四国八十八箇所にある、弘法大師ゆかりのお寺をめぐるお遍路。徳島から高知、愛媛と続いた四国八十八箇所巡り最後の地、香川。香川の札所を表す「涅槃(ねはん)」には、煩悩が消え、悩みや束縛から脱した安楽の境地という意味があります。総延長約1,400キロにも及ぶ長い巡礼の旅の最終地点。今回は香川の前半11か所、第66番から第76番までをご紹介します。
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第66番 雲辺寺(うんべんじ)
標高927mと四国霊場の中で最も高所にある札所。ロープウェイが開通するまでは遍路ころがしと言われる難所の一つでしたが、現在はロープウェイに乗り、わずか7分で行くことができます。かつて、学僧が集う学問道場として栄え「四国高野」と呼ばれていました。
本堂近くにはおたのみなすと呼ばれるブロンズ製の腰掛があります。ナスの花はひとつの無駄もなく実になること、また「ナス」と「成す」の語呂から、このナスに腰掛ければ願いが叶うとされています。
第67番 大興寺(だいこうじ)
嵯峨天皇の勅願で、弘法大師が開山したと伝わっています。かつては、真言宗と天台宗の修行僧がそろって修行していました。その名残として、通常の弘法大師を祀る大師堂の他に、中国の天台宗の開祖である智顗(ちぎ)が祀られている天台大師堂と二つの大師堂がある珍しい寺院です。
- 大興寺
- 三豊市 / 寺
- 住所:香川県三豊市山本町辻4209地図で見る
- 電話:0875-63-2341
- Web:http://www.88shikokuhenro.jp/kagawa/67daikoji/
第68番 神恵院(じんねいん)
68番神恵院と、69番観音寺は一つの境内に二つの札所が並んでおり、お遍路さんにとっては一度に二か所まわれるありがたい札所です。
703年法相宗の高僧・日証上人が宇佐八幡宮のお告げを受け、海上で琴と神船を発見。それらを札所がある琴弾山に引き上げ、琴弾八幡宮を建立したのが始まりです。平成14年の大師堂改修に合わせ現在地に移築された本堂は、外観がコンクリート打ちっ放しの近代的な造りになっています。
- 神恵院
- 観音寺市 / 寺
- 住所:香川県観音寺市八幡町1-2-7地図で見る
- 電話:0875-25-3871
- Web:http://www.88shikokuhenro.jp/68jinnein/
第69番 観音寺(かんおんじ)
縁起は神恵院と同じ。弘法大師が第七世住職として入山し、聖観世音菩薩像を安置しました。モダンな68番の本堂とは対照的に、金堂(本堂)は室町時代初期の建築で、国の重要文化財に指定されています。
また、観音寺の薬師堂横から上り坂を5分ほど上がると、琴弾山山頂にある展望台へ。ここからは隣接する琴弾公園にある巨大な「寛永通宝」の銭形砂絵を見ることができます。
- 観音寺
- 観音寺市 / 寺
- 住所:香川県観音寺市八幡町1-2-7地図で見る
- 電話:0875-25-3871
- Web:http://www.88shikokuhenro.jp/69kannonji/
第70番 本山寺(もとやまじ)
四国霊場では唯一、馬頭観音を本尊とする札所です。平城天皇の勅願で、弘法大師が一夜のうちに建立したという伝説が残る本堂は、戦国時代長宗我部元親の焼き打ちも逃れ、現在は国宝に指定されています。弘法大師が建立し、1910年に再建された五重塔は2015年から改修工事が行われていましたが、2019年4月修理が完了し、再び本山寺のシンボルとして存在感を放っています。
- 本山寺
- 三豊市 / 寺 / 穴場観光スポット
- 住所:香川県三豊市豊中町本山甲1445地図で見る
- 電話:0875-62-2007
- Web:http://www.88shikokuhenro.jp/70motoyamaji/
第71番 弥谷寺(いやだにじ)
弘法大師が子供の頃、「獅子之岩屋」という岩窟で学問に励んだという伝説が残る札所。
大師堂や本堂へは仁王門から370段もの階段を上らなければなりませんが、両側がうっそうと生い茂った沿道には石仏や五輪塔や金剛拳大菩薩像があり、山岳霊場ならではの雰囲気を味わうことができます。
