京都には17個の世界遺産の寺院があります。観光客に人気の金閣寺、清水寺より知名度こそありませんが、とても魅力的なのが西芳寺(苔寺)です。120種の苔に覆われた庭園は、幻想的でまるで異次元に来たかのよう。事前予約が必要ですが、京都に訪れたら、一度は足を運びたい寺院です。今回は、苔寺散策の魅力をご紹介します。
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西芳寺(苔寺)とは?
西芳寺とは、京都市西京区にある臨済宗の寺院です。1994年には、ユネスコ世界遺産に指定され、苔の名所として知られています。約120種類の苔が寺一面に生息し、一年を通して緑の色鮮やかな苔が生茂る幻想的なお寺です。
西芳寺の歴史は長く、大和時代にまで遡ります。元々は聖徳太子の別荘地であったと言われ、奈良時代初期に、僧侶が別荘を寺院に改めたとされています。その後、何度も戦火に見舞われ、再興を繰り返しながら、現在のように苔に覆われた幻想的な姿になったのは、江戸の末期とされています。
西芳寺参拝の魅力をご紹介!
①写経体験
参拝者は、庭園見学前にまずは本堂へ参拝し、こちらで般若心経の写経を行います。本堂では私語厳禁。自然の音の中で写経に向かい合い心を整えます。写経と合わせて自分のお願い事を記し、本堂にお供えします。日常生活の中ではなかなか体験できない、貴重な体験です。本堂内は写真撮影も禁止。厳粛な雰囲気が漂います。
②庭園拝観
本堂への参拝後、庭園を見学します。西芳寺の庭園は、上段、下段に分かれており、2つの代表的な庭園は必見です。
夢窓國師による、池泉回遊式庭園
下段には、「池泉回遊式庭園」があります。「池泉回遊式庭園」とは、大きな池を中心にその周囲に園路を作って、歩きながら庭を巡れる作庭形式です。
西芳寺では、「黄金池」を中心に苔に覆われた庭園が広がります。この黄金池は、心の字の形をしており、「心字池」とも呼ばれています。
日本最古の枯山水の石組み
向上関を抜けて、上段へ向かうともう一つの庭園があります。
上段には、夢窓國師による枯山水があります。それまで池をメインにした庭園が主流の中、石組みを中心とした庭園は革新的とされました。枯山水の原点とされ、のちの枯山水にも大きな影響を与えました。作庭者の夢窓國師の生前の墓を造形化したと言われており、禅の精神性が反映されています。
重要文化財の茶室、湘南亭
- 出典:www.instagram.com湘南亭
お庭を見渡せる位置に、茶室「湘南亭」があります。千利休の次男、千少庵により建立された茶室です。
北に迫り出した月見台が特徴です。豊臣秀吉に切腹を命じられた千利休や、明治維新の際の岩倉具視がここを隠れ屋として利用したと言われています。
③見開きでいただける、西芳寺の御朱印
苔寺の御朱印がこちら。見開きでいただく形になっています。描かれたイラストは、禅の教えを伝えた達磨大師です。こちらは、本堂でいただくことができます。
アクセスと予約方法
苔寺参拝は、完全予約制となっています。お寺へのアクセス・概要と予約方法をご紹介します。
アクセス・概要
- バス:京都バス63または73系統 「苔寺・鈴虫寺」下車 徒歩3分
- 電車:阪急嵐山線 「松尾大社駅」 徒歩17分
- 拝観時間:午前の部:10時〜 / 午後の部:13時〜
- 拝観料金:3,000円
往復はがきによる事前予約制
近隣住民からの苦情緩和のため、完全事前予約制となっています。往復ハガキに希望の拝観日、人数、代表者の連絡先を記載して申込みます。後日返信用ハガキで、拝観証が届きます。手元に拝観証が届くまで少し時間がかかるので、早めの申込みをおすすめします。
詳しい拝観申込方法はこちら。
- 西芳寺
- 嵐山・嵯峨野・太秦・桂 / 寺 / 庭園 / 紅葉 / 穴場観光スポット / 世界遺産 / 庭園の名所
- 住所:京都府京都市西京区松尾神ケ谷町56地図で見る
- 電話:075-391-3631
- Web:http://saihoji-kokedera.com/
この記事を書いたトラベルライターから一言
今回は、京都市西京区にある西芳寺(苔寺)をご紹介しました。世界遺産ですが、参拝者の人数が限定されているので、ゆっくりと参拝することができます。写経体験など、日常から離れて禅宗の教えと、苔の生茂る庭園の壮大さを体験できます。京都にお越しの際は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。(SF_logbook)