マレーシア
マレーシア観光
歴史的な町並みと近代的な建物にビーチリゾートも満喫

【マレーシア】地味だけど、意外にハマる猫の街!クチンの歩き方

取材・写真・文:

オーストラリア在住
訪問エリア:36ヶ国

2018年8月9日更新

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マレーシアのボルネオ島にあるサラワク州の州都クチン。日本人には馴染みが少ない街ですが、「ゆる〜くて、やさしい」独特の雰囲気を持っています。今回はこのクチンの魅力と歩きかたをご紹介します。

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クチンと言えば、猫!

  • 写真:Booboo56

この街が猫の街と呼ばれるのは「クチン」というのがマレーシア語で「猫」を意味するからだという話をよく聞きます。

しかし、「クチン」の名前の由来はこの周囲にマレーシア語で「マタクチン」と呼ばれる「ロンガン」に似た植物が多く自生していていたからだとか、この地区に最初に入植したインド人たちが使っていたヒンドゥー語で「港」を表す「コーチン」が変化したものだとか諸説あるようなので、本当のところはわかりませんが、この街のシンボルが猫であることには間違いがありません。

街を歩いていると、こんなゆる〜い感じの猫たちのオブジェが目に入ってきます。郊外には、猫に関する展示物がなんと4,000点以上を超えるという猫博物館もありますから、猫好きなら絶対に楽しめる街です。

クチン猫博物館
マレーシア / 博物館・美術館 / 博物館
住所:Kuching Cat Museum, Jalan Semariang, Bangunan DBKU, Petra Jaya, 93050 Kuching, Sarawak, Malaysia地図で見る

街歩きを楽しもう

ウォーターフロントとその周辺

クチンの街歩きのメインになるのは、サラワク川沿いのウォーターフロントです。昼間の暑い時間は歩く人も少ないものの、地元民のように早朝のウォーキングやジョギングを楽しんだり、美しい夕焼けを眺めたり、ライトアップされた中をジャランジャラン(マレーシア語でぶらぶら歩き)したりと、滞在中、何度も足を運びたくなるところです。

  • 写真:Booboo56

2017年に対岸に渡る橋が架かり、対岸まで歩いて行けるようになりましたが、ウォータフロントと対岸を結ぶ渡し船も未だ健在です。

  • 写真:Booboo56
  • 写真:Booboo56
クチンウォーターフロント
マレーシア / 町・ストリート
住所:Jalan Main Bazaar 93000 Kuching Sarawak地図で見る

クルーズ船でサラワク川を巡る

このウォータフロントはサラワク川を巡るクルーズ船の乗り場にもなっています。船会社によって値段には幅がありますが、昼間のクルーズで20RM(554円)前後、夕方は軽食や飲み物、ダンスなどのショーが楽しめるサンセットクルーズが62RM(1,717円)ほどで出ています。時期によっては、ディスカウントもしてくれるようです。

メインバザール通りでショッピング

ウォータフロントに沿ってショップハウスが並んでいるのが「メインバザール通り」です。本物のアンティークを扱うお店の他にアンティーク風、手作り風、いかにも観光客向けと、とにかくいろいろなお土産屋さんがあります。ゲストハウスや、日帰りツアーを扱う旅行社、マッサージなどのお店もあって、旅行者にとってはとても便利な通りです。

  • 写真:Booboo56
  • 写真:Booboo56

ちなみにショップハウスというのは、マレーシアやシンガポールの中国人系商人の集まるところに多く見られる建築物です。一階が店舗、二階が住居で、間口が狭くウナギの長屋のように奥に長くなった造りになっています。

メインバザール通り
マレーシア / 町・ストリート
住所:Jalan Main Bazaar 93000 Kuching Sarawak地図で見る

ボルネオの白人王国

クチンを歩いているといたるところで目にするのが「ジェームス・ブルック」という名前です。もともとはお隣のブルネイの領土だったサラワクですが、19世紀の半ばには原住民の反乱が相次いでいました。そこを訪れたのがイギリス富豪の御曹司のジェームス・ブルックです。

  • 写真:Booboo56旧裁判所 現在はツーリストインフォメーションやレストランなどとして利用されています。 前に建っているのはチャールス・ブルック記念碑

反乱に手を焼いていたブルネイの統治者はジェームス・ブルックにその鎮圧を頼み、見事成功すると、その褒美として「ラジャ(王)」の称号とこの地域を統治する権利を与えました。これが「白人王」が支配するサラワク王国の始まりです。このブルック王朝は三代にわたり約100年続きましたが、太平洋戦争の開戦後、日本軍の占領下となりました。

旧裁判所・ブルック記念碑
マレーシア / 建造物
住所:brook's Monument, Jalan Tun Abang Haji Openg 93000 Kuching Sarawak Malaysia地図で見る

街中に残るブルック王朝時代の建物を見学

  • 出典:www.flickr.comサラワク州立博物館 現在は移転準備のため閉鎖中です。Photo by esharkj
  • 写真:Booboo56

1909年に建てられたパビリオンは、クチンで初めての鉄筋建築です。現在はテキスタイル&コスチューム博物館になっていますので、建物の中の様子も見ることができます。入場は無料。この他にも、刑務所として建てられた後にダンスホールとして使われていたというスクエアタワーやセントラル・ポリスステーションなど、街の各所にブルック王朝時代の建築物が見られます。