大師堂から本堂へ向かう石段の途中には、磨崖仏(まがいぶつ)と呼ばれる弘法大師が刻んだとされる阿弥陀三尊像があります。
- 弥谷寺
- 三豊市 / 寺 / 紅葉 / 穴場観光スポット
- 住所:香川県三豊市三野町大見乙70地図で見る
- 電話:0875-72-3446
- Web:https://iyadanizi.xsrv.jp/
第72番 曼荼羅寺(まんだらじ)
創建は、四国霊場の中で最も古い596年。もとは弘法大師の祖先である佐伯氏の氏寺でした。唐から帰国した弘法大師が、亡き母の菩提を弔うために訪れ曼荼羅を安置したことが寺名の由来です。
境内には、大師が手植えしたと伝わる樹齢1,200年もの不老松がありましたが、残念ながら虫害により枯れ伐採されてしまいました。現在は、その不老松の幹で彫られた笠松大師が祀られています。
- 曼荼羅寺
- 善通寺市 / 寺 / 穴場観光スポット
- 住所:香川県善通寺市吉原町1380-1地図で見る
- 電話:0877-63-0072
- Web:http://www.mandaraji.com/
第73番 出釈迦寺(しゅっしゃかじ)
我拝師山のふもとにあり、山頂には奥の院である捨身ヶ嶽禅定があります。この場所にはある伝説が残っています。
弘法大師は7歳の時、我拝師山に登り「仏の教えで人々を救いたい。叶わないならこの身を諸仏に捧げる」と断崖から身を投げました。すると釈迦如来と天女が現れ、大師を抱きとめたと言われています。本堂から奥の院へは2キロの険しい山道を行かなければいけませんが、出釈迦寺内には遥拝所があり、ここから参拝することが可能です。
- 出釋迦寺
- 善通寺市 / 寺 / 穴場観光スポット
- 住所:香川県善通寺市吉原町1091地図で見る
- 電話:0877-63-0073
- Web:http://www.88shikokuhenro.jp/73shusyakaji/
第74番 甲山寺(こうやまじ)
甲山寺の周辺は弘法大師の故郷であり、幼少時代によく遊んでいた場所と言われています。ある日大師はこの地で老人から「ここに寺を建立するとよい」というお告げを受け、毘沙門天像を彫って岩窟に安置しました。
その後、大師は嵯峨天皇の勅命を受け、日本最大のため池である満濃池の修復工事を監督することに。工事の無事を願い薬師如来を刻みこの地に安置したところ、わずか工事は3か月で終了。その際に賜った報奨金で薬師如来を本尊とし、お寺を建立したと言われています。
- 甲山寺
- 善通寺市 / 寺 / 穴場観光スポット
- 住所:香川県善通寺市弘田町1765-1地図で見る
- 電話:0877-63-0074
- Web:http://www.88shikokuhenro.jp/74koyamaji/
第75番 善通寺(ぜんつうじ)
弘法大師生誕の地に建立された善通寺は、高野山の金剛峯寺、京都の東寺と並ぶ弘法大師三大霊跡の一つです。寺名は大師の父の法名「善通」にちなんだもの。約4万5,000㎡と敷地も広く、金堂(本堂)や五重塔がある東院と、大師堂のある西院に分かれています。
御影堂(大師堂)は弘法大師が誕生した佐伯家邸宅跡地に建てられており、その地下は暗闇の中を手探りで進む戒壇めぐりがあります。そして、なんとそこではコンピューターで再現された大師の声を聞くことも。数々の伝説を生んだ弘法大師の声が気になる方はぜひ拝観を。(戒壇めぐり・宝物館共通拝観料500円)
- 善通寺
- 善通寺市 / 寺 / パワースポット / 桜の名所
- 住所:香川県善通寺市善通寺町3-3-1地図で見る
- 電話:0877-62-0111
- Web:http://www.zentsuji.com/
第76番 金倉寺(こんぞうじ)
弘法大師の甥である智証大師が生まれた場所。唐から帰国した智証大師が伽藍を整え、本尊である薬師如来を刻んで安置したと言われています。大師堂には、弘法大師と智証大師二人の大師像が安置されています。
- 金倉寺
- 善通寺市 / 寺 / パワースポット / 穴場観光スポット
- 住所:香川県善通寺市金蔵寺町1160地図で見る
- 電話:0877-62-0845
- Web:http://www.kagawa-konzouji.or.jp/