エストニア
エストニア観光
メルヘンの世界が広がるタリン旧市街

まるでスパイ映画の世界、タリンのKGB博物館に潜入!

取材・写真・文:

トラベルライター

2017年8月4日更新

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写真:トラベルライター

バルト三国のひとつ、エストニア。その首都、タリンにはかつてソビエト連邦に占領されていた名残がちらほらと見られます。KGB博物館もそのひとつです。現在は博物館として公開されているこの施設、ソ連時代には実際にKGBが使用していました。本物のKGBの施設だったのです。まるでスパイ映画の世界!そんな特別な場所で、歴史に思いを馳せてみませんか?

この記事の目次表示

エストニアの首都、タリン

  • 写真:トラベルライタータリンの旧市街

エストニアの首都、タリンには中世の街並みが残る旧市街があり、世界遺産に指定されていて有名です。でも実は、タリンの魅力はこれだけではないと知っていますか?

  • 写真:トラベルライター旧市街に遺されたロシア正教の教会

エストニアは1991年に独立を回復するまで、ソビエト連邦に支配されていました。タリンにもその名残が見られます。ソ連時代の遺産を博物館として保存し、一般公開している場所のひとつ、それがKGB博物館です。

KGBとは、ソビエト連邦国家保安委員会のことで、いわゆる秘密警察です。そのスパイ活動の一端を垣間見ることができる場所、それがタリンのKGB博物館なんです。

タリン旧市街
エストニア / 町・ストリート / 観光名所
住所:City Center, Tallinn, Estonia地図で見る

ソコス ホテル ヴィルとKGB

旧市街から100メートルほどの、タリン中心部に位置するソコス ホテル ヴィル(Sokos Hotel Viru)は、現在では観光客に人気のホテルです。ここの最上階に、KGB博物館はあります。

このような場所に博物館が作られた理由、それはこのホテルの歴史と関係しています。

  • 写真:トラベルライター中央に見える長方形の建物がソコス ホテル ヴィル

ソ連時代のタリンでは、外国人が宿泊できる唯一のホテルがソコス ホテル ヴィルでした。そのため建設段階からこのホテルは、KGBの活動拠点とすることを前提にして造られました。つまり、現在、博物館として一般に公開されている部分は、かつては本物のKGBが実際に使用していた場所なんです。

ソコス ホテル ヴィル
エストニア / ホテル
住所:Viru väljak 4, 10111 Tallinn, エストニア地図で見る
Web:https://www.sokoshotels.fi/en/tallinn/sokos-hotel-...

KGB博物館

  • 写真:トラベルライター

まるでスパイ映画の世界のようなこの博物館を見学するためには、事前予約が必要です。ツアーは現在、英語かフィンランド語で行われています。Eメールか電話での予約が可能です。

こちらのページに時間などの詳細が出ています

秘密のフロア23階へ

ツアー当日はホテルのロビーに集合します。ツアーガイドの引率のもと、参加者が全員集まったところでエレベーターで22階まで上がります。博物館は23階にありますが、エレベーターでは22階までしか上がれないので、最後は階段を使います。23階は外から見ても存在がわからない、秘密のフロアなんです。

階段沿いにはホテルの歴史などがパネルで紹介されています。23階にたどり着くと、KGB職員の事務部屋と、盗聴装置が設置された部屋があり、中に入って実際に見学できます。まるで映画のセットのようですが、これ、全て本物なんです。

エストニアが独立したとき、KGBは逃げるように去って行ったため、持ち出す暇がなくそのままになっていたものがたくさんあったそうです。タバコの吸い殻なども灰皿に残っていました。

  • 写真:トラベルライターKGBが使用していた通信機器

ガイドによるリアリティある解説

それぞれの部屋でガイドさんが当時の面白いエピソードを色々と話してくれます。KGBがここで暗躍していた時代はほんの二十数年前のことです。筆者が参加したツアーのガイドは40歳くらいのエストニア人の女性でしたが、彼女はその時代この街で普通に暮らしていたのです。

実体験に基づいた話をたくさんしてくれるので、リアリティがあって非常に面白いです。まさに事実は小説よりも奇なり、です。

  • 写真:トラベルライターKGB直通電話

事務部屋にはダイヤルのついていない不思議な赤い電話が置いてあり、目を引きます。これはKGB司令部への直通電話です。

スパイの秘密道具や裏話まで!

  • 写真:トラベルライタースパイ活動のための様々な道具

盗聴や盗撮に使われた様々な小道具も展示されています。ホテルの設計図も残っていて、それを見ると初めからいくつかの部屋は盗聴することを前提に設計されていたことがわかります。

とある外国人客は、このホテルに宿泊するたびに毎回同じ部屋に通されたそうです。きっとKGBにとって要注意人物だったのでしょうね。

他にも、トイレで「トイレットペーパーがない!」と叫んだら数分後にホテルのメイドが部屋にトイレットペーパーを持って来た、とか、盗聴器が仕込まれた食器を誤って食洗機にかけたところ、KGB職員が慌てて飛んで来た、などの面白いエピソードが満載です。

23階のバルコニーからはタリン市内が一望できます。過去に想いを馳せながら、素晴らしい眺めを堪能しましょう。

  • 写真:トラベルライターKGB博物館から見た旧市街

KGB博物館で本物の歴史に触れてこよう!

KGB博物館は小ぢんまりとしていて博物館としての規模は小さいですが、実際に使用されていたものに触れて、当時を知るガイドさんから生きた話を聞けるのが魅力的です。時には、当時、客としてこのホテルに宿泊したことがある、という人がツアーの参加者にいることもあるそうです。

「ソ連」や「KGB」は教科書に出てくるようなキーワードですが、エストニアが独立を回復したのは1991年。実際にはそれほど遠くない過去の話です。筆者もすでに生まれていました。当時のエストニア人の生活は現在とはまるで違うものでした。そのような世界が現実に存在していたという事実に、改めて気付くことができるという意味でも、ここでの体験は貴重なものです。

  • 写真:トラベルライター今も盗聴されているかも!?

本物の歴史に触れられる場所、それがタリンのKGB博物館です。そしてちょっぴりスパイになった気分も味わえる、ワクワクできる場所です!

  • 写真:トラベルライター夕暮れ時の旧市街

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