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金木駅から太宰治疎開の家へ
金木駅を降り、太宰の生家、「斜陽館」へ向かう道中、忘れてならないポイントが太宰治疎開の家です。この建物は、1922年(大正11年)に太宰の長兄文治の結婚を機に、生家の離れとして建てられ通称「新座敷」と呼ばれていました。
戦況が悪化する1945年7月、東京から家族とともに太宰は故郷へと疎開し、1年4か月の間、この家で過ごしたのだそう。太宰はここで『パンドラの匣』、『庭』、『嘘』などの作品を次々に執筆、発表しました。元々、新座敷は「斜陽館」に隣接していましたが、1947年に現在の地に移設されました。
入館料は大人500円、小中学生250円です。
- 太宰治疎開の家 旧津島家新座敷
- 青森 / 建造物 / 雨の日観光 / 歴史的建造物
- 住所:青森県五所川原市金木町朝日山317-9地図で見る
- 電話:0173-52-3063
- Web:http://www.city.goshogawara.lg.jp/tourism/view/shi...
太宰の原点、「斜陽館」
いよいよ、太宰治の原点ともいうべき聖地が、生家「斜陽館」です。津島財閥を象徴する豪華絢爛の住宅は1907年(明治40年)、当時の金額で4万円(現在の約8億円に相当)もの巨費を投じて建てられたといわれています。木造2階建、階下11室278坪、2階8室116坪という豪邸は青森県産材ヒバをふんだんに使用するなど、煌びやかさは今も健在です。
太宰の作品『思ひ出』や『津軽』等には、この家の思いが描かれています。太宰治という作家が辿った波乱に満ちた短い人生の原点は、この家に生まれた境遇などがあり、ある意味では人生を決定づけている点も否定できません。
太宰ゆかりの品の展示だけでなく、太宰を育んだ風土と家の空気を感じ取るためにもファンのみならず、多くの人に来館していただきたいスポットです。また「斜陽館」は、2004年(平成16年)国の重要文化財に指定されました。
入館料は大人900円、高校生・大学生500円、小・中学生200円(2020年3月31日まで)。なお2020年4月1日より、入館料の値上げが決まっています。入館料は大人1,000円、高校生・大学生600円、小・中学生250円となります。
- 太宰治記念館「斜陽館」
- 青森 / 建造物 / 博物館 / 観光名所 / 歴史的建造物
- 住所:青森県五所川原市金木町朝日山412-1地図で見る
- 電話:0173-53-2020
- Web:http://www.city.goshogawara.lg.jp/kyouiku/bunka/sy...
太宰を子守したタケの菩提寺、雲祥寺
「斜陽館」から徒歩5分足らず、太宰通りに面した雲祥寺は太宰の子守役タケの菩提寺であるとともに、幼少の頃の太宰ゆかりの地となっています。タケとともによく来たといわれる太宰は寺の地獄極楽の御絵掛地・十王曼荼羅を眺め、タケから道徳を言い聞かせられたと伝わります。
なお、境内に建立した太宰治碑に刻まれた「汝を愛し 汝を憎む 太宰治」が記されています。境内のシンボルともなっている樹齢500年といわれる松の木も見どころのひとつです。
『津軽』に登場した駅舎は喫茶店に
時間があれば、足を伸ばしてみたいスポットが喫茶店駅舎です。太宰は「芦野公園駅という踏切番の小屋くらいの小さい駅に着いて」、駅の改札を眺め、少女と美少年が出会う様を、紀行小説『津軽』の一文に書いています。『津軽』の発行は1944年(昭和19年)のことでした。
そんな津軽鉄道芦野公園駅の旧駅舎ですが、今は喫茶店となっています。太宰が好きだったという弘前土手町の珈琲屋「万茶ン」のオリジナルブレンドコーヒーがいただけます。
- 赤い屋根の喫茶店(駅舎)
- 青森 / カフェ・喫茶店 / 女子旅
- 住所:青森県五所川原市金木町大字芦野84-171地図で見る
- Web:http://wandono-ekisya.com/
芦野公園の太宰治文学碑と太宰治銅像
津軽半島随一の桜の名所で、「日本の桜名所百選」にも選ばれているのが芦野公園です。太宰が子どもの頃から慣れ親しんだ遊び場として『津軽』に登場します。
この芦野公園には太宰の文学碑と銅像が建てられています。ヴェルレーヌの詩の一節「撰ばれてあることの恍惚と不安と二つわれにあり」と刻まれた文学碑とマントを羽織った在りし日の太宰を姿を再現した銅像が芦野湖の前にたたずんでいます。6月19日の太宰の命日には文学碑前で生誕祭(旧桜桃忌)が開催されます。
- 芦野公園
- 青森 / 公園 / 花畑(4月) / 花畑(5月) / 桜の名所 / キャンプ場 / インスタ映え
- 住所:青森県五所川原市金木町芦野 芦野公園地図で見る
- 電話:0173-34-9555
- Web:http://www.city.goshogawara.lg.jp/tourism/view/ash...
伝統芸能に触れる津軽三味線会館
太宰の生家「斜陽館」の目の前にあるのが津軽三味線会館です。歌手で津軽三味線奏者としても高名な三橋美智也さんのゆかりの品の展示をはじめ、津軽三味線の歴史を展示したコーナーが設けられています。
同館の目玉はなんといってもプロ奏者による津軽三味線の生ライブ。原則的に1日5回行われる生演奏は必見です。情熱的な魂の演奏、これを聞かなければ津軽を体験したとはいえません。
- 津軽三味線会館
- 青森 / 博物館 / 雨の日観光
- 住所:青森県五所川原市金木町朝日山189-3地図で見る
- 電話:0173-54-1616
- Web:http://www.city.goshogawara.lg.jp/kyouiku/bunka/sy...
津軽三味線発祥之地碑
先ほど紹介した、芦野公園内には、津軽三味線発祥之地碑も設置されています。撥を激しく叩いて演奏する津軽三味線は五所川原市が発祥の地といわれています。
その昔、金木に生まれた盲人の「仁太坊」(にたぼう)が、それまで地味な門付け芸だった三味線音楽に新たな奏法を取り入れたのが始まりとされています。今では三味線の一ジャンルとして根付いた津軽三味線。激しくも悲哀を帯びた津軽三味線の音色はまさに津軽の風土と魂の音楽といえます。立佞武多祭、太宰治、そして演歌と津軽三味線。この文化の集積がまさに津軽なのです。
- 津軽三味線発祥之地碑
- 青森 / その他スポット
- 住所:青森県五所川原市金木町芦野地図で見る