茨城は関東平野のイメージが強いですが、実は海あり、湖あり、山ありと、様々な自然と共存したエリアです。本記事ではそんな茨城在住ライターが、本県でしか味わうことのできない、暮らしに根付いた珍味をお伝えします。
この記事の目次表示
【1】ダチョウ料理
茨城には全国にたった五か所しかないダチョウの屠畜(とちく)場の一つがあります。わざわざ遠い他県から屠畜のため、ダチョウを連れて茨城までやってくる農場の方もいるのだとか。また、茨城県石岡市には「ダチョウ王国」と呼ばれる牧場があり、そちらは全国一のダチョウの飼育数を誇ると言われています。
ちなみにダチョウはアフリカ原産の超大型の鳥類です。鳥とはいえ空を飛ぶことはできず、代わりに時速70キロというスピードで陸上を走ることができます。日本ではあまり食用として認知されていませんが、実はダチョウはいま注目の食材です。理由としては、二点あります。
一点目は、生産過程で環境負荷が少ないエコなお肉だからです。その成長スピードによる出荷までの早さ、穀物飼料に依存せず、人間と競合しない内容のエサも食すということで、ダチョウは世界人口が増加中の人類を支える可能性を秘めています。
二点目は、他のお肉に比べてヘルシーだからです。代表的な家畜(牛豚鶏)よりもカロリーは半分程度と低く、逆にたんぱく質は豊富です。脂質も少なく、お肉独特のあぶらっこさや臭みがなく、食べやすいのが特徴です。
ダチョウ刺身
そんなダチョウのお肉ですが、お刺身で頂くことができます。赤身で脂質が少なく、食感は柔らかく、まるでお魚のお刺身を食べているような感覚です。後味に少しお肉らしい香りがふんわりする程度で、普段お肉を食べない方にもぜひチャレンジして頂きたい一品です。
後で紹介するレストランで提供される刺身にはオリーブオイルがかかっており、お醤油と西洋わさびをつけて頂きます。筋もなく、何枚でも口に運びたくなる食べやすさです(1,200円/1皿)。
ダチョウフィレステーキ
火を通したダチョウ肉もその柔らかさが特徴で、レアで頂きます。ダチョウの部位のなかでも特に「フィレ(足の付け根部分)」が柔らかく、繊細なお肉として知られています。
火を入れると弾力感がアップし、香ばしい香りもするため刺身で頂くよりお肉感が増します。ソースは肉汁を活用したグレイビーソースで、上品なクリーミーな味付けです。お肉に絡めて頂くと絶品です(2,300円/1皿)。
お店情報「ボンジュール」
上記でご紹介したお料理は、かすみがうら市にある洋食レストラン「ボンジュール」で頂くことができます。1978年開店という老舗で、国道6号線沿いに位置しています。店内は昔ながらのレトロな落ち着いた雰囲気で、家族連れの利用客が多いです。
ダチョウ料理の他、ハンバーグやビーフシチューなど洋食屋さんの定番メニューも種類が豊富です。ウェイターの方は経験を多く積まれたであろう熟練男性が多く、本格的かつきめ細やかなサービスを提供していらっしゃいます。
【2】シラウオ料理
茨城には、滋賀の琵琶湖に次ぎ湖面積全国第二位を誇る湖「霞ケ浦(かすみがうら)」があります。その広さは220平方メートルとされ、流域面積は茨城の面積の約35パーセントを占めています。平均水深は4メートル、最大水深は7メートルです。
霞ケ浦では、シラウオ、ハゼ、エビ、ワカサギなど多くの海産物が捕れ、今も昔も地域住民の食を豊かに支えてくれています。シラウオとは長細い半透明な白色の体をした、全長が6~10センチ程度のサケ目シラウオ科のお魚です。お刺身や釜揚げで頂きます。
その形や味が似ているためよく勘違いされますが、「シラウオ」と「シラス」は別の生き物です。シラウオはもうそれ以上大きくならない成魚(人間でいえば大人)です。一方シラスは、アユなどの稚魚(人間でいえば子供)を指します。
ただ、シラウオが生まれたルーツを探ると、アユなどの稚魚グループが幼形化する(祖先の幼体に見られる特徴的な姿で成熟を迎える)ことによって進化したと考えられているのだとか。
生シラウオ丼
釜揚げ丼は年中頂けますが、生のシラウオを使った丼ぶりは7月~12月限定で味わうことができます。その日水揚げされた新鮮なシラウオが、ほかほかご飯にたっぷりのっています。
生シラウオは、ぷりぷりぷちぷち食感が大きく、口に入れた時の存在感が大きいです。少し骨っぽさを感じるくらいなので、よく咀嚼して頂きます。香りは生シラスと似ていて、生姜やネギを薬味にお醤油をかけるとベストマッチです。以下で紹介するお店でセットで注文すると、ミニサラダとドリンクが付いてきます(900円/単品、1,100円/セット)。
