設計・建築されました。
鳥取の耳鼻科医だった吉田璋也は、無名の職人が作った工芸の美を「民藝」と名付けた柳宗悦(やなぎむねよし)の思想に共感を覚え、昭和6年に民藝の美を現代の生活に取り入れるため、新作民藝運動を鳥取で興しました。
そして、昭和24年に鳥取の民藝運動の拠点として、この地に鳥取民藝美術館が創設されたのです。
現在の建物は昭和32年に新築されたもので、吉田璋也自身による民藝のデザインが細部にまで施され、国の登録有形文化財建造物にもなっています。
建築にも「民藝」の美を存分に取り入れられた館内は一体どうのようになっているのか、さっそく館内の様子についてもご紹介していきます。
館内の様子
「建築も民藝である」と吉田璋也自らが設計した土蔵造りの建物に足を踏みいれると、まずすぐ目の前に受付があります。
靴を脱ぎ、こちらで受付を済ませてから見学スタートです。入館料は、大人500円、学生300円、高校生以下の方と70歳以上の方は無料です。
館内には、器を中心に、李朝陶磁器や、吉田璋也がつくった新作民藝、日本・中国・西洋や鳥取地方の古民藝など、5,000点以上もの民芸品が展示されています。
1階と2階に分かれており、特に1階では陶芸以外にも、木工や家具、染織、竹工、漆工、金工、石工、和紙、建築などの諸職に及んだ工芸品を楽しめます。
2階では期間限定の催しなどが開催され、筆者が訪れたときには、吉田璋也が生誕120年を迎えたことを記念し、「生誕120年記念展 吉田璋也蒐集 中国陶磁」が開催されていました。
この企画展の内容は日本・朝鮮半島・東洋陶磁の三本柱となっており、「多様なコレクション-隋・唐に遡る古陶磁」や、「吉田璋也が見た中国-未知の文化に触れて」、「民窯の伸びやかな仕事-組皿の魅力」などの展示を楽しめます。
こちらの企画展は、平成31年4月7日まで開催されているので、期間内に訪れられた方は、ぜひ合わせてじっくりと見学されていって下さいね。
合わせて寄りたい!「たくみ工芸店」と「たくみ割烹店」
鳥取の民藝運動の拠点となった「民藝館通り」には、鳥取民藝美術館以外にも、「鳥取たくみ工芸店」と「たくみ割烹店」が横並びで建っています。
どちらも、より民芸品を身近に感じられる施設となっているので、ぜひ合わせて立ち寄られることをオススメします。
鳥取民藝美術館の隣に建つ「鳥取たくみ工芸店」から順にご紹介していきます。
鳥取たくみ工芸店
たくみ工芸店では、鳥取の窯元の作品や工芸品を実際に購入することができます。
因州・中井窯、延興寺窯、山根窯など、鳥取を代表する窯元の器をまとめてみることができ、それぞれの窯元を巡る時間が無い方などには特にオススメです。
ほかにも、吉田璋也がプロデュースした暮らしの道具や、全国の器なども多数取り揃えられているので、ぜひ合わせて見学されていって下さいね。
たくみ割烹店
たくみ工芸店のすぐ隣に建つたくみ割烹店では、実際に民藝器を使って、地元食材や郷土料理を味わうことができます。
鳥取民藝美術館で鳥取の民藝品に触れ、鳥取たくみ工芸店でお買い物をし、たくみ割烹店でお食事をするという流れが定番で、観光客にも人気です。
鳥取の「食」をふんだんに使ったお料理を、民藝品の器を使って、ぜひ楽しんでいって下さいね。
おわりに
民藝の美を現代の生活に取り入れようと、民藝運動にその一生を捧げた吉田璋也が創設した「鳥取民藝美術館」はいかがだったでしょうか?
駅から徒歩5分とアクセスも良く、すぐ隣に建つ「たくみ工芸店」でのお買い物や、「たくみ割烹店」で民芸の器を使用した郷土料理を楽しむこともできます。
鳥取市街を訪れた際には、ぜひ足を運んでみて下さいね。