  • 写真:Booboo56スクエアタワー
  • 写真:Booboo56セントラル・ポリスステーション(1930年)
サラワク博物館
マレーシア / 博物館・美術館 / 博物館
住所:Sarawak State Museum, Jalan Tun Abang Haji Openg Taman Budaya 93400 Kuching Sarawak, Malaysia地図で見る
パビリオン(クチン)
マレーシア / 建造物
住所:93000 Kuching Sarawak Malaysia地図で見る
スクエアタワー
マレーシア / 建造物
住所:Square Tower, Jalan Gambier Jalan Main Bazaar 93000 Kuching Sarawak, Malaysia地図で見る
セントラル・ポリスステーション
マレーシア / 建造物
住所:Central police station, Jalan Khoo Hun Yeang 93000 Kuching Sarawak Malaysia地図で見る

サラワク川の対岸にも

サラワク川の対岸にもかっての王宮であるアスタナ(知事公舎になっており、入場不可)や、クチンを防衛するために建てられた要塞であるマルガリータ砦などがあります。マルガリータ砦はブルック王朝に関する品々を展示するブルックギャラリーになっており、入場料RM20(554円)です。

アスタナ
マレーシア / 建造物
住所:Astana, kuching地図で見る
マルガリータ砦(ブルックギャラリー)
マレーシア / 博物館・美術館
住所:Petra Jaya, 93050 Kuching, Sarawak, Malaysia地図で見る
Web:http://www.brookegallery.org

インド人街と華人(中国人)街

カラフルなインド人街を歩く

  • 写真:Booboo56
  • 写真:Booboo56

多民族国家マレーシアの三大民族はマレー系、華人系、インド系。クチンにはインド系の人はあまり多くないのですが、それでもちゃんとインド人街があります。メインバザール通りを西に向かって歩いて行くと、お店が土産物屋さんから乾物屋さんへ変わって行きます。

インド料理に使われるいろいろな材料を見ながら、パワー通り(ジャランパワー)で右折。左手にある白い門をくぐったところが、インド人街です。

  • 写真:Booboo56

インド人街とはいうものの、全くインドっぽくなく、カラフルな色のビルが布地や衣料品を扱うお店を中心としたはなやかな商店街です。その昔インド人が多く住んでいた頃につくられた街の名残なのでしょう。

インド人街(インディアストリート)
マレーシア / 町・ストリート
住所:India St 93000 Kuching Sarawak Malaysia地図で見る

華人街で昭和の雰囲気を楽しむ

インド人街を過ぎると旧裁判所の建物にぶつかります。旧裁判所とその隣のウォーターフロントホテルとの間を歩いて行くと、華人街の赤い門が見えてきます。そこからがカーペンター通りです。横浜や神戸の中華街とはまったく違う、クチンの人々の生活が垣間見られる街並みで、昭和の匂いがする下町が好きな人なら絶対にハマる雰囲気です。

もう何代も続いているだろうと思われる文房具屋さん、薬屋さん、自転車屋さんなどの庶民的な商店街に、上帝廟や鳳山寺などの中国寺院、「クエチャップ」「コロミー」といった名物料理が食べられるお店、若者向けのカフェやバー、バックパッカー宿などが点在していて、何とも渋い雰囲気を醸し出しています。

華人街(カーペンターストリート)
マレーシア / 町・ストリート
住所:Sarawak, Kuching邮政编码: 93000 29-57亚答街 93000 Kuching Sarawak, Malaysia地図で見る

華人街を抜けてウォーターフロントに戻るところにあるのがクチンで最も古い中国寺院「トゥア ペッ コン (大伯公)」です。道路の向かい側には「華族歴史文物館」があって、サラワクに渡ってきた華人の歴史を知ることができます。

トゥア ペッ コン (大伯公)
マレーシア / 社寺・教会 / 寺
住所:Jalan Tunku Abdul Rahman 93100 Kuching Sarawak Malaysia地図で見る
華族歴史文物館
マレーシア / 博物館・美術館
住所:Chinese History Museum, Jalan Bazar, Sarawak, 93100 Kuching, Malaysia地図で見る

ストリートアートも探してみよう

古くてゆったりとした雰囲気の街ですが、こんなストリートアートも数多くあって、古さと新しさの両方が味わえる街歩きです。

  • 写真:Booboo56
  • 写真:Booboo56

クチンへの行きかた

2018年8月現在、日本からクチンへの直行便はありませんから、日本からシンガポールまたはクアラルンプールに飛び、そこからクチンに向かうのが便利です。エアアジアやスクートなどのLLCも飛んでいます。

ちなみにボルネオ島のサラワク州とサバ州はマレーシアの一つの州ですが、州として独自の自治権を持っています。マレー半島を旅行してから国内線でクチンに行く場合、マレーシア到着時に入国審査を済ませていても、クチンに到着後、サラワク州の入国審査を再度受けることになりますので、パスポートはさっと取り出せるようにしておきましょう。

空港から市内への交通手段はタクシーのみ。空港ロビーに出た左側にタクシーの手配をしてくれるブースがあるので、そこで行き先を言って、お金を払ってチケットをもらい、タクシーの運転手にそのチケットを渡すというシステムです。空港から市内までは30MR(831円)でした。

おわりに

街を歩いていると、いろいろ気になるものがあり、つい足元がおろそかになりがちですが、足元には注意してください。とくにショップハウスの前の道はショップハウスごとに高さが違うので、つまずいたり、転んだりしやすいです。

  • 写真:Booboo56店の前ごとに高さが違うのがわかりますか?

安全に街歩きを楽しんでくださいね。

クチン
マレーシア / 町・ストリート
住所:Kuching地図で見る

※記事内のマレーシアリンギットから円への換算は1リンギット=約27.7円で計算しています

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この記事を書いたトラベルライター

頭の中は食べることばかり、元バックパッカー 
観光というより、暮らすように旅できるオーストラリア・クイーンズランド州にあるサンシャインコーストの魅力をお伝えしたくて、トラベルライターになりましたが、なかなか思うような記事ができず奮闘中。
旅行の目的は「食べること!」、旅行先で出会った美味しいものもご紹介していきたいと思っています。

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