お店情報「かすみキッチン」
上記でご紹介した生シラウオ丼は、かすみがうら市交流センター内にある「かすみキッチン」で頂くことができます。同じ建物内にはレンタサイクル貸出スペースや、地域の特産品を販売しているマルシェもあります。
「かすみキッチン」は二階にあり、席の目の前には霞ケ浦が広がっており、贅沢なビュースポットとなっています。地産地消×ヘルシーをコンセプトにしており、新鮮素材にこだわっています。
店内は天井が高く広々としており、デートや家族連れの休日のお出かけ先としても活躍しそうな雰囲気です。2016年に廃校になってしまった小学校の備品も活用しており、店内の机などは図工室を思わせます。
シラウオ料理の他にもパスタ、ピザ、ご飯ものなど幅広くメニューが揃っています。一部をご紹介します。
「地野菜のマルゲリータ」は、トッピングで霞ケ浦名物のレンコンが丁寧に散らされており、生地はもちもちです(900円/単品、1,200円/セット)。
「湖フグフライ」は霞ケ浦ならではの珍しいメニューです。湖フグとはナマズのことで、食感は鶏肉のミンチのようなイメージです。こちらはタルタルソースと合わせて頂きます(1,000円/単品、1,300円/セット)。
- かすみキッチン
- 茨城 / 洋食・西洋料理 / ランチ
- 住所:茨城県かすみがうら市坂4784番地地図で見る
- 電話:029-896-1227
- Web:http://kasumigaura.miraidukuri.jp/kitchen/
【3】行方(なめがた)バーガー
行方(なめがた)とは地名のことです。行方バーガーとは、茨城県行方市で生まれたご当地バーガーを指します。ここで注目したいのは、パティ(お肉部分)が変わり種であるということです。さて、どのようなパティがあるのでしょうか?
ナマズバーガー
パティの一つ目はナマズです!ナマズを薄く切った刺身は、フグのようであると言われています。白身は淡白で、刺身や揚げ物など様々な調理方法があります。日本では珍しいですが、諸外国ではフィッシュバーガーとしてや、カルパッチョなどとして食されています。霞ケ浦では、そんなナマズの養殖も行われています。
ナマズバーガーは通称「なめパックン」と呼ばれています(500円/1個)。パティにアメリカナマズのカマ肉(魚のえら下の胸びれがついている部分で、脂肪を含み美味とされる)、玉ねぎ、レンコンを使用しています。トッピング野菜は行方市産のわさび菜、レタス、トマト、きゅうり、玉ねぎです。
ソースにはケチャップとマヨネーズを使用しており、ジャンク感は否めませんが、パティの珍しさはイチオシです。歯ごたえはしっかりしており、鶏肉に近い印象を受けます。
コイバーガー
パティの二種類目はコイ(鯉)です!ナマズと同じくコイも霞ケ浦で養殖が行われています。コイバーガーは通称「こいパックン」と呼ばれ、パティには3枚におろしたものを骨切りし、タレで味付けをしたものを使用しています。トッピングの野菜は、行方市産のわさび菜、水菜、玉ねぎです(400円/1個)。
甘じょっぱいタレが絡まっており、タラなどの白身魚と同じような味と食感です。ふんわりとしていて柔らかい身です。こちらもマヨネーズが添えられており、味付けはお子様が好みそうなものですが、お肉以外のタンパク源の可能性を感じさせるものがあります。
ナマズとコイの他には、豚とカモのパティがあります。
お店情報「道の駅たまつくり」
上記でご紹介した行方バーガーは、行方市にある「道の駅たまつくり」内のフードコートで頂くことができます。こちらは、行方市の観光物産館にもなっており、地元のお野菜やお惣菜などが手に入ります。霞ケ浦の景色をよく見ることができる立地でサイクリング利用客も多いです。
ナマズのフィレや照り焼きなど、加工食品にも注目です。
コイのお刺身やうま煮なども揃っており、霞ケ浦の名物をよく知ることができます。
- 道の駅たまつくり
- 茨城 / 道の駅・サービスエリア / ハンバーガー / ツーリング
- 住所:茨城県行方市玉造甲1963-5地図で見る
- 電話:0299-36-2781
- Web:https://www.ibarakiguide.jp/seasons/michinoeki/tam...