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ロマンティック街道には古城や中世の街並

【ドイツの世界遺産・ヴィースの巡礼教会】鞭打たれるキリスト像が涙を流した伝説とは?!

取材・写真・文:

兵庫在住
訪問エリア:18ヶ国

2018年7月11日更新

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のどかな田舎の牧場の中にポツリと建つ【ヴィースの巡礼教会】は、一見するとシンプルな教会ですが、内装の素晴らしいロココ装飾が認められ世界遺産になりました。でもなぜこんな田舎の教会が?そのワケを “ヴィースの涙の奇跡” という伝説を通してご紹介します。

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【ヴィースの巡礼教会】とは?

「ヴィース(Weis)」とはドイツ語で「草原」という意味。【ヴィースの巡礼教会(Wieskirche)】を直訳すれば「草原の教会」になりますが、まさにその通り。南ドイツの田舎の周りには何もない広々とした牧場、その大草原の中にポツンと建っています。

ここは、ロマンティック街道 にある「シュタインガーデン (Steingaden) 」という町の外れ。日本で「ロマンティック街道」というとメルヘンな街がいっぱいあるのかな?と思われがちですが、本当の意味は「ローマへの巡礼の道」。この教会にも1740年ごろから多くの巡礼者が訪れています。

近代では、観光地として大人気の「ノイシュバンシュタイン城」にも近いので、ツアーでセットにされることも多いようです。

外見はシンプル…でも中は豪華なロココ装飾!

「ヴィースの巡礼教会」は、のんび〜りと草を食べている牛がいる田舎風景の中にあり、外見も煉瓦色の屋根に白い壁のとてもシンプルな装飾。

ですが、一足中に踏みいてると、そのギャップにきっと驚くはず!

  • 写真:まき子

素晴らしく細やかな装飾には目を見張るものがあります。特徴的なのは、白をベースとした色使いと複雑な曲線。この美術様式を「ロココ」と言います。

パイプオルガンにも「ロココ」の装飾が。

「ロココ」 は、18世紀の フランス王 ルイ15世 の宮廷から始まりヨーロッパ各地へ広がったのですが、ここ「ヴィースの巡礼教会」の装飾はヨーロッパでも他に見られないほど繊細で完成度が高い!と言われています。

「天から降ってきた宝石」と言われる天井画

  • 写真:まき子

ロココの装飾から導かれるように天井を見上げると、目に入るのが、なんとも素晴らしい天井画!フレスコ画で、最後の晩餐やキリスト復活が描かれています。

これらの装飾や天井画が評価され、1983年に ユネスコ世界遺産 に認定されました。でも、こんな草原の真ん中の教会がなぜこんなに素晴らしいんでしょう?

  • 写真:まき子

それは、一番奥の主祭壇に祀られている、周囲のロココ調とは雰囲気の異なる “鞭打たれるキリストの木像” にまつわる伝説が所以です。

「ヴィースの涙の奇跡」という伝説とは?

  • 写真:まき子

1730年ごろ、シュタインガーデン町の修道院でこの“鞭打たれるキリストの木像”が作られたのですが、血と傷と鎖があまりにも痛々しいということで、飾られるなくことなく屋根裏部屋で置き忘れ去られていました。

その数年後、この修道院に来ていた熱心な信者「マリア・ロリー」という農婦が偶然見つけ、哀れに思ってこの木像を譲り受けることに。それ以来、熱心に祈り続けていると・・・

「キリストが涙を流した」という奇跡の噂は瞬く間に広がる

数ヶ月後、なんとキリストの木造の目から涙のようなしずくが流れているではないですか!それを見たマリアは驚き、近くにあった小さな礼拝堂に安置することにしたそうです。それが「1738年6月14日」という記録もしっかり残っています。

この奇跡は瞬く間に知れ渡り、多くの巡礼者が訪れるようになります。

しかし、あまりにも多くの巡礼者が訪れるので、小さな礼拝堂では対応しきれない…ということで、この木像を当初作った修道院長が新しい巡礼教会を建てるために寄付金を集め、1746年に現在の「ヴィースの巡礼教会」が建てられることに。完成は1757年だそうです。

ロココ芸術の巨匠「ツインマーマン兄弟」による建設

「ヴィースの巡礼教会」の建設を担った「ツインマーマン兄弟」の話も欠かせません。

設計した弟はロココを追求した建築物でも実績を上げて来た名高い人。なんと、この建設を引き受けた当時はすでに60歳を超えていたんだそう!残りの人生をかけて素晴らしい傑作を残したのですね。完成した後も80歳で亡くなるまでこの教会の近くに住み続けたそうです。

  • 写真:まき子

兄はミュンヘンの宮廷画家として活躍しており、先ほど紹介した「天から降ってきた宝石」と言われる天井画 を描いた方です。弟が設計したロココの装飾に見事にマッチしています。

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この記事を書いたトラベルライター

じっとしているのは耐えられない旅行好き&飲兵衛です
日本在住ですがアメリカで生活したこともあり、その時にすっかりアメリカ大陸の自然に魅了されました。それ以来、帰国しても日本の自然の素晴らしい場所をあちこち旅行するのが好きです。1児の母でもありますので、“子連れで行くとどんな旅になる?!”という視点も織り交ぜていろんな場所をご紹介できればと思っています。
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